BONES - Season 1 ====== #19 The Man in the Morgue ====== * 邦題:「消えた記憶」 * 脚本:Noah Hawley, Elizabeth Benjamin * 監督:James Whitmore Jr. * 初回放映:2006-04-19 ---- ===== 事件概要 ===== ==== 身元不明者361号ことレネ・ムトン ==== ブレナンは休暇を利用してニューオーリンズを訪れ、ハリケーン・カトリーナの被害に遭った遺体の検死に協力していた。休暇も残すところあと1日となった火曜日、検死主任のレジェール医師は、助手のマイクと「棺でセックスをしたがる」風変わりな彼女の噂話に興じた後ブレナンを食事に誘い、地元警察のハーディング刑事は身元不明者361号の遺体を搬送する。 次の瞬間、ブレナンはホテルの浴室で血まみれの姿になって倒れていた。その日は出発予定だった木曜日。ブレナンはまる1日ぶんの記憶がないことに気づく。頭部に打撲傷を負い右の手首を骨折していた。事情を聞いたブースがワシントンから駆けつける。 火曜日の夜、ブレナンは検死助手のサムと話していたことがわかる。サムは、361号の口の中に入っていたヌマミズキの根と鳥の足を見せる。死者の霊魂を沈黙させる「グリグリ」というブードゥーの魔術に使われるものであるという。サムは、ブードゥーの悪の魔術を信奉する「セクト・ルージュ」の仕業であり、ハリケーンの災厄も彼らが力の均衡を乱したせいであると言う。 ブースとブレナンは、ヌマミズキの根を売っているベノアの店に行き、レジェール医師が根を買ったことを知る。医師と連絡が取れないため、2人は自宅へ向かう。そこで何かを思い出したブレナンが2階へ行くと、血まみれの姿になったレジェールが壁に磔にされ死亡していた。 ブレナンは361号について調べようとするが、遺体もファイルもなくなっていた。だが、ブレナンは記憶を失う前にX線写真をザックに送っており、ザックが頭蓋骨の弾痕らしき痕を確認していた。 レジェール殺害現場でブレナンの血液、ブレナンの衣服からレジェールの血液が検出され、ブレナンは殺害容疑で逮捕される。ブースは連邦検事のキャロリンを呼んでブレナンの弁護につける。キャロリンの尽力でブレナンは保釈されるが、状況は不利。血液検査では薬物反応がなく、警察では記憶喪失がデタラメだという確信を強めていた。キャロリンは、ブレナンの負傷を理由に正当防衛を主張してはどうかと提案する。 一方、ザックはX線写真から361号の身元を割り出していた。361号はレネ・ムトンというブードゥー教の司祭で、被災者の救出中に失踪。サムは、ムトンが人望ある司祭であることから、セクト・ルージュがムトンの魂を操ろうとしたのではないかと言う。レジェールとブレナンは彼の身元を割り出そうとしたために襲われた可能性があった。 犯人はムトンの遺体を隠すために棺の名札を変えたのではないかと思いつき、安置所の棺を次々に開けてみると、その中のひとつに検死助手のマイクと、頭部を失ったムトンの遺体が収められていた。マイクは、恋人である「棺の女」からムトンの遺体を隠すよう頼まれ、断ったために殺害されたと思われたが、その女が誰なのかは誰も知らなかった。 サムがムトンの遺体を清めるために粉を振り掛けると、静電気で何かの模様が浮かび上がる。それは、ベノアが所有するキャデラックのエンブレム。棺の女はベノアの娘のイヴァだった。ベノアの店を訪れると、イヴァは壁に固定した刃物で身体を貫いて死亡していた。部屋にはムトンの頭蓋骨。警察が来ると知って自殺したと思われたが、イヴァ自身が全力で突進しても貫通させるのは不可能。セクト・ルージュだったのは父親の方で、娘の復活を信じて殺害したのだった。 ---- ===== 感想 ===== 16話からお宝探しと土着信仰の話が2つずつ交互に来て、ちょっと似たようなネタが続きすぎかなぁという感触はあるものの、その中ではこのエピソードがいちばん面白かったかな。突然場面が切り替わって、血まみれで起き上がるブレナンの姿が衝撃的だし、ブードゥー教徒のサムや弁護についた連邦検事のキャラが強烈に面白い(検事の再登場希望)。 ブードゥー教に対する評価は、世界各国を旅しているブレナンらしいと思った。自ら信仰することはなくても、他者の信仰に敬意を払い、死生観や埋葬儀礼を総合的に理解しようと務める姿勢は好感が持てる。でも、ブードゥー教のゾンビとキリストの復活を同列に並べたのにはびっくりですよ。別にキリストとゾンビが同じだと言ったわけではなく、「死後の復活を信じること」と「ゾンビの存在を信じること」は知的活動として大差ない、ということだと思うけど。 そんなこんなで、ブードゥー文化のあれやこれやに気を取られているうちに話が終わってしまったが、よく考えてみると、マイク殺害の動機や状況、ブレナンとレジェールが襲われた状況の詳細、イヴァはセクト・ルージュにどこまで関わっていたか、というようなことがはっきりしないままだな。ブレナンの記憶喪失は――これは、検査時にはすでに体外に排出されていたというのが無難なところだと思う(あるいは規定の検査にひっかからない薬物という可能性もあり?)が、敢えて結論を出さないままにしたのだろう。 --- //Yoko (yoko221b) 2008-09-28// [<>]