====== Grave Matters ====== マックス・アラン・コリンズによる小説版CSI第5弾。ブラス警部は保安官からの命令で、保安官の支援者だった女性の死亡原因を調査することになり、グリッソム、ニック、サラとともに墓地で棺を掘り起こす。だがそこで意外な事実が判明し、彼らは別の殺人事件を捜査するはめになる。キャサリン、ウォリック、ベガ刑事は、検死官助手デイヴィッドから持ち込まれた、不審な死亡事件を捜査する。 ---- ===== 書誌情報 ===== ==== Grave Matters ==== * 著者:Max Allan Collins * 発行:2004-09-28 * ISBN:978-0743496629 ==== CSI:科学捜査班 死の天使 ==== * 著者:マックス・アラン・コリンズ * 翻訳:鎌田三平 * 発行:2008-08-23(角川文庫) * ISBN:978-4042826118 [[https://amzn.to/2yaGtbu|{{http://hermitage.rdy.jp/csi/img/books/csi_n05b.jpg}}]] [[https://amzn.to/2KSVy42|{{http://hermitage.rdy.jp/csi/img/books/csi_n05a.jpg}}]] * [[https://amzn.to/2yaGtbu|Grave Matters]] * [[https://amzn.to/2KSVy42|CSI:科学捜査班 死の天使]] ---- ===== 内容・感想 ===== どちらも死亡したのは女性であるし、何となく共通の雰囲気があるように感じたので、2つの事件が合わさっていくかも……と思っていたのだが、そうはならなかった。だがどちらの事件も、あっと驚くどんでん返しこそないものの、テンポの良い展開で、また面白いシーンもいくつかあって、読んでいて楽しかった。それはそうと、シーズン1と2に登場した、主任と仲の悪いモブリー保安官がいつの間にか辞めていた。新しい保安官、アトウォーターが冒頭で登場。 主任たちの事件では、墓地を掘り返して取り出した棺を開けると、そこには若い女性の遺体。娘のレベッカより若い、どう見てもリタ・ベネットではない人物。拳銃で撃たれた痕跡が見つかり、殺人事件に発展。3ヶ月前に行方不明になったケイティ・ディーンだとわかる。葬儀社へ行って「若い女性が入っていた」と言ったときのやりとりが面白い。 「ベネット夫人はお若く見えましたからね」\\ 「二十歳に見えるくらい?」\\ 「……(アゴが落ちる)」 終盤の、主任たちの会話も面白かった。証拠を調べて犯人がわかった主任のところに、サラがやって来る。被害者の友人から話を聞き、得意満面で「ケイティのボーイフレンドがわかったの、誰だと思う?」と聞くと、主任は犯人の名を即答。その後ニックが来て「凶器の銃から誰の指紋が出たと思います?」と聞き、主任とサラが声をそろえて即答。そこへブラス警部が登場し「(葬儀屋に罪を着せるための)電話が誰の携帯電話からかかったと思うかね?」と聞くと、主任とサラとニックが3人で即答。このシーンは映像で見たい! 一方キャサリンとウォリックの事件は、最初は事件かどうかもわからない。連続して人が亡くなっているとはいえ、そこは高齢者向けの医療施設。だがデイヴィッドは通常と違う何かを感じていた。死亡者の人数は、昨年の平均に比べて倍増している。しかも今回の死亡者は、事故で受けた怪我の療養をしていたのだが、経過は良く急に死ぬような理由はなかった。デイヴィッドは遺体を調べ、血管に空気注射されたことを突き止める。 いったん「殺人」となると、事態は一気に異なる様相を呈するようになる。死亡したのがいずれも身寄りのない寡婦であったこと、遺産を慈善団体に寄付していたこと、その団体が例外なく実在していないこと、被害者に最後に面会した訪問者のサインが偽物であったこと……。どれもこれも、死因に不審を抱きさえしなければ見過ごされるようなこと(実際、何回も見過ごされてきた)なのだが、それを積み重ねていくと、どう見ても明らかに財産狙いの連続殺人が見えてくる。 そして、キャサリンが犯人の計画の全貌に気づくところがすごい。なんちゃって慈善団体の「所在地」は全部バラバラの住所(というか私書箱?)なのだが、順番につなげていくと、それが実は犯人の「脱出ルート」になっている。犯人は注意深く殺人を続け、バレそうになったら警察の手が及ぶ前に逃げ出し、金を回収しながら逃亡するつもりだったのだ。ここも映像で見たいなぁ。地図つきで(位置関係がよくわからないのだ)。 --- //Yoko (yoko221b) 2005-11-16// [<>]