CSI - Season 5, Episode 19 ====== #111 4 x 4 ====== * 邦題:「冷たい街」 * 脚本:Dustin Abraham, David Rambo * 原案:Sarah Goldfinger, Naren Shankar * 監督:Terrence O'Hara * 初回放映:2005-04-14 ---- //- Sara, I just want you to know that when we were in the shower, I didn't see anything. \\ - Really? Gosh, I saw everything.// ===== 事件概要 ===== ==== タコス屋台襲撃未遂 ==== グリッソム、ブラス警部担当。タコスを買って車に乗った男が走り出した直後に、向かい側から爆走して来たハマーが激突。運転手は運良く助かった。捜査員が出払っていたためグリッソムが現場検証。ハマーの扉の内側には血痕があった。運転席ではエアバッグが作動していた。 犯行に使用されたハマーは、ショー夫妻がくじ引きで当てた物だったが、獲得して20分後にカージャックされたという。グリッソムはカージャック現場で血痕と血のついたバンダナを発見。そのころブラス警部は、コンビニ強盗犯を逮捕していた。犯人の人相はカージャック犯に似ていた。車内で発見した血液はコンビニ強盗犯の物であると判明。 エアバッグに付着していた物質には、豚肉や牛肉とともに人間の組織があった。現場に近いタコス屋の店主に事情を聞くと、2人組の若い男に襲われそうになり、包丁とフライパンで応戦したという。グリッソムはブラス警部とともに病院で火傷の手当てに来た男を逮捕。その男は仲間を手当てした後、ハマーをカージャックしてタコス屋の店主に仕返しをしに行こうとして、事故を起こして逃亡したのだった。 ==== リサ・シューマッカー殺害 ==== その数時間前――。ダルーカ・モーターズの新車発表会で、ステージの上に若い女性の遺体が発見される。ウォリックとヴァルタン刑事が担当。被害者はコンベンションガールのリサ・シューマッカーで、争ったすえに絞殺されたと思われた。ウォリックはトイレで精液の跡と使用済みのコンドームを発見。レイプされた形跡はなかったが、体内の浅い位置から精液が検出された。 会場ではカイル・ショーがくじ引きでハマーを獲得していた。ウォリックはリサの雇い主ドニー・ドラマーに話を聞くが、リサはもう29歳で盛りをすぎているからと冷淡な反応だった。別のコンベンションガール、グウェンが遅刻して来る。 指紋から、リサを含む4人のコンベンションガールが車内にいたことがわかる。1人はリサのルームメイトのキャンディスだった。前日はドニーから言われてダルーカ・モーターズの社長を接待していたが、ダルーカはリサを年増と罵り、目もくれようとしなかったという。キャンディスはさっさと引き上げて自宅へ帰り、リサはトイレに閉じこもっていたという。 リサはダルーカのコンドームに残った精液を利用して妊娠しようとしていた。ダルーカはそれを知り、怒ってリサを殴ったことを認めたが殺害は否定。リサの爪の中にあった皮膚はダルーカの物ではなく、ドニーの物だった。ドニーはリサがクライアントを怒らせたことを知り、それに腹をたてて殺してしまったのだ。 ==== ポール・チャールズ変死 ==== さらにその数時間前――。コンベンションガールのグウェンがボディビルダーのポール・チャールズの家に来てポールの遺体を発見していた。サラ、グレッグ、キャバリエ刑事が担当。誰かが押し入った形跡はなかった。ベッドの脇には拳銃と注射器。 検死中のロビンス医師は、被害者の眼窩が腫れていることに気づく。眼を押すと眼球が沈み、黒い液体があふれ出した。バイオハザードの可能性があったため HazMat が出動し、サラとグレッグはシャワーで消毒される。だが被害者が細菌に感染したのは、筋肉増強のために使用したステロイドの副作用で免疫力が低下していたためであり、免疫機構が正常なサラとグレッグに危険はなかった。 サラとグレッグは現場に戻り、カビの増殖している場所を探す。壁に血の跡があり、その位置の壁を壊すと、パイプが水漏れしており、弾丸と血痕が発見された。誰かが銃で撃たれ、貫通した銃弾がパイプを傷つけた。人間の組織とパイプから漏れた水分でカビが増殖し、ポールはその細菌に感染して死亡したのだ。 ポールの手帳の中で、1人だけ身元のわからない「ティファニー」という人物がいた。ティファニーは、アンジェラ・ホイーラーという売春婦の源氏名で、先月捜索願が出されていた。ポールはステロイドの過剰摂取で粗暴になっており、ティファニーの冗談に怒って彼女を撃ち殺したのだった。 ==== チェイス・ライアン殺害 ==== さらにその数時間前――。コインランドリーの近くのベンチで少年の遺体が発見される。ニック担当。付近のわだちから、遺体はカートに載せて運ばれたと思われた。 被害者の衣服には何種類もの毛髪や繊維が付着していた。髪の毛には何か黒い物質が付着。ポケットにはバターフィールド・アカデミーの食券。ニックは少年の身元を突き止めようとするが、アカデミーからはプライバシーを理由に協力を断られてしまう。死因は窒息だが、顔や手には何箇所も火傷や骨折があった。熱く狭苦しい場所に閉じ込められたためと思われた。 バターフィールド・アカデミーに娘を編入させたキャサリンから名簿を借り、ニックは被害者の氏名がチェイス・ライアンであることを知る。前日、チェイスは友だちのアンディとお互いの家に泊まると行って、ハイスクールのパーティに出かけていたのだ。アンディはそこで酒を飲み、追い出されてからはアーケードでゲームをして帰宅したという。 被害者の髪に付着していた物は、運動靴に使用されるゴムが熱で溶けたものだった。ニックは遺体発見現場に近いコインランドリーを調べ、中に溶けたゴムが残っている乾燥機を発見。少年は乾燥機に入れられて窒息死したのだ。そのランドリーのカートには盗難防止のためのストッパーが付けられており、外までカートを押して行けるのは、ストッパーを解除できる経営者のジャレッドだけ。 ジャレッドは乾燥機の中にいるチェイスを見つけたが、店の評判を気にして通報せず、ベンチに置き去りにした。チェイスを中に入れたのはアンディだった。チェイスは酔って乾燥機に入り込み、アンディにスイッチを入れろと言った。アンディはその通りにして、そのまま家に帰ってしまったのだった――。 ---- ===== 感想 ===== 時間が、時間が巻き戻ってる~~。主任の事件が簡単に解決した後、いきなり逆回しが始まった時には何事かと思ってしまった。4件のそれぞれ別個の事件だったけど、少しずつ関連する要素や共通するシーンがあったりする。共通のシーンとおよその時間(昼か夜か)を手がかりに、時系列にそって並べてみた。 | ^ グリッソム ^ ウォリック&キャサリン ^ サラ&グレッグ ^ ニック ^ ^夜 | | | |ランドリーで大騒ぎ\\ チェイスの遺体発見| ^午前 | | |ポールの遺体発見| | ^午後 | |リサの遺体発見|目玉ぐにゅ\\ シャワー| | ^夕方~夜|ハマー当たる| | | | ^:::|カージャック/事故|グウェン到着(遅刻)|ポールの死因がわかる| | ^:::|主任が現場検証|ホッジスが配管チェック\\ キャンディスとダルーカに事情聴取| | | ^:::| | | |ニックがアカデミーに電話| ^:::| グレッグとサラがシャワーの会話 ||| | ^:::|夫婦が警察署に現れる|ドニーの犯行が判明||| ^翌日|コンビニ強盗犯逮捕| |カビの出所を発見|被害者の家で聞き込み| ^:::|タコス親父に聞き込み\\ 事故男逮捕| | |コインランドリーを捜査| ……こんな感じかな。でも細かい部分の前後関係は違っているかも。ニックの事件は遺体発見から時間があいているのが気になるが、巻戻し部分に目玉シーンがあったし、サラとグレッグがシャワーを浴びたときは明るかったからそれ以前となると、やはり前日の夜ということになる。事件ごとに少しずつ時間が遡っているということなのね。しかしロビンス先生はちゃんと休んでいるのだろうか。NYのホークス先生はモルグの仮眠室に「住んで」いるような感じだったけど、こちらの先生もそれに近い生活だったりして。 今回は、全体の構成がトリッキーで、それを読み解くことが面白かった。その代わり事件はどれもシンプル。いや、これで事件が複雑怪奇だったらわけわかんないだろうから、ちょうどいいや。 また、グレイヴヤードシフトの2件は、けっこうユーモラスな場面も多くて楽しかった。ハマーを出して来て犯人はマイアミのホレイショと思わせたり(違)、サラとグレッグにちょっと誤解されそうな会話をさせてみたり。検死で目玉ぐにゅ、はグロかったけど。でもグレッグは紳士的に目を閉じていたけど、サラは見たのね。見てますね。 邦題は「冷たい街」だけど、タコス屋台の親父さんは「古き良き時代」のガンコ親父然としたところがカッコ良かったなぁ。でもちょっと過激すぎ? 包丁とフライパンって……。 でもニックの事件は、ちょっとやり切れない結末だった。「制御不能」があったばかりなのに、また子ども犯人……。マイアミでもあったばかりだし、少年犯罪強化月間かと(強化すな)。 ---- ===== 単語帳 ===== * mucormycosis:ムコール症(毛菌症) * rhizopus oryzae:クモノスカビ属の菌 * roid rage:ステロイドの摂取過多により暴力的になること。ステロイド性激怒。 * The Tell-Tale Heart:エドガー・アラン・ポーの小説。http://www.genpaku.org/poe/telltaleheart.html --- //Yoko (yoko221b) 2006-09-02// [<>]