CSI - Season 6, Episode 16 ====== #133 Up in Smoke ====== * 邦題:「壁の鼓動」 * 脚本:Josh Berman * 監督:Duane Clark * 初回放映:2006-03-02 ---- //Martin Sidley is behind bars, and my daughter's getting her funeral. And that's all I wanted.// ===== 事件概要 ===== ==== 身元不明男性(焼死)/キャロライン・フィッツギボンズ(失踪) ==== マーティン・シドリー宅の煙突の中で、男性の焼死体が発見される。シドリーと恋人が暖炉に火をつけたところで異変に気づいて通報したのだが、被害者は煙突に押し込まれる数日前にすでに死亡し、焼かれていたものと思われた。遺体のポケットからはプラスチックのカード、煙突の周囲からは指紋と繊維片が発見される。だが指紋の方は煙突掃除業者の物で、事件とは無関係だった。 この事件はサラとニックの担当だったが、途中からキャサリンとウォリックが合流。2人は、1年前にキャロライン・フィッツギボンズという女性が失踪した事件を担当していた。最後に会ったシドリーが疑われたのだが、自宅の捜索令状までは取れなかったのだ。シドリーの家が「犯罪現場」になったことから堂々と捜査できるようになり、2人はキャロラインにつながる証拠を探す。床は漂白剤で清掃されていたが、階段の板を外してみると、中に血痕がしみこんでいた。だが、シドリーの弁護士は死体遺棄事件の捜査で別の事件の捜査をするのは違法であると主張し、その証拠を排除するよう申し立てる。 一方、プラスチックのカードはジムの会員証と判明。写真を復元してみると、それはシドリーの息子、ラスベガス大学の学生タッド・シドリーだった。タッドはここ数日行方不明だったが、時々姿をくらますのはよくあることなので、寮のルームメイトも特に気にしていなかったという。 その後、タッドのクレジットカードが使用されたことがわかり、店の防犯ビデオの映像を調べるが、そこに映っていたのはタッド本人だった。つまり、焼死体はタッドではなく別人だったのだ。 シドリーの弁護士からの要求で、シドリー宅の捜査は「焼死体遺棄事件」と直接結びつく証拠の採取のみに限定されてしまう。だがキャサリンは家の図面を調べ、煙突付近の間取りが不自然であることに気づく。煙突は焼死体の「発見現場」そのものなので、捜索に問題はないはずと判断して煉瓦を外して調べると、そこにはキャロラインの変わり果てた姿があった。レイプされ、ナイフで刺され、まだ息があるうちに壁の中に閉じ込められて死に至ったものと思われた。 問い詰められたシドリーは「キャロラインをレイプして殺したのは息子のタッドだ」と、タッドが生きているとも知らず告白する。タッドは隣室でそれを聞き「全部嘘だ」と言って父の前に姿を現す。 身元不明の遺体を煙突に入れたのは、キャロラインの父ドン・フィッツギボンズだった。病院に勤務するドンは、自動車事故で黒焦げになった身元不明の遺体を盗んで、シドリーの煙突に遺棄したのだった。ドンはシドリーを疑っていたが、自宅の捜索令状が取れないため、「犯罪現場」に仕立てて捜査させることを思いついた。タッドのカードを使ったのは「我が子を失う思い」を味わわせたかったためだった――。 ---- ===== 感想 ===== ストーリーは悪くないし、ドン役の Scott William Winters もすごく良かったと思う。この方は最近「24」のDay6でFBI捜査官役で出演していたのを見たばかりだが、全然違う雰囲気で、このエピでの彼の方が好感が持てた(というか、そういう役柄なわけだけど)。犯人のシドリーが逮捕され、娘の葬儀を出す、自分の望みはそれだけ――というドンの姿は、失ったものに比べて、望み得るものがいかに小さいかという深い悲しみを感じさせた。今IMDbをチェックして知ったのだが、この人はマイアミのシーズン3にあの人の役で登場した Dean Winters の弟だったのか! ……なのに、何か物足りない気がするのは、きっとグリッソム不足なのだろう。後半で少し登場しただけで、今回はキャサリンが「主任」という感じだった。令状が取れないためにわざと「犯罪現場」にしてしまう、という手法が前回見たばかりだったせいかもしれない。 そのせいか、細かい部分にばかり注目してしまった。冒頭のサラの衣装が犯罪現場(しかもドリルで煉瓦を壊して遺体を取り出す仕事)にはおよそ不向きな白いブラウスだったので心配になったり(屋根に上るときはさすがに着替えていたけど)、キャサリンのオフィスにある絵がロートレックの La Troupe de Mlle Eglantine だなーと思ったり。この絵について検索している途中で知ったのだが、「探偵物語」の工藤ちゃんの事務所にもこの絵が飾ってあったらしい。へー。 "Tell-Tale Heart" と "Cask of Amontillado" は、いずれもエドガー・アラン・ポーの短編小説。前者は前シーズンの「冷たい街」でもグレッグが口にしていたっけ。タイトルの Up in Smoke は、同タイトルの作品がいくつかあるが、TV.com には1978年のルー・アドラー監督作品から取ったタイトルではないか?との言及あり。Josh Berman が脚本を担当したエピソードは、こういうパロっぽいタイトルの物が多い。とはいえ、内容的には関係なさそうだけど。 --- //Yoko (yoko221b) 2007-04-19// [<>]