CSI - Season 9, Episode 8 ====== #190 Young Man With A Horn ====== * 邦題:「今宵、シャトールージュで」 * 脚本:David Rambo * 監督:Jeffrey Hunt * 初回放映:2008-12-04 ---- ===== 事件概要 ===== ==== レイラ・ウェルズ ==== オーディション番組「オーバーナイト・センセーション」の決勝戦出場者レイラ・ウェルズが高架下で布に包まれた遺体となって発見される。前日、レイラはリハーサル中にプロデューサーから罵倒され「もう耐えられない」と会場を出て行っていたのだった。 死因は腹部を殴打したことによる肝臓の裂傷。また、レイラはプロデューサーの子を妊娠していたことがわかるが、プロデューサーにはアリバイがあった。 遺体を包んでいた布からは、現在では使用されていないアスベストを含む粉末が検出され、またレイラの口紅も数十年前に製造されたものだった。リネンサービスのロゴから、現在は閉鎖されたカジノ「ル・シャトー・ルージュ」にあったものとわかる。 「ル・シャトールージュ」は、50年前のベガスで「黒人を門前払いしなかった初めてのカジノ」として一世を風靡したが、オーナーのローゼンタールが殺害され閉鎖。オーナー夫人のカレンは、「当時の世界を壊したくない」からと、店を売らず当時のままの状態で保存していたのだった。 店の中からレイラの携帯電話が発見され、レイラが同じく出場者のキップ・ウェスターマンとともに店へ来ていたことがわかる。携帯電話に記録された動画には、当時の衣装を身に着けてステージで踊るレイラの姿。そこへサックスを吹きながら老人が現れ、キップとレイラは驚いて逃げていた。グリッソムは物音に気づいてステージ奥へ行き、拳銃を手にした老人を発見。老人は脱水症状を起こし、その場に倒れる。 キップは、レイラとともにシャトールージュへ行ったことを認める。レイラの祖母はシャトールージュで踊っていたショーガールだったのだ。レイラは楽屋で祖母の衣装と口紅を見つけ、それを身に着けてステージに立つ。そこへ老人が現れたのだ。キップは老人に立ち向かうが、銃で撃退され店の外へ。その後レイラを探したがどこにも見つからず、「レイラはあの男と中にいる」と思って帰ったのだった。 劇場にいた老人は、レイラが死んだことを聞かされ「自分が犯人だ」と言う。持っていた銃を調べると、50年前にシャトールージュのオーナー、ローゼンタールを殺害した銃だとわかる。だがローゼンタール事件ではすでに、テナーサックス奏者のウィルソンが逮捕され、獄死している。グリッソムは当時の証拠を調べ直し、それが捏造されたものであることに気づく。 キャサリンとニックは改めて現場を調べ、レイラの打撲の傷跡に一致する装飾を持つ椅子を発見。レイラは驚いてステージから逃げる途中で椅子にぶつかって死亡した、つまり事故死だったものと思われる。さらに、そこで発見されたパンフレットから、老人の正体はシャトールージュのサックス奏者、ハリー・バスティールであることがわかる。ハリーは、幸せだった場所でずっと過ごしたいと願い、誰も入って来ないように遺体を動かしたのだった。 カレンはグリッソムに真相を語る――カレンは当時、ハリーと愛し合っていたが、逢引現場を夫のローゼンタールに見られて争いになり、カレンが夫を射殺。ハリーは罪を被ろうとしたが、カレンがそれを止めて逃亡させ、その後でカレンは自首した。だが当時、白人女性(しかも有力者の妻)と黒人男性の恋愛は禁忌。権力者たちはウィルソンに罪を着せ、殺人よりも許されないスキャンダルを隠蔽したのだった。 ---- ===== 感想 ===== CSIでは時々ある「オールド・ベガス」ネタ。それにプラスして冒頭は「アメリカン・アイドル」、ラストは「コールドケース」が加味された感じ。BONESにもズバリ「アメリカン・アイドル殺人事件」があったけれど、CBSではさすがにそこまで露骨なことは無理か。 オールド・ベガスといえばグレッグ。今回も現場を調べながら当時のギャングについて語っていた。それからそれから、「光り物を見ると試してみたくなっちゃう」発言も! 初期シーズンでは証拠品をかぶって踊ってたもんなぁグレッグ。あの頃のグレッグが懐かしい時もあるけど、今のグレッグにその行動はちょっと合わないかも。今それができるのはホッジスぐらいかな。ラボで踊ってたこともあるし。 さて、被害者はこのベガス版アメアイの出場者。死因は結局事故だとわかるが(内出血で死ぬほどの勢いで椅子にぶつかるなんて事もあるの?)、捜査を進めるうちにひょんなことから50年前の殺人事件が冤罪だったことが判明するが、これは少々唐突な気がなきにしもあらず。 50年前の口紅、いくらお祖母さんの形見だからってそのままつけるか? とか、冤罪で投獄された人に対して何か言うことはないのか、とか、レイラを探す時のキップの行動がいまいち不可解だったとか、キップのパパってマイアミのヘイゲンじゃん! とか、思うところはあるものの。全体としてはノルタルジックで切ない雰囲気にあふれた良い作品だったと思う。50年前、人種間の恋愛は殺人より許されないスキャンダルで、現代でも良い顔をしない人はいるだろうけど、それでもキップとレイラが同じステージに立ち「お似合いのカップル」と自然に言われる程度にはなってきている、という対比の構図も効果的だったと思う。 そして、最後の主任とキャサリンの会話。主任がポーカーで稼いだ話はシーズン3で言っていたが、その時に「生きた人間とテーブルを囲むことがあるんですか」と言ったのはたしかウォリックだった……。いよいよお別れが近づいているんだなぁと、きゅんと来てしまった。あぁ、あともう少し。 --- //Yoko (yoko221b) 2011-05-23// [<>]