CSI: NY - Season 8, Episode 8 ====== #170 Crossroads ====== * 邦題:「奪われた人生」 * 脚本:John Dove * 監督:Jeff T. Thomas * 初回放映:2011-11-18 ---- ===== 事件概要 ===== ==== ヴィンセント・コルシカ ==== 刑事裁判所のコルシカ判事が路上で射殺される。判事は陪審員とともにロシアン・マフィアが関与する事件の現場を視察していたので、マフィアによる暗殺かと思われたが、犯人は自転車に乗って発砲しており、マフィアの通常の手口とは異なる。犯人の物と思われる自転車は、現場の近くで車とぶつかって破損し、乗り捨てられていた。 検死の結果、判事は数週間前に不凍液を飲まされて食中毒の症状を呈していたことがわかる。つまり犯人は一度毒殺を試みて失敗していると思われるが、この手口もマフィアの物ではない。 薬きょうの指紋から、銃の持ち主は元ロシア軍人バーシェイの物と判明。しかし自宅へ行ってみるとバーシェイは旅行中で部屋は荒らされており、留守中に銃を盗まれたものと思われた。現場には犯人が残したと思われる食べかけのサンドイッチが残されていた。 現場に残された自転車を詳しく調べた結果、タイヤの中から指紋が発見され、ニック・アルバートソンのものとわかる。ニックの勤め先はコルシカ判事がよく行くステーキハウスだった。 ニックは自転車で車と接触したことは認めるが、判事の殺害は否定。接触した車に残る証拠や運転手の話と照合してみた結果、ニックが自転車で走って来た経路では判事の殺害現場は通らないはずだった。 ニックの経歴を調べてみると、未成年の頃から犯罪を繰り返し、何度も刑務所に入っていたことがわかる。最初の犯罪は、本来なら社会奉仕活動で済むような軽微なものだったが、なぜか少年更生施設に送られ、しかも記録はデータベースから削除されているとわかる。 代わりに書類の記録を倉庫から探し出して調べたところ、ニックの事件を担当したのは当時少年事件を担当していたコルシカ判事だった。さらに他の事件を調べたところ、フォレスト・ブルックという施設に何度も少年を送り込んでいた。この施設は民間経営だったが、ニックが入る少し前に経営破たんし、現所長のジェームズ・ネルソンによって買収されていた。民間の施設には、収容する少年の人数に応じて政府から給付金が割り当てられるため、判事は必要以上に少年たちを送り込み、給付金を増やしてネルソンから見返りを受け取り、関係を探られないよう記録を削除していたと思われる。 バーシェイの家に捨てられていたサンドイッチから唾液のDNAが検出され、ニックと同じくフォレスト・ブルックに送られていたトミー・ヒルと一致する。トミーはニックと同じ店で働いており、判事がネルソンとともに来店した時に2人の会話を聞いて不正を知った。2人が私腹を肥やすために自分の人生はめちゃくちゃになった――そう考えたトミーは判事への復讐のために不凍液を飲ませ、さらに銃で殺害した。ニックはトミーを止めようとして現場に行ったが、間に合わなかったのだ。 フラックらはネルソン逮捕のために自宅へ向かうが、ネルソンは拳銃で自殺を遂げる。 ==== アリー・ランド ==== アリー・ランドがレイプされた事件では、ジョン・カーティスが逮捕され、リンジーが予備審問で証言を行うことになった。 だが、アリーの血液検査の結果を見たリンジーは、検出された薬物の濃度が高すぎることに疑問を抱く。リンジーはもう一度アリーを呼び出して時間に間違いはないか確認するが、アリーは「時間は確かだ」と供述を変えない。時間関係がアリーの言う通りであれば、彼女は致死量の薬物を投与されたことになり、リンジーはその通り証言する他はなかった。 判事は、カーティスを起訴する相当の根拠はあると認めたものの、被害者の言い分に重大な疑問が生じたことを勘案し、保釈金を減額すると言い渡す。 ---- ===== 感想 ===== 前回、ジョーはリンジーとのちょっとした口論の中で「私は法律に従いすべきことをした。宣誓して証言をする法科学者として、貴女にも同じことをしてほしい」と言った。それが一種の予告だったのか、今回ラストはリンジーが科学者としての姿勢を試される。悪人を野に放たないために偽証をすることはないだろうと思ってはいたものの、実際に証言を聞くまでは少し不安だった。問題はこの後だ。 今回の決定はあくまでも保釈金の減額であって、起訴自体は認められている。だが、被告人を犯行に結びつける直接的な証拠がほとんどなく、被害者の証言頼みという裁判で、被害者の供述に疑問が生じたことの影響は大きい。さらに、保釈とはいえ被告人は自由の身。偽証したところで公判で無罪になってしまえば何の意味もないし、さりとて自由になった被告人がまた別の被害者を出したらそれもそれで嫌な事態だ。この後どうなるのか――結果は次回まで持ちこし。 メインの事件は、判事暗殺事件で、ロシアン・マフィアの犯行かと思いきや、個人的な復讐だった。判事とネルソンの会話、あまりにも説明がクリアでわかりやすかったので笑ってしまった。でもネルソンが最後に自殺したのは意外。結局あの2人は、弱い立場にいる貧しい若者を相手に力を振りかざして私腹を肥やしていたわけで、最後まで生き恥を晒すタイプかと思っていた。あるいは、立場が逆転して自分が収監されることに耐えられないという、弱さの表れと見るべきだろうか。 --- //Yoko (yoko221b) 2014-07-15// [<>]