Dexter - Season 5, Episode 12 ====== #60 The Big One ====== * 邦題:「闇の行方」 * 脚本:Chip Johannessen, Manny Coto * 監督:Steve Shill * 初回放映:2010-12-12 ---- ===== 概要 ===== デクスターは、ジョーダンに拉致されたルーメンを探しに行こうとするが、そこへアスターたちが「サプラーイズ!」と突然現れる。デクスターは、ハリソンの1歳の誕生パーティをオーランドで開くつもりだったが、アスターが「デクスターを驚かせよう」と思いついて皆でやって来たのだった。 ラグェルタはジョーダンが所在不明であることを知り、情報通知命令を出す。その頃ジョーダンはルーメンを車のトランクに入れて運び、露天商が不審な音を聞いていた。 デクスターは、ジョーダンが自分の私有地にルーメンを運んだとにらむが、ジョーダンが所有する土地は人目のある場所ばかりで、監禁には向かない。デクスターは「ユージーン・グリア」名義の地所を探す。 リディの遺体が発見され、殺人課の面々は船で現場へ向かう。ラグェルタはリディの携帯電話の履歴を見て、最後に話したのがクインであることを知って事情を聞こうとするが、クインは何も話そうとしない。ラグェルタはクインの靴に血のような跡があることに気づく。 そうこうするうちに、ユージーンが「リバー・ジョーダン」というキャンプ場を所有していることがわかり、デクスターは車を盗んで現場へ急行。だが到着する際に事故で車は横転、外へ這い出したデクスターはジョーダンに捕らえられてしまう。 ルーメンはキャンプ施設の地下に監禁されていた。デクスターもそこへ連行されるが、隙を見て反撃し、逆にジョーダンを捕獲。ルーメンが彼を殺害する。 だがその頃、露天商から目撃情報を聞いたデボラも単身キャンプ場へ向かっていた。デボラは地下でジョーダンの遺体を発見し、カーテンの向こうにいる2人に向かって「ここを通報するから今のうちに逃げろ」と行って出て行く。 デクスターとルーメンはジョーダンの遺体を遺棄し、「仕事」をやり遂げたことを喜び合う。 だが翌朝、ルーメンはデクスターに別れを告げる。大量の血の中で生まれた彼女は、最後の標的だったジョーダンを仕留めるともう欲求を感じなくなってしまったのだ。これ以上殺しはできないし、デクスターのそばにいることもできない。デクスターは驚き引きとめようとするが、最終的にはルーメンの決心を受け入れ「君の分まで僕が闇を背負っていこう」と言う。 ハリソンの1歳の誕生日。ハリソンを腕に抱いたデクスターは「願い事は、子どもたちのために」と、1本のロウソクを吹き消す。 ---- ===== 感想 ===== ルーメンを拉致されたデクスターはジョーダンの居場所を突き止め、「リバー・ジョーダン・キャンプ場」で対決の時を迎える。 そこは彼らが被害者たちを拷問していた場所だった、というような台詞があったような気がするが、ルーメンが監禁されていたのはボイド宅の屋根裏だったはず。ということは、キャンプ場でさんざん拷問した後にボイドの家へ移したということなのだろうか。ボイドは殺害した後、遺体をドラム缶に入れて沼に遺棄していたが、それを回収したコールはどこへ運ぶつもりだったのか? ドラム缶から発見された被害者は5人だが、被害者はルーメンも含めて13人いるはず。残りの7人はどうしたのか? ……といった謎は、主犯のジョーダンを始め犯人が全員死亡したために、結局わからないままになってしまった。今シーズンはメインの事件が始まるのが遅かったので時間が足りず、かなり消化不良な終わり方になってしまった気がする。 それはともかく、デクスターとルーメンがようやくジョーダンを仕留めた所へ、まさかのデボラ登場! どうするのかと思ったら、デボラは2人の正体を知らないまま(ジョーダンの被害者No.13だということは知っているが、それがルーメンで協力者が自分の兄だとは夢にも思っていない)、「今のうちに逃げろ」と見逃してしまう。今シーズンのデボラは「複雑だ」と何度か口にしていたように、今までの単純明快なデボラとは明らかに違う面を見せている。サンタ・ムエルテの首謀者を自分が射殺したということも影響しているのだろうが、ここでデボラが2人を見逃したということは、デクスターの正体を知るという展開が、今後ありうるということなのかもしれない。とはいえ、ここで相手も顔も見ずに見逃すというのは、いささかデクスターに都合が良すぎる気もするが、まぁそれはいつものことだ。 さて、2人はデボラが立ち去った隙に急いでジョーダンの遺体を処理。遺体を置いていっても良さそうな気もするが、そうすると「ジョーダン・チェイス殺害事件」の捜査が始まってしまうので、それよりは「殺人犯ジョーダン・チェイス」を追わせておいた方が都合が良いということだろう。しかしデクスターは事故った車をどうしたのか? あの車を自力で片付けるのは無理だと思うし、中にはデクスターの血や毛髪が残っているはず……しかも車を盗んだ場所はリディの現場のすぐ近くだったはず。どうしたんだろう。 ……などという疑問を残しつつ、ルーメンとデクスターはジョーダンの遺体を捨てて、ようやく復讐を完了して帰路に着く。デクスターは今まで何度もボートに乗っているが、「岸辺を目指す」描写は見たことがなかった気がする(あったかもしれないが全く印象に残っていない)。人々の営みを象徴するかのような、明かりの灯る街を目指す2人の映像は、とても叙情的で美しかったが、同時に何とも切なくて悲しみの予感に満ちていた。この2人はこのまま幸せに終わることは決してなく、近い将来に別離が待っているのではないか……ということを予感させていた。 だから、ルーメンが別れを切り出し、デクスターがそれを受け入れた時は何だかほっとした。ルーメンが死ぬという結末も予想できたわけだから。 ジョーダンを殺して遺棄したと同時に、ルーメンの闇は消えてしまった。もう殺人はできないしデクスターのそばにいることもできない。ブライアンもライラもドークスも、これまでデクスターの正体を知った者はすべて死亡したわけだが、ルーメンは最初にして唯一の生存者となるのだろうか。 ラストはハリソンの1歳の誕生パーティ。シーズンが始まった時、ハリソンは「生後10ヶ月」と言っていたので、このシーズンはちょうど2ヶ月間にわたる出来事ということになる。終わり方としては、次に続きそうな要素を残しつつ、話はきちんと終えるという、良い終わり方だったと思う。クリフハンガーがなくて良かった。 そもそも私はクリフハンガーで終わるフィナーレがあまり好きではないが、「デクスター」のようなドラマには特に向いていないと思う。というのは、次シーズンまでの期間が通常のネットワークドラマより長いから(9ヶ月)。次シーズンが始まった時、興味はすでに「その次」に向いているのに、前シーズンのフィナーレをもう一度見せられるようのは、まだるっこしい。12話しかないのだから、とっとと今シーズンの話を進めた方が良かったと思う。 で、次シーズンに続きそうなテーマとしては、やはりリディの件かな。クインの疑いは晴れたが、デクスターに感謝してる場合じゃないと思うんだけど……。クインはリディがデクスターを狙っていたことを知っている。リディに呼び出されてバンに近づいた時は、まさかリディが中で死んでいるとは思わなかっただろうが、いろいろ考え合わせると、あの時リディがデクスターに殺されたということは容易に想像できるはず。いくらデボラに本気でも、これはちょっと見過ごせないのでは……。 トリニティ事件の捜査とリタの最初の結婚の件はもう出ないのかな。2人とももう亡くなっているから続けようもないかな。リタの件は、使う予定だったのがジュリー・ベンツの降板でボツになったのだろうか。 ソーニャさんは、いかにも重要人物のような存在感があったが、結局ただのスーパーナニーで終わってしまった。ラグェルタとエンジェルは別れるのかな、と思っていたら結局仲直りしちゃってちょっと残念。この2人をくっつける意味はあったのかなぁという疑問は、前シーズンから感じているが、この先もそう思い続けると思う。 シーズン6は昨年末に米国での放送が終わったはず。例年どおりだとすると、Foxcrimeに来るのが今年の春頃で、DVDリリースが秋かな。次をいつ見るかは、次がクリフハンガーかどうかによって決めたいと思うが、それではまた10ヵ月(またはそれ以上)後! --- //Yoko (yoko221b) 2012-01-30// [<>]