Dexter - Season 6, Episode 8 ====== #68 Sins of Omission ====== * 邦題:「怠惰」 * 脚本:Arika Lisanne Mittman * 監督:Ernest Dickerson * 初回放映:2011-11-20 ---- ===== 概要 ===== デクスターはマイアミへ戻ってデボラに謝り、DDKはゲラーとその教え子の2人組だろうと聞かされる。その後ブラザー・サムの葬儀に列席し、サムが使っていた聖書を託される。 デクスターはホテルで女性が変死した現場へ出かけて行く。被害者は売春婦らしく、麻薬の過剰摂取による死亡と思われたが、倒れた後に誰かが身体を起こして心肺蘇生を試みた形跡があった。現場には珍しくラグェルタの姿が。 トラヴィスは絶縁宣言をした後も、ゲラーにつきまとわれ「戻って来い」と言われる。デクスターはトラヴィスの「闇の声」たるゲラーを殺そうと決意し、サムの聖書を使って「怠惰の罪」を解き、一緒にゲラーを殺そうと説得。ようやくトラヴィスも「週末に姉を友達の所へ行かせたら」と同意する。 デボラはゲラー関係者の聞き込みを行い、自らもトラヴィスの姉を訪ね「連絡してほしい」と自分の名刺を渡す。 ラグェルタはホテルでの女性変死事件に首を突っ込み「過剰摂取なのだから事故死で済ませろ」と言う。不審に思ったデボラがデクスターに血痕分析を急がせたところ、部屋に誰かがいたことがわかる。その報告を聞く時にデボラは、ネブラスカのモーテルのペンを見つけて、デクスターがジョーナに会いに行ったことを知る。「自分も彼もトリニティに愛する人を殺されたから」と聞いたデボラは「ランディが死んだのもトリニティのせいなのに、なぜ自分には何も言ってくれないのか」と怒る。 DDKの次なるタブローが発見される。小学校の校庭で、大淫婦バビロンの扮装で殺されていたのはトラヴィスの姉リサ。デボラは、自分が聞き込みをした相手だと気づいて「自分が来たせいではないか」と思う。デクスターは祭服らしい布が使われており、「ゴールウェイ」と名前が刺繍されていることに気づく。 その頃トラヴィスは教会に監禁されており、姉が「大淫婦バビロン」にされたと知ってショックを受ける。 ラグェルタはホテルの件で「これ以上殺人事件の解決率を落としてどうするの。過剰摂取に間違いないのだから事故死で処理しなさい」と圧力をかけ、ついにデボラも折れる。ラグェルタはどうやら、被害者の「客」の尻拭いをしているらしい。 リサの事件は、殺害方法は今までと同じだが、数字の紙片が発見されていない。紙片はトラヴィスの聖書から切り抜かれたものだったので、デクスターはゲラー単独の犯行であると確信。そして検索エンジンで「ゴールウェイ神父」を探して会いに行く。神父は認知症が進行しており、あまり手がかりは得られないが、閉鎖された教会があることがわかり、デクスターはそこへ向かう。そこでトラヴィスを発見し、「ゲラーがそこにいる」という言葉を聞いて探すが、ゲラーは姿を消していた。トラヴィスはデクスターに「自分も協力する。一緒にゲラーを殺そう」と言う。 ---- ===== 感想 ===== ネブラスカでの小休止をはさみ、舞台は再びマイアミへ戻ってDDK事件の続き。前回、デクスターのいない間にメトロ署の捜査が少し進んで、トラヴィス・マーシャルに行き着くのも時間の問題という雰囲気になっていた。犯人が2人組であることがわかり、共犯者はゲラーの教え子だろう、ということになる。卒業生も入れると膨大な数になるが、ゲラーの大学はタラハシなので、現在マイアミ在住の者という条件で絞り込むと、数はかなり減る。200人ということなので決して少なくはないが、人海戦術で聞き込みできる規模の人数だ。 前回のエピソードでデボラがリストをめくるシーン、トラヴィスの写真が別人ぽかったので「もしやルイスがリストを操作している? 共犯?」と一瞬思ったのだが、今回のエピを見る限りではそうではなさそう。そもそもルイスが共犯ならリストから名前ごと削除しているだろう。 トラヴィスが女性を逃がしたため、ゲラーの「大淫婦バビロン」製作はいったん中断していたが、ゲラーはトラヴィスを監禁し、新たな「バビロン」を見つけていた。それは何と、トラヴィスの実の姉リサ。ゲラーにとってリサは、トラヴィスを「悪の道」へ誘う「大淫婦」だったということか。 「ヨハネの黙示録」第17章で、天使がヨハネに「大淫婦が裁かれる」場面を見せる。大淫婦は「緋色の獣の背に座り、紫と緋色の衣をまとい、金や宝石で身を飾っている」のだそうだ(図1:バンベルク聖書、図2:デューラーの木版画)。額には「大いなるバビロン」と書かれているが、このバビロンというのはローマを示しているとのこと。当時のローマは、キリスト教徒にとってはまさに繁栄と堕落の都であり、そのローマの姿を淫蕩な女性の姿で象徴的に示したということのようだ。 さて、デクスターはまたも証拠を隠蔽して、独自にゴールウェイ神父を探し出し、ゲラーが根城にしていた教会にたどり着く。神父に「懺悔をしなさい」と迫られたデクスターは、相手が認知症なのをいいことに殺人を告白し「罪は赦された」という言葉を得る。その時のデクスターの表情は何となく「こんな簡単なことでいいの?」みたいな感じに見えた。もちろん、それで良いはずはないと思うのだけど、前回と前々回で「赦し」に関して悩み、暗闇の中をさまようようだったデクスターとの対比が何だか面白い。 トラヴィスはデクスターに助けられて、ゲラーを倒すために手を組むことを了承する。それは良いが、デクスターはその後トラヴィスをどうするつもりなのだろう。ルーメンやジョーナのように、自分の正体を知られたまま生かしておくつもりなのだろうか。 図1 {{http://hermitage.rdy.jp/csi/img/apocalypse/babylon_bamberg.jpg?125}} 図2 {{http://hermitage.rdy.jp/csi/img/apocalypse/babylon_duerer.jpg?150}} --- //Yoko (yoko221b) 2012-12-22// [<>]