Dexter - Season 8, Episode 11 ====== #95 Monkey in a Box ====== * 邦題:「2人のモーガン」 * 脚本:Tim Schlattmann, Wendy West * 監督:Ernest Dickerson * 初回放映:2013-09-15 ---- ===== 概要 ===== デクスターはヴォーゲル殺害の現場を整え、自分に関する資料をすべて処分したうえで「理由はわからないが彼女に呼び出され、来てみると殺害されていた」と警察に通報する。エンジェルは「ヴォーゲルは君と顔見知りだから」と言い、捜査に関わらせず帰宅させる。 デボラは警察に復帰し「サクソンを兄貴には渡さない」と言う。デクスターはハンナとともに渡航計画を立てるが、その前にサクソンを始末するつもりだった。 マイアミには熱帯低気圧「ローラ」が近づきつつあった。 サクソンが「キャシー事件の潔白を証明したい」と言って警察署に出頭し、デクスターはDNAを採取する。 サクソンは何度も身元を変えているが、職業はいつも変わらず建築技師。デクスターはサクソンが解体を許可した病院に注目し、廃病院でサクソンの「殺し部屋」を発見。そしてサクソンを「殺したい」ではなく「(方法は問わず)死んでほしい」と口にし、自分が変わったことに気づく。その場にあったノートパソコンにはすべての殺人の記録が残されていた。 クレイトンがデボラを訪ね、ハリソンを連れて病院に現れた「ハンナによく似た女性」について問い質す。デボラは、病院へ行ったのは自分で「叔母だとはっきり言った」と突っぱねる。デボラが共犯だと気づいたクレイトンは、エルウェイに協力を頼みこむ。 デクスターはシルヴィア・プラドに自宅の売却を依頼しており、「現金で家を買いたいお客がいる」と言われて戻ると、そこにいたのはサクソンだった。サクソンは「お互いに手を引いて別々の道を行こう」と提案する。デクスターは休戦協定を受け入れるが、内心では「手を引けない」と思っていた。 エルウェイは「私物を届けに来た」という口実でデボラの家にあがりこみ、作りかけの料理や旅行鞄などに目を留める。デボラは危険を感じてハンナをホテルに移動させる。 デクスターはサクソンがPCに保存していた動画を公開。メトロ署ではサクソンとヴォーゲルとの親子関係が判明し、サクソンに逮捕状が出る。デボラは「マイアミでの最後の夜だから」とデクスターの家に来るが、デクスターはサクソンを待ち伏せしていた。 その頃、連邦保安官はエルウェイとともにデボラの家を捜索し、パソコンで南アメリカ航空にアクセスした履歴を見つけていた。 次の日からデクスターのいない日常が始まる、と不安がるデボラに対し、デクスターは「自分は掟に導かれたが、お前は俺にない良識を持っている」と励ます。 その頃サクソンはTVニュースで自分が手配されたことを知ってデクスターの自宅へ。だが寝室に忍び込んだサクソンは、寝たふりをしていたデクスターとデボラにまんまと捕えられる。 デクスターは廃病院にサクソンを拘束して殺そうとするが、話しているうちに「殺すよりもハンナと一緒にいたい」と考え始める。自分にはもう殺したいという欲求がないのだと自覚したデクスターは、デボラに連絡して警察に任せることにしてその場を去る。 ゴースト・ハリーは「こんな日が来るとは」と嬉しそうな顔を見せる。 デボラは現場で応援を要請するが、クレイトン保安官が尾行していた。クレイトンは縛られているサクソンを見つけ、殺人犯とは知らずに解放して刺されてしまう。サクソンはクレイトンの銃を奪ってデボラを撃つ。デボラは撃ち返してサクソンに怪我をさせるがサクソンは逃亡。 デクスターはハリソンを連れて、ハンナの待つ空港へ向かう。 ---- ===== 感想 ===== うーむ。最終回まであと1回という所まで来たが、やはり今シーズンは失敗だったのではないかという気がしてしょうがない。少なくとも、私には面白くなかった。 あの状況でデクスターがしっかり引き継がずにハンナの所へ行ってしまう色ボケぶりもあんまりだが、クレイトンも連邦保安官にあるまじき無警戒ぶり。そのせいで自分は殺されてしまうしデボラは撃たれるし……デボラが死ぬという結末だけはイヤだ! 今シーズンはシリーズ最後ということもあり「デクスターとは何者であったのか」を明らかにしようというシーズンだったのだと思う。プロデューサー/脚本家のインタビューでも「サイコパスについて詳細にリサーチした」と言っていたように記憶している。 だがリサーチの結果を盛り込もうとするあまり、ストーリーや台詞が説明的になりすぎて面白くなかったのではないだろうか。デクスターはサイコパスなのか、サイコパスでありながら家族を愛する「完璧なサイコパス」なのか。ハンナへの愛によって、デクスターは殺人衝動を克服することができたのか――台詞などの描写が説明的なわりに説得力がなくて、いまいちピンと来ない。 デクスターの言動も何だかふらふらしていて、何がしたいのかよくわからない。そういう「迷い」や、迷いながら変化していく姿を描きたかったのかな、とは思うものの、やはりどうもダメだ。 過去シーズンを振り返ってみると、今までのフィナーレの終わり方は上手かったなと思う。特に、次シーズンの継続がまだ決まらず「継続でも打ち切りでも良いようにした」というフィナーレは良かった(具体的には1~3と5)。次に続く可能性は残しつつも、ストーリー自体はきっちりと終わらせていて、見終わった後に満足感を感じつつも「次を見たい」という気持になった。それに比べて何なんだ? 今季は……。 と、文句ばかり言ってしまったが、シルヴィア・プラドの再登場は過去シーズンとのつながりを感じさせて良かったと思う。シーズン3での「敵」だったミゲル・プラドの妻でリタとも親しかった。仕事は不動産の仲介業だったが、今も同じ仕事を続けているようだ。 --- //Yoko (yoko221b) 2015-05-23// [<>]