Law & Order - Season 3, Episode 5 ====== #49 Wedded Bliss ====== * 邦題:「ドレスに潜む闇」 * 監督:Vern Gillum * 脚本:Robert Nathan, Edward Pomerantz * 初回放映:1992-10-21 ---- ===== 事件概要 ===== ==== People vs. Ellis and Betty Drake, Rudy Amendariz (判事:Joseph Gannon) ==== 釣り人が、河で少女の遺体を発見。年齢は15歳くらいで、死因は絞殺。後手に手錠をされ、重りをつけて河に沈められていた。その少し前にもイーストリバーで、同年代の少年が似たような手口で殺害・遺棄されるという事件が起きていたが、被害者の身元すらわからず未解決になってた。遺体は腐敗が進んでいたため、頭蓋骨から生前の顔が復元される。 セレタとローガンは、別の事件の報告を受ける。アイラ・ベンダーという49歳の白人男性だが、絞殺と河に遺棄するという手口が共通。ベンダーは衣料産業の調査官で、縫製工場を調べていた。縫製工場では、不法入国した大勢の若者が、劣悪な環境で働かされているという。 復元した顔の人種的特徴から、少年と少女はメキシコ出身の可能性が高い。メキシコ移民の多いトレモントは、ベンダーが失踪する前に立ち寄った場所でもあった。トレモントでの聞き込みの結果、被害者はエドアルドとマリアという名で、家族を呼び寄せるために縫製工場で働いていたとわかる。工場は閉鎖されて廃墟となっていたが、中には血痕の付着したマットレスや手錠が落ちていた。血痕はマリアのものと判明。 閉鎖された工場のオーナーはエリス&ベティ・ドレイク夫妻だが、「使用していたのは請負業者で、自分たちは無関係」と主張。トレモント近辺の若者がたむろするクラブの経営者はルディ・アルマンダリスといい、子どもの頃からドレイク夫妻の縫製工場で働いていたという。ルディの店の酒類販売ライセンスを申請したのもドレイクだった。また、犯行に使われた物と同型、同ロットの手錠をルディが大量に購入していたこともわかる。 証拠はいずれも間接的な状況証拠であり、彼らを逮捕すべきか、刑事と検事の間で意見が対立する。だが話し合いの最中、ルディがドレイク夫妻の店に現れたという連絡が入ったため、刑事は店に急行してドレイク夫妻とルディを逮捕。だが以前調べた時に働いていたメキシコ系の若者たちは姿を消していた。 ドレイク夫妻は弁護士に取引を勧められるが、息子同然のルディを裏切ることはできないと断固拒否。だが検事が面会してみると、強硬な態度はベティの方だった。エリスの弟フレッドの話から、ルディがどうやらベティの愛人であるらしいことがわかる。エリスもそれは知っていたが、ルディへの恐怖からベティに追随しているようだ。 ルディの妻リナは、夫が子どもたちを殺害したことを知っていた。エドアルドとマリアは脱走しようとしたために殺されたのだと言う。弁護側は、婚姻関係に基づく特権を理由にリナの証言を阻止しようとするが、ストーンは犯罪計画を目撃した場合は例外が認められると反論。判事もそれを認め、証言を許可する。 だが、検事のオフィスでリナはそれまでの供述を翻し、「ルディは誰も殺していない、子どもたちがどうなったかは知らない」と言い出す。 ストーンはリナの証言を諦め、再び被告人3人と面談して取引を持ちかけて仲間割れを狙い、エリス・ドレイクの証言を得る。 エリスは証言台に立ち、ルディが逃げようとした子どもたちを監禁したこと、監禁部屋を見ようとしたベンダーを殺害したこと、エドアルドとマリアを他の子どもたちの前で見せしめのため殺したことを証言。だがルディの弁護人は、エリスが単独で殺害を行い、ルディとベティの関係を知り、2人を恨んで罪を着せているように印象付けようとする。 これに対抗するため、検事は再びリナの線を狙うが、調査の途中で、リナの祖母ケイティ・アンドンがブルックリンに家を持っていることがわかる。ルディはクラブに警察が来た直後、ケイティを呼び寄せて一緒に住まわせていたのだ。ストーンは、ルディの本当の意図に気づいて即座に刑事を派遣。ケイティの家の庭には、7名の遺体が埋められていた。 ストーンは7名の第2級謀殺を加えて再起訴しようとするが、発見現場はケイティの家であり、ルディを直接結び付ける証拠はない。シフは取引を指示する。被害者は10名で、本来なら25年×10で250年の刑のところを、1名だけの25年に減刑することで取引が成立する。 ---- ===== 感想 ===== メキシコからの不法移民を利用した過酷な労働環境での重労働。不法滞在という弱みがあり、多くは英語も話せないので、どんなに酷い環境でも耐えるしかない。搾取する側は、環境を整えて労働力を確保するよりも、どんどん使い捨てて、足りなくなったらまた中南米諸国から「調達」する方が安上がり――書いていて気が滅入る話だが、16世紀頃の奴隷貿易とあんまり変わらない話なんじゃないかとか、日本でも似たようなことがあるんじゃないかと思うと、さらに気が滅入ってしまう。 それはさておき。今回も事件自体の描写が面白く、法廷ドラマとしてより刑事ドラマとして面白かった。ルディの非常な悪人ぶりも見事だった。ルディ役の俳優さんはCSIのキャバリエ刑事だが、それ以外は24でもDexterでも殺人犯とかテロリストの役ばっかりじゃないか。エリス役の人は The Wire の黒幕「ギリシャ人」だったな。 検事側の方では、婚姻関係に基づく特権というのが、今回のエピで初登場かな。妻(夫)は、夫(妻)の同意なしに夫(妻)に不利な証言をできないという特権らしい。配偶者に不利な証言を「しなくてよい」というのは他のドラマでも見たけれど、「するな」と言うこともできるのか~。 * [[http://www.waseda.jp/hiken/jp/public/review/pdf/39/03/ronbun/A04408055-00-039030204.pdf|「被告人に不利な妻の法廷外供述の許容性と証人対面権」]](比較法学39巻3号、PDF) ところで、こんな非道な犯罪でも「第2級謀殺」なんだ――と思ったら、どうもこの時代のNYでは「第1級謀殺」は警官、保安官、検事、その他法執行機関の人間を殺害した場合にのみ適用されることになっていたらしい。The Law and Order FAQ ((2020年現在サイトを確認できず。おそらく閉鎖。))によると、シーズン6が始まる前に法律が改正されて、その他の殺人事件にも第1級謀殺が適用されるようになったとのこと。シーズン1~5では、第1級謀殺で起訴されたのは、シーズン2の1話「自白の行方」だけだそうだ(マックス~~~)。 --- //Yoko (yoko221b) 2008-05-01// [<>]