Law & Order - Season 3, Episode 22 ====== #66 Benevolence ====== * 邦題:「行きすぎた献身」 * 監督:Ed Sherin * 脚本:Doug Palau, René Balcer * 原案:Doug Palau * 初回放映:1993-05-19 ---- ===== 事件概要 ===== ==== People vs. Gordon Bryce ==== キャシー・マッケナという女子学生が路上で絞殺される。キャシーは聾唖者で、事件直前に誰かと手話で話しているところを目撃されていた。キャシーはその夜、恋人ベン・フリードとの約束を断って誰かと会う予定だったという。ベンと出会う前には、ポール・クランドルというやはり聾唖者の青年と親しくしていた。だが、社交的で聴者とも親しく付き合うキャシーに対し、ポールは自分のうちに閉じこもる傾向があり、やがてキャシーの方から離れていったという。 キャシーとポールは、耳に埋め込むインプラント(音声の振動を感じ取れるようにする装置)のことで対立していた。さらに、ポールが何度もキャシーに電話をかけていたことがわかる。彼らが使っているのは、文字情報をやり取りして内容を印刷する機能があるため、ブリスコーとローガンはキャシーのアパートのゴミ箱を探し、通話記録を探し出す。そこには、キャシーの通話相手が口論の末に「殺してやる」と脅した様子が記録されていた。ポールはキャシー殺しの容疑で逮捕される。 ロビネットは、プリントアウトに示されたのが本当にポール・クランドルの言葉であるか調べるため、言語学の専門家の意見を聞く。手話には通常の英語とは異なる独特の文法がある。聾者も英語の文法を学び通常と変わらない文章を書くが、電話での会話では手話文法の癖が出やすい。だが、ポールが書いたと思われる文章には、普段手話を使わない聴者が書いたという特徴が現れていた。 改めてキャシーの周辺を調査した結果、その脅しを書いたのは聾学校の校長ゴードン・ブライスらしいという疑いが強まる。ブライスはキャシーに執着し、大学卒業後は自分の学校でプロジェクトの責任者に任命しようとしていたが、キャシーはそれを振り切ってカリフォルニアの大学院に進もうと考えていた。令状を取って自宅を捜索した結果、キャシーの首を締めたスカーフの繊維や血痕が衣服から発見される。だが弁護についたアーサー・ゴールドは、犯行を直接裏付けるものではないと主張し、寄付された20万ドルの小切手を持って秘書のマーシア・ヘンドリックスの家に行き、学校の運営について話し合っていたというアリバイを主張する。 その主張内容に疑問を感じたロビネットは、学校の帳簿を調査。その20万ドルは、新たに設立された基金に振り込まれていた。その基金の代表はゴードン・ブライスで副代表がキャシー・マッケナだったが、事件後に副代表がマーシアに変更されていたことがわかる。アリバイ偽証の見返りとしての昇進であろうとにらんだ検事は、マーシアを追及してブライスのアリバイを崩す。 マーシアはブライスの通話記録を保存していたため、彼の犯行のことを知っており、そのことを証言する。だが、ゴールド弁護士はプライバシーの侵害を理由にその証拠を排除するよう申し立てる。だが判事はゴードンの主張を却下。検察は第1級故殺罪での取引を提示する。ゴールドは抵抗するが、ブライスはその罪状を受け入れる。ブライスはキャシーを育て、会話することを教えてきた。そしてキャシーが発案したプロジェクトに心血を注ぎ、苦労してやっとのことで資金援助を受けられることになったのに、その途端に自分を捨てて他の男とカリフォルニアへ行こうとする彼女を恨んで犯行に及んだのだった。 ---- ===== 感想 ===== 今シーズンはプレミアも地味だったけれど、フィナーレも地味――というか、いつもと変わらないエピソードで終わった感じ。フィナーレだから、何だからと特別なことをやらず、地道に安定したドラマを供給する姿勢は評価したい。だがその反面、シーズン1や2のように、クレイゲンやシフにもう少し活躍の場があっても良かったんじゃ? てな気持ちもあったりして。特にクレイゲンとロビネットは今回のエピソードで本家のレギュラー出演は終わってしまうのだし……。 事件の方は、二転三転するようでそうでもなかった、というところか。終盤でマーシアが怪しく見えてきたものの、やったことは結局アリバイ偽証だけ。まぁ、加害者が男性なのは最初からわかっているわけだし、これはこれでいいか。 ポールの弁護士が「ザ・プラクティス」のエレノア役の人で、同じ弁護士だったこともあって、何だかもうエレノアさんにしか見えない雰囲気だった。このエピ、プラクティスが始まる4年も前だったのに……。で、例によってIMDbをチェックしてみたところ! 彼女はシーズン1の「Life Choice(生命の行方)」にも登場しているじゃないですか! え~こっちは全然印象に残ってなかったわ~。 弁護士といえば、ブライスの弁護人になったアーサー・ゴールドは、シーズン2の「Severance(知略の攻防)」にも同じ役で登場。今後も何回か出演予定があるみたい。あの時もいろいろと細かい点を穿り返して検事を困らせていましたわね。 作中で言及されていたWisconsin v. Rewolinskiの事件は、NY Timesに記事があった。 * [[https://www.nytimes.com/1990/03/30/us/law-testing-privacy-rights-in-the-world-of-the-deaf.html|LAW; Testing Privacy Rights in the World of the Deaf]] --- //Yoko (yoko221b) 2008-09-10// [<>]