====== #2 Echo Park ====== *邦題:「エコーパーク」/「カルト集団の復讐」 *脚本:Peter Blauner *監督:Alex Chapple *初回放映:2010-10-06 ---- ===== 事件概要 ===== ==== ジェーン・レイバーン ==== 殺人罪で服役し、30年ぶりに仮釈放されたばかりのジェーン・レイバーンが刺されて殺される。ジェーンは、70年代に大量殺人事件を起こしてLAを震撼させたカルト集団、「エコーパーク団」の一員で、乳がんを患って仮釈放されたが、いまだに彼女に恨みを持つ者は多く、何通もの脅迫状を受け取っていた。また、事件の直前に撮影されたビデオには「エコーパーク団」が当時合図として使っていた口笛の音が録音され、ジェーンはその音にひどく怯えていた。 「エコーパーク団」のリーダー、デニス・ワトソンは精神疾患のため医療刑務所に収監中。ワトソンのもとに送られた手紙の中に、ジェーン殺害をそそのかすような内容のものがあり、調べてみると、元受刑者のマウラ・ディロンが送ったものとわかる。マウラはジェーンと同房で、彼女から度重なる暴行を受けていたという。傷口と一致する形の園芸用ナイフを持っていたことがわかり、マウラはジェーン殺害の容疑で逮捕される。 6年前、マウラは自宅に放火して自分の子どもを殺したとして有罪になったが、事件を担当した検察官が判事と男女関係にあったことがわかり、再審が認められていた。当時事件を担当したのは、ウィンターズの妻、ケイシーだった。 マウラ側が「無実の罪で刑務所に入れられ、暴行を受けたトラウマが原因」と主張したため、担当検事のデッカーは、放火が冤罪ではないことを立証して対抗しようとするが、事件を調べ直してみると、放火ではなく家電のショートが原因の事故で、燃焼促進剤も使われていなかったことがわかる。 地方検事は、冤罪の件にはふれず短期の求刑でお茶を濁そうと考えるが、デッカーは弁護側との取引を自ら取り下げ、「冤罪であることは世間に知らしめるべきであり、取引ではなく陪審に決めさせよう」と決意。 弁護側はジェーンがマウラを暴行した事実を持ち出し「ジェーンを殺さなければ自分が殺される」と思いつめたうえでの正当防衛を主張する。さらにケイシーを証人として召喚するが、土壇場でデッカーがマウラの放火殺人の件は冤罪だったと認める。それで、放火とジェーン殺害の関連はなくなったとみなされ、ケイシーは証言せずに退廷。 デッカーは自ら証言台に立ったマウラに対し、彼女が善良で愛情深い母親であるという話から始め、仮釈放されたジェーンが当時とは異なり、病気で衰弱していたことに話をつなぎ「彼女はもはや危険な存在ではなくなっていた。あなたは怒りに駆られ、復讐を望んだのではないか。善良な人間は真実を話すべきである」と話を導いていく。証言台でマウラは動揺し、冤罪で収監され、いわれなき非難を受けたことに怒っていたこと、だが自分を刑務所に入れた司法システム自体に復讐することはできないので、その対象としてジェーンを選んだのだ、これは正当防衛ではなく復讐であったと認めてしまう。 正当防衛の主張が崩れたため、マウラは取引を受け入れ「故意故殺で12年、6年服役したとみなして6年の実刑」というデッカーの提案に同意する。 ---- ===== 感想 ===== 今回の検事はテレンス・ハワード演じるジョー・デッカー。地方検事(DA)のジェリー・ハーディン(ピーター・コヨーテ)も今回が初登場。というか警部補も実質今回が初登場なので、ここでようやく体制が整ったというべきか。デッカーと西郷、もといモラレスの違いはまだよくわからないが、今回の話でデッカーが上からの命令や政治的なことよりも自らの信念と正義を貫くタイプだということが示されたと思う。ドラマの主人公はやはり、こうでなくては。 事件は、カルト集団の関与が? と思わせておいてカルトはほとんど関係なかった。テレ東のサブタイトルは煽りすぎだろう(いつもこんなもんか?)。カルトの元リーダー、ワトソンを演じたマイケル・マッシーは「24」ではテロリスト、「クリミナル・マインド」では死刑囚の役、CSI:NYでも犯罪者だったような気がする。 事件に関連して過去の放火事件が再捜査され、ウィンターズ刑事の妻ケイシーが登場。ウィンターズはイケメンで家族思いということで、本家のカーティス刑事を思い出すキャラだな。 その放火事件は冤罪だとわかったものの、マウラの行動は正当防衛ではなく怒りによる代償的な復讐だったということが、法廷で明かされてしまう――という展開だったのだけど。本当にそうだったのかな? という疑問が最後まで消えなかった。そもそもマウラがやってもいない放火殺人を「自白」してしまったのはなぜなのか。ケイシーがそれほど悪い警官ではないと――つまり、点数稼ぎのために自白を強要することまではしないとしよう。それでも「彼女が犯人だろう」という確信をもって取り調べに臨み、「説得」を試みた結果そうなってしまったとしたら、それと同じことが今回の法廷で起きていないとも限らない。強要というほどではなくても、確信をもって「こうだったのだろう」と言われると、そうでなくても思わず同意してしまう、マウラにはそういう弱さがあったのではないか。 でもマウラは取引を受け入れたので、これ以上明らかになることはないのだろう。マウラも、公開の法廷で冤罪が明らかにされるということ以上は望んでいないようだった。ジェーンを殺したのは事実なので、刑に服すことに不満はないということか。12年のところを6年服役したとみなして差し引き6年の実刑、というのは犯罪を犯す前に刑を済ませたようで、何だか変な感じだけど。 疑問はもうひとつ、冒頭の口笛。これはマウラの仕業のようだが、口笛ってそんなに大きな音にならないでしょ。「ピーッ」と甲高い音じゃなく、「ひゅひゅひゅ~」と、そっと吹く感じの音だったし。ジェーンが周囲を見回した時、マウラの姿はなかった。場所はビーチで人が隠れられるような場所もなし……マウラはジェーンを尾行し、離れた場所から監視していたのだろうが、どうやって口笛の音を聞かせたのだろう。 今回のタイトル、エコーパークを地図で探してみた。でも事件が起きた現場は、ここではないよね? ジェーンはビーチで酒を飲み、そのすぐ後に殺されているので、もっと海岸に近い位置ではないかと思われる。今回のタイトルは、ジェーンのいた組織が「エコーパーク団」だった、というだけのことなのだろう。その「エコーパーク団」に何か特定のモデルがあるのかは不明。作中でもちらっと名前が出てきたチャールズ・マンソン・ファミリーあたりだろうか? [[https://maps.app.goo.gl/Khsm9ht6Mw7remYy6|Google Mapで見る]] ---- ===== 使用楽曲 ===== * "Venice Queen" by the Red Hot Chili Peppers ※この局はテレ東版のエンディングテーマにも使用されています。 --- //Yoko (yoko221b) 2013-11-09// [<>]