====== #13 Van Nuys ====== *邦題:「ヴァンナイズ」/「ポルノ業界の掟」 *脚本:Julie Martin *監督:Vincent Misiano *初回放映:2011-06-27 ---- ===== 事件概要 ===== ==== デイヴィッド&クロエ・シュワブ他4名 ==== 誕生パーティが開かれているシュワブ家に侵入者があり、夫妻と来客3名が殺害される。寝室からはコカインが発見されるが、家主は犯罪とは無縁。ただし、来客のレイシーには薬物所持の前歴があった。レイシーの自宅は荒らされており、ルームメイトのエリンも現場にいたことがわかる。エリンは現場から逃げ出して実家に隠れていた。 エリンとレイシーはAV女優で、パーティへの出席も「仕事」として請けたという。仕事を仲介したのは俳優のジャッキー。エリンからジャッキーに連絡したところ、殺人の実行犯と思しき2人組が現れ、その場で逮捕。彼らはアルメニア人のギャングだった。 立件するにはジャッキーの証言が必要だが、彼は行方不明。周辺を調べると、ジャッキーがアルメニアギャングのボス、サルキシアンの自宅に立ち寄ったことがわかる。その頃サルキシアン家に泥棒が入っていたことがわかり、ジャッキーとシュワブが麻薬を盗んだため、ギャングが報復したのではないかと思われた。 ジャッキーが以前に逮捕された時に保釈させたのは、映画会社を経営するアダム・ブレナン。エリンもレイシーもブレナンの映画に出演していた。だが、ジャッキーはスタジオにいると言われて行ってみると、彼はすでに射殺されていた。銃弾がサルキシアンの家にあったものと同じだったため、サルキシアンは逮捕される。 だが、シュワブ夫妻と薬物の関連を示す証拠はまったく見つからない。ジャッキーが夫妻に罪を着せただけで、真の狙いはエリンだったのではないかという疑いが生じる。エリンの周辺を調べるうちに、元彼のジョーが薬物依存症でHIVに感染していることがわかる。ジョーは感染を知ってからもエリンと性交渉し、それをブレナンに知らせていたというのだ。ジョーが連絡した直後、ブレナンはエリンを解雇し、彼女が使っていた小道具(要するに大人の玩具)を回収したという。刑事たちは、ブレナンが感染の事実を隠蔽するためにエリンを殺させようとしたのではないかと疑う。AV俳優はHIVの検査を義務付けられており、感染者が出ればスタジオは閉鎖。ブレナンの会社は以前にも閉鎖されたことがあり、もう一度閉鎖となると、経営は立ち行かなくなる。 エリンもHIV陽性だったとわかり、モラレスはブレナンを起訴。「アルメニアギャングを根絶する」と明言したDAのハーディンは怒り、取引を指示。デッカーがサルキシアンの銃撃事件を担当してブレナンに証言させる。ブレナンはジャッキーの件も含めた全面免責と証人保護を要求したうえで証言台に立つ。 銃撃事件でサルキシアンは有罪になる。そこでモラレスはブレナンを再び逮捕。罪状は「HIV感染者との無防備な性行為を強要した」というもので、これは取引の条件に入っていなかった。 エリンは「俳優はみな検査を受けているから、性病に関しては安全だ」と言われ、ブレナンの意向で性行為を行ったと証言する。弁護側は、感染自体はプライベートであり、ブレナンに通知義務はないと主張するが、モラレスは「検査を受けているから安全だと告げた以上、ブレナンには所属俳優に対する責任があり、ひそかに検査して結果を隠蔽したことは人命より富を守ろうとする行為である。すべての生命は尊ばれるべきではないのか」と熱弁をふるう。事件は裁判で審理されることが認められるが、ブレナンは罪を認め、20年の実刑を受け入れる。 ---- ===== 感想 ===== TJの色ボケ恋愛エピが来るとは、予想していなかったのでちょっと意外。でもまぁ、ウィンターズは愛妻家の堅物だから、これは自動的にTJの役割ということになるのかな。 若く美しく、しかし決して大女優やセレブにはなれないAV女優たちと、女優を消耗品のように使い捨てていく制作会社。しかし使い捨てられていく女性たちもそれぞれ尊ばれるべき人格を持つ生身の人間なのだ――というメッセージは伝わってきたものの、似たような話が「[[:csi_miami|CSI:マイアミ]]」にあったし、AVと売春の違いはあるが本家の初期にもあったので何だかデジャブ。 このエピソードが何だかイマイチだったのは、内容的に新しくなかったという理由も多少はあるだろう。だがそれ以上に、エリンの存在感がやや薄っぺらい感じだったせいではないかと思う。エリンとTJの恋物語には未来の予感がない。TJはエリンのもとを何度か訪れるかもしれないが、それを長期間続けていこうとか発病したら支えていこうといった覚悟までは感じられなかった。マイアミのスピードルとサラよりもっと未来がない感じ。エリンは「職業が何であれすべての命は等しく尊ばれるべき」というメッセージを言うためだけに生み出され、そのメッセージを効果的に伝えられそうな外見や性格を与えられ、伝えた後は役割を終え、ドラマの制作者によって使い捨てられている――そんな風に思えて仕方がなかった。その扱いの軽さ、現実感のなさに言いようのない居心地の悪さを感じる。 この前はロシア人の誘拐団が出て来たが、今回はアルメニアギャング。サルキシアンもそうだが、アルメニア人の姓には「アン」「ヤン」で終わるものが多い。ロッキード事件で有名なコーチャン氏(お若い方はご存じないかな)も、もとはアルメニアの「コチヤーン」さんだったそうだ。 タイトルのバンナイズは、「24」に出て来た空港のある所で、北西部に位置する。これはスタジオのある場所だっけ? [[https://maps.app.goo.gl/vgL3QgHSMvgok1SAA|Google Mapで見る]] --- //Yoko (yoko221b) 2013-12-29// [<>]