The Wire - Season 4, Episode 8 ====== #45 Corner Boys ====== * 邦題:「街角の少年たち(コーナー・ボーイズ)」 * 監督:Agnieszka Holland * 脚本:Richard Price * 原案:Ed Burns, Richard Price * 初回放映:2006-11-05 ---- //"We got our thing, but it's just part of the big thing." -Zenobia// ===== 概要 ===== ハークがマーロにだまされて身体検査をしたジャマイカ人女性が、ハラスメントの苦情を訴える。ハークはカメラを無断で使用したため、その情報は「信頼できる情報源」から得たという話をでっち上げる。 特別教室。雑誌を読むなと注意されたネイは「これは俺のじゃない、最初からここに置いてあったんだ」と強弁する。コルヴィンはそれを聞いて笑う。学校で彼らは自分たちを売人、教師を警官に見立て、彼らなりにストリートで生きる方法を学び訓練を積んでいるのだ。コルヴィンが「良いコーナーボーイの条件は?」と訊ねると、生徒たちは活発に意見を交わし始める。 ハークは何とかカメラを取り返そうとマーロにアプローチ。ハークの名刺はマーロからプロップ・ジョーに渡される。プロップ・ジョーは、ハークの現在の所属がMCUであることを突き止める。 空家でクリスとスヌープがNYの売人を殺害。2人は、若者たちを相手に戦闘訓練も行っていた。だがプロップ・ジョーは、NY勢が「消えてなくなる」だけではメッセージが伝わらないとマーロに注意する。クリスとスヌープはその後、NYの売人を射殺し、今回は路上に放置する。 次期市長のカルケッティは、市警察の殺人課を視察し、翌日は防弾ベストを身につけて麻薬の一斉捜索に同行する。カルケッティは、低水準の摘発と逮捕に人員が無駄に費やされていることを知る。ロールズの説明によると、アファーマティブ・アクションの濫用により幹部の質が低下し、数合わせのために小規模な犯罪者の「乱獲」が行われている、ということであった。カルケッティはその後、ダニエルズにも話を聞くことにする。 バンクはオマーの襲撃事件をもう一度調べ直すよう担当刑事を説得。クラッチフィールドは耳を貸さなかったが、ホリーはバンクを伴って再度現場を訪れる。バンクはアンドレの供述に矛盾点を見出し、さらにその店がドラッグ供給拠点であることも見抜く。バンクとホリーはその後、裁判所からの召喚状を持ってアンドレの店に現れる。アンドレは「薬で頭が朦朧としていて……」と言い訳を始める。 学校では、4月に行われる一斉テストの準備について教師たちが話し合う。これはNo-Child-Left-Behindと呼ばれるカリキュラムの一環で、とにかくテストに合格させることが最優先だという(点数が悪ければ、学校の運営は州のものになってしまう)。プレッズは「数学ではなくテストを教える」ことに疑問を感じるが、彼自身もまだ教師としては半人前の身。最初の1年は生徒のことより、自分が生き残ることを考えなければならないのだった。 ハークは何とかカメラを取り戻そうと必死に活動。西地区のカーヴァーとともに、マーロたちに執拗に身体検査をしたり、クリスとスヌープの車を捜索したり。だがカメラを取り戻せないとわかり、何とか殺人事件で点数を稼ごうと方針転換。ランディの証言は間接的で使えないが、彼の話から「リトル・ケヴィン」が直接の目撃者らしいことがわかる。ハークとドーザマンはリトル・ケヴィンを探しに行く。 カルケッティはロールズとダニエルズを味方につけ、市警察を現在のバレルの方針から脱却させることを考える。ダニエルズはカルケッティのアプローチに対して慎重な様子を見せるが、カルケッティはダニエルズを警視正(colonel)に昇進させ、病死したフォースターの後任として殺人課のトップに任命する。 クリスとスヌープは銃を港に投棄。さらに、ハークが職務質問でネイルガンを手に取ったことから、そのネイルガンも投棄する。 ---- ===== 感想 ===== コルヴィン先生の「ここはストリートの予行演習の場」という指摘が興味深い。そう言われてみれば、ランディが殺人事件の情報と引き換えに許してもらおうとしたのって、司法取引の発想だったのだ。 ハークの所属を探ろうとするプロップ・ジョーの声色! 何で電話を転送されるたびに声色を変えて違う人物を名乗るんだろう。面白かったけど。 さて、そのジョーと提携してマーロの組織がどんどん用心深くなって行く一方で、警察の動きはやはりどうも暢気すぎる。視察に訪れたカルケッティが「私がいるからといって普段と違うことはしなくてよい」と言うと、グレッグスは居眠り、フリーマンはドールハウスの家具作り、ランズマンはエロ雑誌といういつもの姿に戻って行く。「死体が出れば話は別」なんだろうが、死体は空家の中にごろごろ転がっているのよ~~! ああほら、ネイルガン捨てられちゃったじゃん……。 このエピソードでは、殺人課の主任だったフォースター警視正がガンで死去し、刑事たちはアイリッシュバーでお通夜。何でも、フォースターを演じていた俳優が撮影中に本当に亡くなったのだそうだ。だが、その事実が作中で「ダニエルズの昇進」へと、ごく自然に続いているのがすごい。俳優さんがお元気でも、ダニエルズが殺人課の主任になるという流れは最初からあったのかもしれないが、どういう展開になっただろう。 それにしてもマクノルティがクラブソーダ&ライムを飲んでいるってどういうことっすか?! 今季のマクノルティは全然マクノルティらしくない……。 --- //Yoko (yoko221b) 2008-08-15// [<>]