The Wire - Season 5, Episode 9 ====== #59 Late Editions ====== * 邦題:「最終版」 * 脚本:George Pelecanos * 原案:David Simon, George Pelecanos * 監督:Joe Chappelle * 初回放映:2008-03-02 ---- //"Deserve got nuthin' to do with it." -- Snoop// ===== 概要 ===== フリーマンは受信した時計画像を見て物資の補給が行われることに気づき、マーロ組を監視していた警官たちを集めて、取引場所を割り出す。その後、クリスが到着して荷を確認。ドーザマンらは外で監視し、彼らの写真を撮る。さらにその後、モンクとチーズが相次いで荷物を引き取りに現れる。 ボルティモア・サン紙には、閉鎖されたロンドン支局からロバート・ルビーが戻って来る。ヘインズはスコット・テンプルトンの記事の信憑性を評価してほしいと内密に頼み込む。 市長の補佐官スタイントーフは、ロールズとダニエルズに対し、犯罪発生件数を10%下げるよう厳命する。パトカーを走らせ巡査の姿を見せるだけでは犯罪は減らない、有能な警官を育てていなければならないのだとダニエルズは説明するが、スタイントーフはとにかく知事選を有利に運ぶために犯罪件数を落とせの一点張り。 その後、ダニエルズは「マーロを追い詰められるので、すぐに令状を取りたい」とフリーマンから緊急の要請を受ける。話し合っている間にシドナーから連絡が入る。交通違反を口実にモンクを逮捕し、麻薬と携帯電話を押収したという。 警官隊の一団が突入し、チーズたちを逮捕し、麻薬と携帯電話を確保。バンクはクリスの逮捕状を執行する。フリーマンはマーロを逮捕。スヌープがマイケルの家に行くと、「末端価格1600万ドル相当のヘロイン」を押収して記者会見を開くカルケッティ市長の姿がニュースで報じられていた。記者会見場で、アルマはダニエルズからコメントを取ろうとするが、ダニエルズは「以前は事実無根のことを書かれた」とそっけない。 留置場で、マーロ、モンク、クリス、チーズらは情報がどこから漏れていたのかを話し合う。組織の幹部は全員逮捕されているため、マイケルに疑いがかかる。話の途中で、オマーがストリートでマーロを馬鹿にしていたことがわかり、マーロは激昂する。 マーロはリヴィ弁護士と保釈について話し合う。クリスは殺人、マーロは麻薬密売のトップと目されているため保釈は困難と思われた。マーロは、時計を使った暗号通信が「情報提供者(source of information)」によって伝わっていることを不審に思う。暗号を知っているのは彼の他にクリス、モンク、チーズだけで、彼らは全員逮捕されている。スヌープさえ知らないという。 ヘインズは自分でもテンプルトンの記事について調査し、ダニエルズに関するコメントが嘘であったことを知る。さらに軍病院にテリー(ホームレスの帰還兵)の戦友を訪ねて話を聞くと、テンプルトンの記事には事実も入っていたが、大げさな誇張や嘘が多いということがわかる。 フレッチャーはバブルスの取材を続ける。バブルスはNAミーティングで初めてシェロードの名前を口にする。 クレイ・デイヴィスは、ドラッグディーラーの弁護士たちが資金洗浄を行う手口をフリーマンに話して聞かせる。リヴィ弁護士は大陪審の周辺にいる協力者を得て、機密書類を売りさばいているらしい。 グレッグスはカーヴァーを訪ね、部下たちには「自分たちは何も知らされず、ただ命令どおりに動いただけ」と言わせるよう助言する。その後、グレッグスはダニエルズのオフィスへ向かう。 マイケルはスヌープから「仕事」を指示され、車に同乗する。だがマイケルは、スヌープが自分を殺すつもりだと見抜き、逆に彼女を射殺。その後、急いで自宅へ戻り、ドゥーキーとバグを連れ出し、バグを伯母に預ける。ドゥーキーはアラバーのところへ。ドゥーキーは荷物運びを手伝ったことがきっかけで、何度かそのアラバーの手伝いをしていたのだった。 リヴィは警察が暗号を解読した経緯をハークに調べさせ、どうやらワイヤータップが使われているらしいとにらむ。 グレッグスから真相を聞かされたダニエルズはパールマンに話し、証拠保管室へ。ホームレス殺人の件でワイヤータップされている番号にダイアルすると、押収したマーロの携帯電話が鳴り始める。 ---- ===== 感想 ===== うわ~ついにダニエルズにバレたよおぉぉ~どうなるんだ~。 エピソードもフィナーレの1話を残すのみとなり、事態はどんどん収束に向かいつつある。虚構のホームレス殺害事件がバレ、テンプルトンの嘘も次々に暴かれ、大陪審の機密漏えいの件もちゃんと話がつながってきた。そしてマーロ組は一斉検挙。倉庫の外で、ドーザマンが「虫に刺された」とか言ってもぞもぞしていたので、見つかるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまったわ。この人一度撃たれてるし。 そしてこのエピではスヌープも……。今シーズンは、ジョーにオマーにスヌープと、好きなキャラが3人も死んでしまった。 勤め先が見つからないドゥーキーは、アラバーと組んで廃材置き場でアルミやスチールのパイプを盗み、そのアラバーと一緒に暮らすことにしたようだ――何だか前シーズンのバブルスとシェロードみたい。アラバーというのは名前ではなくて、馬で屋台を引きながら野菜や果物を売り歩く商人のことをこう呼ぶらしい。 * [[http://en.wikipedia.org/wiki/Arabber|Arabber]] 長くなっちゃうのであらすじでは省略したが、今回はネイモンド・ブライスとコルヴィン元警視が登場。ネイはディベート大会でアフリカのAIDS対策について弁論していた。 そこに現れたカルケッティ市長は「ウェスタン地区で行った実験」について何も協力できなかったことをコルヴィンに謝罪する。この「実験」はシーズン3のハムステルダムのこと? HBO公式サイトのエピガイには「ドラッグ合法化の件」と明記されていたのだが、当時はまだ市議のひとりにすぎなかった(それも選出区ではない)カルケッティが謝罪すべきことなのだろうか。そもそもコルヴィンの責任なのだし――。これはシーズン4でコルヴィンが協力していた(そしてカルケッティが予算を打ち切った)、学校でのプロジェクトのことじゃないかと思ったのだけど。 ヘインズの会話に出てくる「Walter Reed(軍病院)のスキャンダル」というのは、陸軍病院の環境が劣悪で、傷病兵たちが苦しんでいると、ワシントンポスト紙が報じたことであろう。記事が出た2007年2月から3月にかけて、軍医総監や陸軍長官らが次々に辞職し、ブッシュ大統領が兵士たちに謝罪したという。 * [[http://en.wikipedia.org/wiki/Walter_Reed_Army_Medical_Center_neglect_scandal|Walter Reed Army Medical Center neglect scandal]] * [[http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/02/17/AR2007021701172.html|Soldiers Face Neglect, Frustration At Army's Top Medical Facility]] 証拠保管係の役で、シーズン1のポーク刑事が再登場。シーズン2にもちらっと出ていなかったっけ? 別人だったかな。 --- //Yoko (yoko221b) 2008-11-23// [<>]