Table of Contents

CSI - Season 12, Episode 12

#263 Willows in the Wind


事件概要

ローラ・ガブリエル、ヴィゴ・マクウェイド、キャサリン・ウィロウズ

キャサリンの自宅付近で銃声がしたという通報を受け、ニックとサラが現場へ向かう。キャサリンは自宅におらず、一見何事もなかったようだが、よく見ると銃撃が行われ、弾の痕や血痕を清掃して隠した形跡があった。ラッセルは臨場要請を受けてモーテルへ出かけたというが、その後ラッセルの車が蜂の巣状態で発見される。2人の携帯電話はその近くに捨てられていた。

現場の状況を考え合わせ、彼らは「キャサリンが襲われて被弾し、車でやって来たラッセルとともに現場を脱出して車を乗り捨てた」と結論付ける。通信傍受を警戒して携帯を捨て、同じ理由で少し離れた場所を通報したものと思われた。

ラッセルが臨場要請を受けたモーテルへ来たロビンスは、現場とは別の部屋から呼び出される。行ってみると、そこにはキャサリンとラッセル、それにキティと名乗る女性がいた。2人はキティに助けられてモーテルに身を隠しているという。ロビンスはキャサリンの傷を応急手当てし、ブラスに迎えを頼む。

しかしブラスらが踏み込んだ時、部屋はもぬけの殻。キティが怪しいトレンチコートの男を見かけ、窓からこっそり脱出していたのだ。キャサリンとラッセルは、以前キャサリンがダンサーをしていたストリップクラブへ行き、そのクラブのオーナーの協力を得て、死体袋に身を隠してベガス署へ戻る。

グレッグとモーガンはキャサリンの自宅を調べ、キャサリンとは別の血痕を発見。後をたどり、遺伝子操作された虫に食い荒らされて半ば白骨化した遺体を発見する。検死の結果、遺体は中年の白人男性で、額と背中を撃たれていることがわかる。銃弾がまだ残っており、撃ったのはキャサリンではなく暗殺団の仲間による誤射と思われた。

事件を総合してみると、法律事務所の襲撃の後を消したような「プロフェッショナルな仕事」と、遺体をすぐ発見するような場所に遺棄したりヘレンの家で床下にいたローラを見逃したりするような「ずさんな仕事」が奇妙に入り混じっていることがわかる。そして「ずさんな仕事」で残された手掛かりはマーク・ガブリエルに結びつく。これはガブリエルを陥れるための罠ではないのか。

キャサリンはラッセルに送られた自分の「辞職願」を見て驚く。もちろんキャサリンが書いたものではないが、メールを偽造した人物はキャサリンのメールなどを盗み見て彼女が何を考えていたのかをしっかりと把握していた。敵は「親友を殺されたキャサリンが、仕事を辞めて身を隠しガブリエルに復讐する」という筋書きを書いてキャサリンを消そうとしたものと思われた。

その筋書き通りに事が運んだとして、最も得をするのは誰か――と考えると、それは妻のローラだ。そもそも、何年も音信不通だったローラが突然ベガス署に現れたのは偶然だったのか。支配的な夫に怯えているように印象付け、夫の不正をにおわせて弁護士を紹介させた、それ自体がすでにローラの台本だったのではないか。

ローラとマクウェイドの焼死体はすでに本人と鑑定されていたが、比較対象のサンプルがすり替えられた可能性があったため、確実なサンプルを用いて再度鑑定を行ったところ、どちらも別人であることがわかる。死んでいたのは、弁護士事務所襲撃チームにいた男女2人だったのだ。

ラッセルは一計を案じ、FBIのプラット捜査官の協力を得てマークを呼び出し、ローラへの疑惑を説明して協力を求める。その後、ラッセルの読み通りにマークはスイスの銀行に大金を送金。ポール・オブレクト(コートの男)を寝返らせ、逆にローラを殺させようとしたのだ。オブレクトはローラの隠れ家へ向かうが、そこにはすでに警察が先回りしており、2人とも逮捕される。

マクウェイドは行方不明のままだったが、元妻から確実に本人の物であるDNAの提供を受けて調べたところ、キャサリンの自宅近くで発見された白骨死体がマクウェイドであったことがわかる。マクウェイドが自分を殺そうとしたと知ってキャサリンはショックを受けるが、マクウェイドは背中を撃たれていた。つまり警告しようとして撃たれた可能性が高い。

プラットは、マクウェイドがキャサリンを助けようとしたのは、彼が「貴女の中にかつての潔白だった自分の姿を見たからではないか」と言い、FBIに来ないかとキャサリンを誘う。キャサリンはいったんは断ったものの、結局その話を受けることに決め、最後の「家族会議」で仲間たちに別れを告げる。


感想

キャサリンさよならエピソード、完結編。結局、以前に話のあった科学捜査委員会ではなくFBIに転職することになったようだ。いずれにしても、キャリアアップにつながる栄転で降板になったのが嬉しい。

前回のラストでラッセルとともに逃げ出したキャサリンは、モーテルで応急手当てを受ける。ここで登場のキティさん、シーズン10の「破壊的トラウマ」でも同じ役名でご登場。確か最初に被害者を発見して通報したんじゃなかったかな。この後も2話ほど出演予定があるみたい。

そこでも殺し屋に狙われているとわかり、キャサリンは昔働いていたストリップクラブに身を隠す。この経歴は忘れられていなかった! さよならエピだけあって、キャサリンの自分語り場面にも注目。

キャサリンが元ストリッパーだというのはシーズン1から言及されていた設定。そしてシーズン2で登場したサム・ブローンはカジノをいくつも所有する大富豪で、かつてキャサリンの母親を愛したため、キャサリンのことも娘同然に可愛がっているというような描写だったと思う。この「指紋の謎」ではサムの長男のトニーが殺害され、その犯人が次男のウォルトだったという悲劇。

そしてシーズン3のフィナーレ「封印された過去」で、キャサリンがサムの隠し子であることが明らかになる。そこから少しずつ、ぎくしゃくしながらも2人が「親子」として接し始める様子が描かれていたと記憶している。サムが対外的にキャサリンを「娘」と呼んだのは、シーズン5の最終話「CSI“12時間”の死闘」が最初だと思うが、その時もキャサリンは他人行儀だったし、ブローンと同席していた人物はキャサリンが娘であることを知らなかった。

で、2人の距離がいくらか縮まったかな――と思っていたら、シーズン7の「奈落の底へ[後編]」でサムが殺されてしまう。キャサリンはサムのカジノの株を相続。ウォルトは(忘れられていなければ)まだ刑務所にいるのだろう。

ここまではまぁ、取り立てて矛盾もなく話が進んできたと思うが(その当時、CBSの公式サイトには全然違う経歴が掲載されていたが、あれは別物と考えて)、問題はその後。同じくシーズン7の「レジェンド・オブ・ベガス」では、かつてベガスに君臨していたマフィアの大物が16歳当時のキャサリンを知っており、近づこうとした所をサム・ブローンに邪魔され「娘だ」とわかったという。

その後、シーズン10あたりからどんどんキャサリンの「大物化」が進行。「父が昔こう言ってた」とか「父のカジノでは……」と、何だかもう昔から「サム・ブローンの娘」としてベガスの大物たちと交流があったかのような口ぶりだ。ジキル博士の事件では、サムのコネを使ってブラス警部の頭越しにハスケルを移送。前シーズン「ベガスの人食い鮫」で登場したブーゼルもキャサリンを「サムのおちびちゃん」と呼び、子どもの頃から「サム・ブローンの娘」としてのキャサリンを知っているようだった。

そこで疑問に思ったのは「元ストリッパー」という経歴はどうなるの? ということ。初期キャサリンの設定は「苦労人のシングルマザーで元夫は浮気癖のあるミュージシャン」だったはずで、最近の描写とはどうも合わない。設定変更になるのか?

……という所でストリップクラブの場面に話が戻るわけだが(長かった……)、どうやら前職の設定は生きている様子。ただ、生活のためではなく「注目されたかったから」ということになっていて、何じゃそりゃ? と思わなくもないが。サム・ブローンが「娘がマフィアと付き合うのはダメだがストリッパーになるのはOK」と判断したのはおそらく、このベガスで「本当に危険なことは何か」を知り尽くしていたからなのだろうと理解しておく。

そんなこんなで、キャサリンドラマを振り返るのも今回が最後になるのかと思うと感慨深い。事件の方も、前編で疑問に感じたあれこれは「ガブリエルを陥れるためだった」ということで、少々強引ながらも説明はついた。欲を言えば、ローラの潜伏場所へ先回りする所や、民間軍事会社の男女2人をどうやって殺害したかという所などに、もう少し説明の描写がほしかった気もするが、まぁ良い。それよりキャサリン最後の「家族会議」が重要。

3年前、グリッソムはキャサリンとだけ視線を合わせて去って行った。今回はそのキャサリンが全員に見送られてご卒業。後任のラッセルは、今シーズンから加わったとは思えないほど、チームの中で安定した位置を築いている。バトンはしっかり渡っているから大丈夫だよね。

そして最後にキャサリンとモーガンが話しているこの場面! これはシーズン1の第1話「非情の街ラスベガス」でキャサリンとホリーがいるのと同じダイナーなのだ。「事件を解決してキングコングになったような気持ち」という台詞もあった。ああ懐かしい……そしてモーガンが呼び出しを受けて現場へ向かった時、「CSIウィロウズ」はただのキャサリン・ウィロウズになったのだと感じた。

hermitage.rdy.jp_csi_img_caps_csi_263.jpg

お疲れ様、そしてありがとうキャサリン。次のゲスト出演を楽しみにしている。


使用楽曲

Yoko (yoko221b) 2015-02-15