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CSI - Season 4, Episode 23

#92 Bloodlines


You can be wrong, I can be wrong, the evidence is just the evidence.

事件概要

リンレイ・パーカー暴行殺害事件

カジノでピットボス(賭博台の元締)をしているリンレイ・パーカーという女性が襲われて暴行を受け、近くの民家に助けを求めた。リンレイは襲われた時のことを鮮明に覚えており、似顔絵を作成する。リンレイを襲った男は以前にも暴行殺人事件を起こしていたが、被害者に共通点はなかった。似顔絵はリンレイが思わず嘔吐するほどリアルに仕上がった。その似顔絵と車種から、精神科医のトッド・クームズが逮捕される。面通しで、リンレイは迷わずトッドを名指しする。

だが、現場の足跡はトッドの靴とは一致せず、DNAも一致しなかった。だがDNAから犯人がトッドの兄弟であることは確かだった。リンレイがトッドを名指ししたのも、顔が似ていたためと推測された。トッドは釈放されるが、リンレイはトッドの犯行であること、彼が殺意を持っていたことを確信していたため、彼が再び自分を殺しに来ることを恐れる。

トッドには、数年前に死亡した末弟を除き、男の兄弟が4人いた。双子のロジャーとラリーは自動車の修理工場を経営、ベイリーは警備員。DNAはいずれも不一致。ケヴィンは登録された住所に住んでおらず、引越し先も不明だった。

リンレイからキャサリンの携帯電話に、助けを求める電話がかかる。現場へ急行すると、リンレイの車のガラスが割られ、彼女の姿はなかった。ニックは、携帯電話に搭載されているGPSチップからリンレイの位置を追跡。

携帯電話のシグナルは移動していたが、それは犬が上着をくわえて走っていたためだった。リンレイ本人は、その近くで遺体となって発見される。

一方、行方不明だったケヴィンも発見されるが、DNAはやはり不一致だった。

リンレイの車のガラスに付着した血液はレイプ犯のものだったが、遺体に付着していた毛髪は、トッドのものだった。グリッソムは再びトッドの身体を調べるが、その時トッドの背中に文様のような線があることに気づく。それはブラシュコラインと呼ばれる、1つの個体の中に複数の遺伝子セットを、すなわち「キメラの遺伝子」を持つ場合に現れる症状だった。

トッド・クームズは数年前、白血病にかかった弟に骨髄移植をしようとしたが、結局適合せず弟は病死。その時、彼は医者から自分の特異体質について聞かされていた。別々に受胎した二卵性双生児の受精卵が、一人の胎児として成長したのだ。つまり、片方は受精卵の時点で死んだが、DNAは双子のかたわれ(トッド)の身体の中で生き続けている。そのため、口から採取したDNAは毛髪とは一致するが、血液と精液のDNAセットとは一致しないのだった。

トッドはリンレイ・パーカー他数件の暴行殺害を自白する。

事件解決後、グリッソムの元にサラ・サイドルが飲酒運転をしたという報告が入る。グリッソムはサラを迎えに行き、彼女の手を握ると「家まで送ろう」と言った。


感想

うーん。CSIのシーズンフィナーレは女性が酷い目にあう話が多いのかな。なぜリンレイがこんな目にあわなきゃいけないんだろう……と、何だかすごく理不尽なものを感じてしまった。

リンレイには護衛か何か、せめて一人きりにしないようなサポートが必要じゃないのか! と思った。仮に犯人がトッドじゃなかったとしても、彼の兄弟であることはわかっていたのだし、「犯人の顔を覚えていないから」といって、大丈夫なわけがない。真犯人(がいたとして)がそれで安心する保証はないし、何かの拍子で思い出すかもしれないし、本当にトッドにそっくりな兄弟かもしれないのだし(この時点の情報では、そう考えられたってことね)。

まぁそれはそれとして、事件それ自体は、キメラの遺伝子、ブラシュコラインという道具立てにすごく興味を引かれて、面白かった。ブラシュコラインとは何ぞや? と思ってちょっと調べてみた。といっても、かろうじて読めたのは Wikipedia のエントリくらいだったのだが。

ブラシュコライン(ブラシュコ線、Blaschko's lines、Lines of Blaschko)は、1901年にドイツの皮膚科学者アルフレッド・ブラシュコが発見した症状で、身体の表面に幾筋もの線状の模様が現れること。背中には「V」字、胸、腹などには「S」字の形で現れる。これ自体は病気ではないが、皮膚病などの症状がブラシュコラインに沿って現れることはあるらしい。モザイク現象(同じ個体の別々の部分が、別々の遺伝子セットを持つこと)の結果として、オリジナルの細胞と後から取り込まれた細胞の境目の部分がシマシマになると考えられている。

人間は間違えることがあるが証拠はただの証拠――グリッソムのこの台詞が今回ほど重く響いた回はない。証拠は最初から被害者とともに、トッド・クームズが犯人であることを訴え続けていたはずではないのか。ただ証拠の読み方が間違っていた。無論、キメラの可能性を考えなかったからといって、それが捜査官の落ち度とはいえないけれど。証拠と証言の間で、捜査官はどこまで謙虚になるべきなのだろうかと思った。

この「キメラの遺伝子」を持つトッド・クームズの人物像、特に彼がなぜ殺人にはしるようになったのか、そのあたりが描写不足というか物足りない感じ。受精卵のまま死んだ双子の片割れ、その遺伝子が自分の中で生き続けるという自覚が、彼の中の何かを呼び覚ましたのだろうか。あるいはそれに触発された幻想が生まれたのか。自らの Bloodline に対して何か思うところはあったのか。せっかくこういうネタを出すのだから、ポール・ミランダ級の扱いでも良かったんじゃないかな。

で、最後は何かと思ったらサラが飲酒運転。実を言うと、その直前でちょっと不吉さを感じたので、ああ飲酒運転でよかった~と何だか安心してしまった。サラがニックに「おめでとう」を言って歩き去る場面。ドラマの、しかもシーズンの最終回でこういう雰囲気の場面があって、その後その人が不慮の事故で……っていう展開、けっこうありそうでしょ? もちろん、シーズン5以降もサラが出演していることは知っていたけれど、その後の主任の台詞が “Is she all right?” だったので、事故で怪我でもしてそれがクリフハンガーに……? とか、一瞬考えてしまった。飲酒運転だけですんで良かった。主任に送ってもらえたみたいだし(いいな~)。


単語帳

Yoko (yoko221b) 2006-05-06