Table of Contents

Law & Order - Season 3, Episode 6

#50 Helpless


事件概要

People vs. Alexander J. Merritt (判事:Keith Silver)

精神科医のエリザベス・オリヴェットが、婦人科の診察でメリット医師からわいせつ行為を受ける。本来は性犯罪課の仕事だが、オリヴェットは信頼関係のあるセレタとローガンのもとを訪れ被害を訴える。

セレタとローガンは、過去にメリットに受診していた女性たちに事情を聞く。元患者のひとりダイアン・パーキンスは、精神疾患に苦しみ何も言おうとしない。別の女性は麻酔なしでレーザー手術を受けたと言う。医療倫理委員会は、医師の処置に問題なしとして、その女性の訴えを退けていた。

メリットの最初の妻は、離婚後10年間セラピーに通っていた。2度目の妻は麻薬の過剰摂取により死亡。遺体は、医師のオフィスでボンデージスタイルに身を包んだ状態で発見されていた。女性に対して嗜虐的にふるまうことはわかったものの、それはオリヴェットの受けた行為と直接は関連しない。この段階では手の打ちようがなかった。

オリヴェットは再びメリット医師を訪れ、バッグにテープレコーダーをしのばせて診察を受ける。メリットはオリヴェットに麻酔剤を投与して抵抗を封じたうえでレイプする。

メリットは起訴されるが、公判に入ってから、オリヴェットに別の主治医(婦人科)がいること、ダイアンがオリヴェットの患者であることが明らかになる。弁護人は、オリヴェットがダイアンの妄想を信じてメリットを罠にかけ、破滅させようとしているのだと主張する。

ストーンは苦戦を強いられるものの、陪審員の評決は有罪。しかし判事は「被告人は誘惑されて犯罪に踏み込んだのであり、検察の証明は十分ではない。生々しい写真と感情的な証言に惑わされた陪審員の判断で、優秀な医師の人生を破滅させることはできない」として事件を棄却する。

改めて他の材料を探すと、麻酔剤を用意した看護師のミリアム・グレッグに薬物使用の前歴があることがわかる。看護師は薬物を得ることと引き換えに、医師のレイプに協力していたのだった。麻酔剤の件で脅しをかけると、グレッグは「ダイアンの件には関わっていない」と言い出す。

ダイアンはレイプされたことを思い出すが、反対尋問に耐えられそうになかった。ストーンはダイアンの件でメリット医師の逮捕を命じ、いつ出廷するかをメディアにリークする。ニュース番組では、潔白を主張する医師と性犯罪事件の立証の困難さを語る検事の映像が流される。

メリットと弁護士は「サイコパスとジャンキーの言い分を信じるのか」と激怒してストーンのオフィスに現れるが、彼らを待っていたのはメリットの被害者45人分の訴えだった。彼女たちはニュースで映像を見て、勇気を奮い起こしたのだった――。


感想

今シーズンから、エリザベス・オリヴェット役のキャロリン・マコーミックの名が “Also Starring” としてオープニングクレジットに出るようになった。それは良いのだが、こんなストーリーがあるとは。

今まで何度も被告人や被害者に面接し、性犯罪の手口も知っているはずのオリヴェット医師にしては、ずいぶん無防備だと思っていたら、こんな事情が! ダイアンの様子はちゃんと伏線になっていたのね。そういえば、最初の方で「15歳の時から婦人科にかかっていた」という台詞があった時に「今までの主治医は?」と思ったっけ。

メリットが犯罪者であることは疑うべくもないし、仮に本当に誘惑されていたとしても麻酔を打って合意なんてあり得ないと思うわけだが、オリヴェット医師のこのやり方は――これは囮捜査と疑われても無理はないような気もする。もっと他にやり方はなかったのか~~。

陪審員の評決を判事が無効にして逆の判決を出す、ということもあるのね。これは陪審員が暴走して一種の人民裁判のようにならないための歯止めなのだろうと思う。有罪を無罪にすることはあっても、無罪を有罪にすることはないらしい(制度上できないのか、できるけどしないのかはよくわからない)。

それにしても被害者45人――全員がニュースを見て訴えを起したわけでもないだろうから、実際の被害者は何十人いたのだろうかと、考えると恐ろしいわ。

Yoko (yoko221b) 2008-05-01