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The Wire - Season 5, Episode 1

#51 More With Less


“The Bigger the lie, the more they believe.” – Bunk

概要

ボルティモア警察は予算カットのため、警官の時間外手当や警察車両のメンテナンスもままならない状況。新市長のカルケッティは学校と警察の予算配分に苦心する。廃屋で22名の遺体が発見された事件は捜査が継続されていたが、まだ容疑者逮捕のめども立たない。

重要犯罪捜査班(MCU)は、マーロ・スタンフィールドの組織の監視と尾行を続けていたが、なかなか盗聴のきっかけがつかめず時間は過ぎていくばかり。マーロは警察の監視に気づいて、彼らを振り回していたのだ。マクノルティは不満を漏らし、再び飲酒を始めていた。

マイケルはマーロ組で売買を監督し、ドゥーキーはコーナーを監督していた。だが、ドゥーキーの「仕事」がうまくいっていないことを知り、マイケルはドゥーキーに弟バグの面倒を見させ、スパイダーにコーナーを任せることにする。

新聞社「ボルティモア・サン」紙では、外国の支局の閉鎖やレイオフの噂が流れている。編集者のガス・ヘインズは、火事が起きても誰も取材に行かないことに不満を漏らす。その後、彼らは市議会議員の不正献金疑惑を追及。

空家の大量殺人事件の捜査は進まず、カルケッティは連邦の力を借りようとするが、連邦はその見返りに上院議員クレイ・デイヴィスの汚職事件を寄越せと条件をつける。州検事のボンドは政治的野心からデイヴィスの事件を手放そうとしない。結局、カルケッティは連邦の援助を得られないまま交渉決裂となる。

警察の予算不足のためMCUは閉鎖されることとなり、グレッグスとマクノルティは殺人課、ドーザマンは機動隊に転属。フリーマンとシドナーは、検察とともにデイヴィス議員の件を引き続き担当することになった。

マクノルティはクリスを尾行し、彼が裁判所でウクライナ人セルゲイ・マラトフのファイルを閲覧したことを知る。港湾の事件(シーズン2)で逮捕されたセルゲイは現在、終身刑で服役中。

警官を辞めたハークは刑事弁護士モーリス・リヴィの調査員となっていた。ハークはかつての同僚ドーザマンに酒をおごり、調査への協力を頼む。


感想

シーズンプレミア恒例の「皆さんどうしていますか」エピ。前シーズンは、後半で市長と州検事が交代し、警察の中では上層部の風通しが良くなって明るい未来を感じさせる終わり方だったのだけど、あの後やはり状況は良くならず――というか悪化している様子。市長は結局学校に予算を回したらしく、公約した警官の待遇改善はいまだ実現されていない。前シーズンではマイホームパパだったマクノルティもすっかりヤサグレて、ろくに家にも戻らず酒びたり。う~ん、まぁ前シーズンの終わり方そのままでこのシーズンに突入しても、ドラマとしては盛り上がらないわね。やはり困難を少しずつ乗り越えて行くストーリーがないと。とはいえ、この極端な荒れっぷりは何だか、見ていて痛々しい。

今シーズンは警察の犯罪捜査と平行してメディア(新聞社)が重要な舞台になる。「ボルティモア・サン」紙もどうやら、財政状態は厳しい様子。この新聞社は今回初めて登場で、初登場の人ばかりなので、まずは名前と顔を一致させなきゃ。TV.comによると実際に「ボルティモア・サン」紙の元記者やコラムニストだった人たちが出演しているらしい。作家のローラ・リップマン(この方も元記者)も出演していたらしいのだが、どの場面だろう。

裁判所の中で、ダニエルズとパールマンがクリスと言葉を交わしていたが、2人ともクリスの顔を知らなかったんだっけ? ダニエルズはもう現場捜査にタッチしていないし、起訴されたわけじゃないからパールマンも知らなかったのかな。空家殺人の有力容疑者として顔ぐらいは知ってるかと思ったが。

冒頭、バンクが容疑者の腕を「嘘発見器」に接続して結果を出力してみせる場面が可笑しい。「嘘発見器」と言っているのは、実はコピー機。結果というのは、質問に合わせて「TRUE」あるいは「FALSE」と書いた紙をコピーしているだけ!「ちょ、それはいくらなんでも……」と思ったが、それが今回のエピグラフ「大きな嘘ほど人は信じる」という台詞につながっていく。この「嘘発見器」のエピソード、何でも「ホミサイド」でもそっくり同じ場面があり、元ネタはデイヴィッド・サイモンの本なのだそう。ということは、やはり実話?

それはともかく、このシーズンでは、警官も新聞記者も政治家も、それぞれに大小さまざまな嘘をつく。そして嘘がさらに嘘を呼び、大騒動に発展していく。そんなシーズンだ。

それにしても、ハークが警察を辞めてリヴィ弁護士の調査員になっていたとは!

Yoko (yoko221b) 2008-11-10