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Wire in the Blood - Series 5, Episode 4

#19 Anything You Can Do


事件概要

73歳で1人暮らしの女性ジュリー・ホプトンが殺害される。犯人は警官か警備員のような制服を身に着けてドアを開けさせたものと思われ、中に入ったところで襲って殺害し、顔に袋をかぶせていた。

トニーのもとを、旧友のジョナサン・グッドが訪れる。北部の大学の学部長就任を打診されたので、住む家を探しているという。トニーは再会を喜び、ジョナサンを自宅へ招く。

アレックスらは、トニーのプロファイリングに一致する候補者を絞り込み、その中で唯一アリバイのないバーナード・ケリーに注目する。ケリーは現場付近には行ったこともないと主張するが、スーパーで警備員をしているドノヴァンという男は「事件当日、現場付近でケリーの姿を見た」と言う。ケリーは連行されるが、母親がアリバイを供述し、目撃証言以外の決め手もないため釈放。

その後、引退した公務員のマディソン氏と夫人が襲われて殺害される。縛って撲殺し、頭に袋をかぶせるという手口が同じであるため同一犯と思われたが、トニーは被害者が2人であることや、玄関の鍵を壊して押し入っているなどの部分が異なることに注目する。アレックスは、自分がケリーを釈放したせいで2件目が起きたと思い、ケリーの逮捕状を取る。

しかしケリーの母親が再びアリバイを主張。現場の足跡もケリーのブーツとは一致しない。アレックスはケリーの犯行を確信するが、トニーは「ケリーを犯人と決め付けているのでは」と疑問を呈する。一方アレックスは「トニーが君に執着している」とジョナサンから聞いて距離を置こうとする。

次に、ジャズとエマ・ヨハンセンという若い夫婦2名が殺害され、頭に袋と下着を被せられるという事件が起きる。トニーは「犯人は勝利を自慢し警察をあざけっている」と指摘する。だが、手口は最初の犯行と共通し2番目とは一致しない。ケリーは監視下にあり、犯人ではあり得ない。

トニーの自宅には犯人からと思しき手紙が届けられる。トニーは内容を分析し、犯人は2人いるという結論にたどり着く。共犯ではなく、代わる代わる犯行を行い徐々にリスクを高めて競い合う関係。警察ではなくトニー宛に手紙を書いていることから、トニーが捜査に協力していることを知っている人物、すなわち警察官かその身近な人物である可能性が高い。トニーは、ケリーの犯行ではないことを確信する。

ジョナサンはトニーに対しても、アレックスとの仲を裂こうとするようなことを言う。トニーは、学部長就任の話は嘘で、ジョナサンが飲酒や女性問題で職を失っていたことを知る。

ケヴィンとポーラはケリーの監視を続けていた。ある夜ケリーを尾行した2人は、東欧出身の女性を監禁している部屋を発見し、ケリーを逮捕。だがそれがきっかけでケリーのアリバイが証明され、一連の殺人はケリーでないことが判明する。

トニーは、挑発された犯人がさらにリスクの高い犯罪を犯す可能性を予測する。その予測どおり、今度はアレックスの同僚ロックハートが屋外で撲殺され遺棄される。顔にはやはり、袋と下着が被せられ、遺体のそばにはトニーがジョナサンに貸していた鍵が落ちていた。

ジョナサンはロックハート殺害を認め、さらにマディソン夫妻を殺害してホプトン事件の犯人を挑発したことを認め、トニーのプロファイリングがいかに誤っていたかをあげつらう。だがトニーはジョナサンが犯人でないことを見抜いていた。鍵は後から現場に投げ捨てたもので、目的はトニーを道連れに自爆すること。

トニーは、2人の犯人が幼児体験を共有し、同じことに触発され、昔からのライバルでもある兄弟だと気づく。2人は段階的に犯行をエスカレートさせ、2番目の犯人が警官を殺害した。次はトニーに手紙を書いた方の番であるから、手紙で油断させておいてトニーを狙う可能性が考えられた。現場はおそらく日中の大学。アレックスらはトニーに監視をつける。だが途中で映像と音声が妨害され、その隙にドノヴァンが「誰かに追われている」と言って近づきトニーを刺そうとする。そこへアレックス率いる警官たちが駆けつけてトニーを救出。

ドノヴァンは「年寄りくさい香水で死んだ母親を思い出させた」というホプトンを始め、全員の殺害を自供。事件当時のアリバイは、同僚に勤務を代わってもらっていたという。トニーは、ドノヴァンが兄弟をかばっているのではないかと疑う。ドノヴァンは犯歴のある「レオ」ともう1人の兄弟がいると言うが、実際には兄弟はおらず、服役していたのはドノヴァン自身。兄弟の「レオ」たちは幼少時の虐待経験がきっかけで彼自身が作り出した交替人格であり、解離性同一性障害(多重人格)だったのだ。


感想

ありそうでなかった、多重人格ネタ。妄想で作り出した架空の共犯者というのはあったけれど、今回は幼少期の虐待が原因で交替人格が現れたというオーソドックスな解離性同一性障害。ダニエル・キイスのビリー・ミリガン事件で一時期ちょっとしたブーム(というのも変だが)になったことを思い出す。

今回は、最初のうちケリーとドノヴァンの見分けがつきにくくて困った。最初の方でトニーが「兄弟間の関係」について講義していたことと合わせて「まさかケリーとドノヴァンは生き別れの兄弟?」なんてことをちらっと考えたり、ポーラがケリーを尾行する場面で「これ実はドノヴァンなんじゃ?」とか思ったり。そういう視聴者の反応を予測した上でのレッドヘリングだったのか。結局、ドノヴァンに対して扉の外からわーわー怒鳴ったり、車でひき殺そうとしたのはケリー?

さて、シリーズの最終話ではいつも、病気が見つかったり不安定なところを見せたりするトニーだが、今回もジョナサンの言葉に翻弄され、前半ではドノヴァンに騙され。近隣住民を集めて目撃情報を聞く集会を開けば「犯人が現れて、わざと嘘の目撃情報を言うかも」と言っているのだから、その通りの行動をしたドノヴァンをもうちょっと疑えよと。

でもトニーの「ウソの法則」は興味深かった。私も嘘を言うときは注意しよう。

  1. あいまいにする
  2. 攻撃的になる
  3. 聞いていないことまで答える
  4. やりすぎる
  5. 真実に近いほうがバレない

このエピソードではアレックスの昇進が取りざたされるが、当のアレックスは「昇進したら異動になるかも」とためらいを見せる。トニーは「君がいればベンは(学校を変わっても)大丈夫」と励ますが、赴任先がヨハネスブルグとかだったら、さすがに大変ではなかろうか。でもアレックスの後任、ケヴィンではダメ? 確かシリーズ2でキャロルが昇進する時、ケヴィンとドンのどちらかを警部補に推薦するとか言ってなかったっけ。今回はケヴィンも取調べをこなしていたし、アレックスが警部、ケヴィンが警部補、ポーラが巡査部長になって今の部署に留まってくれてもいいような気がする。

そんなこんなで、ジョナサンに振り回されはしたものの、次のシリーズでもきっと、良いチームワークを見せてくれるだろうと思わせる終わり方だった。でも次がどうやら最終シリーズのようで、残念。

Yoko (yoko221b) 2009-12-30