User Tools

Site Tools


bones:s04:063_the_perfect_pieces_in_the_purple_pond

BONES - Season 4, Episode 5

#63 The Perfect Pieces in the Purple Pond

  • 邦題:「完全なる世界の崩壊」
  • 脚本:Josh Berman
  • 監督:Jeannot Szwarc
  • 初回放映:2008-09-24

事件概要

ジャレッド・アディソン

廃工場の汚水溜めの中で、若い男性のバラバラ死体が発見される。遺体は12個に切断され頭部はなくなっていた。特注の靴とエーラスダンロス病の特徴から、被害者はSF作家のジャレッド・アディソンと判明。同居している母親は、ジャレッドはホテルに缶詰になって原稿を書いていると思い込んでいた。

スイーツはジャレッドの部屋を見て、彼は強迫性神経症(OCD)であろうと判断する。部屋にあった写真から、ジャレッドには28歳も年上のケリーという恋人がいたことがわかる。

頭蓋骨がないため、助手のウェンデルは死因を特定できずに悩む。ホッジンスは施設に入院中のザックを訪ね、事件のデータを渡して助言を依頼する。

ジャレッドは強度の不潔恐怖症で、サイン会でファンに握手することもできないため、出版社は替え玉を仕立てて「ジャレッド・アディソン」を名乗らせていたが、替え玉が自分で小説を書き始めたためジャレッドとの契約を打ち切っていた。契約をめぐるトラブルが動機かと思われたが、ジャレッドは行動療法に参加して努力の末にOCDを克服し、出版社とも再契約を交わしたという。

ジャレッドの靴にはハエのサナギが付着しており、ホッジンスが羽化させた結果、高温多湿の気候を好むハエであるとわかる。ケリーの息子デイヴィッドの温室はその条件に符合する。温室を訪ねたブレナンは、シャベルの1つだけにハエがたかっていることに気づく。フェノールフタレインでは血液反応が出たが、よく調べてみると反応したのは血液ではなくジャガイモのタンパク質だった。

捜査が行き詰ったところで「頭を見つけた」とザックが現れる。スイーツの入館証をこっそり利用して施設を抜け出して来たのだ。

ザックは被害者の部屋の中の物がすべて――靴も本もフィギュアもすべて12個に分類されていることを指摘する。だがジャレッドの本には「12」の数は登場しない。ジャレッドの自宅の住所やジャレッド自身の氏名の文字数も12文字。12にこだわったのはジャレッドではなく母親だったのだ。

ジャレッドはOCDを克服し、仕事もうまく行き始め、ケリーと結婚して家を出ようとしていた。そのため母親は心のバランスを崩し、息子を殺害してしまったのだった。ジャレッドの頭部は、庭でただひとつ12個揃っていない物――石のテーブルの下に埋められていた。


感想

頭韻を踏んだ原題がちょっと謎めいていて「紫の池って?」と興味を惹かれていたのだが、その「池」の正体が……工場の廃水槽に藻に立ちションとは。さすがBONESだわ。

でも事件の方は、犯人こそわかったものの、死因や凶器は結局最後までわからず。犯人と頭部の隠し場所も、写真から心理学的にアプローチして割り出したもので、「BONESの」エピソードとしてはそこがちょっと弱いかな。事件よりは「ザック再登場!」のエピだからいいけど。

逆にここでザックにお株を奪われてしまったスイーツは、どうもいまいちだな。犯罪ドラマのプロファイラー、ということで「ワイヤー・イン・ザ・ブラッド」のトニー・ヒル博士とどうしても比べてしまって……。被害者の部屋でキョロキョロしている所なんか見ると「無理しちゃって」と言いたくなってしまう。「患者」であるザックともいまひとつ信頼関係を築けていない感じだし。

今週の助手はまた新人で、若くて可愛い、ちょっとザックを思わせるタイプのウェンデルだった。でも彼もやっぱりダメみたい。研究所の皆がザックを囲んで和気藹々となる一方で、彼が荷物をまとめて出て行くのがいかにも象徴的で、ザックの抜けた穴はやはり埋めがたいのだなぁと改めて思わされる(何で降板させたんだ!)。

そして、これは復活フラグなのか否かよくわからないが、ザックの唐突な「自分は実行犯じゃない」宣言。これは後々何か意味を持ってくるのだろうか。でもスイーツが「君が罪をかぶるなら実行犯が野放しになる」という台詞は? 「マスター」は前シーズンのフィナーレでブースに射殺されているので、もうひとり弟子がいたということだろうか。うーん……個人的に、ゴルモゴン・アークはもうこれ以上引っ張らない方がいいと思うんだけど。

ホッジンスが久しぶりに “bug guy” になっていたり、妙に虫の出番が多いエピだと思ったら、今回の脚本は元CSIのプロデューサーだったジョシュ・バーマンだったのね。血のついたシャベルだけにハエが寄って来る、というのは法医昆虫学者のゴフが『死体につく虫が犯人を告げる』1)に書いた逸話のひとつで、バーマンはこれをCSIのシーズン1でもエピソードの中で使っている。だから温室の場面を見たときは「ネタの使い回しかよ~」と思ったのだが、さすがにそれはなく、ちゃんと違うオチがついていて面白かった。この逸話はCSIのオフィシャルな解説本にも載っている有名な話だし、BONESとCSIは視聴者層もけっこう重なっていると思うので、ここでニヤリとした人は多かったのではないだろうか。

それにしてもOCDの治療法であんなのは、ありなんだろうか。泥ならまだいいけど、床をなめるとかトイレに落としたミントを拾ってなめるなんて絶対イヤ~! そんなことするくらいならOCDのままでいた方がまだマシな気がするんですが、どうでしょうモンクさん。


使用楽曲

  • “Set Free” by Katie Gray (頭部発見場面)

Yoko (yoko221b) 2009-11-04

1)
2014年『法医学昆虫学者の事件簿』と改題して文庫化
bones/s04/063_the_perfect_pieces_in_the_purple_pond.txt · Last modified: 2024-02-18 by Yoko