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lao:s02:040_cradle_to_grave

Law & Order - Season 2, Episode 18

#40 Cradle to Grave

  • 邦題:「死のゆりかご」
  • 監督:James Frawley
  • 脚本:Robert Nathan, Sally Nemeth
  • 初回放映:1992-03-31

Putting them in jail, however, is the only remedy we have.

事件概要

People vs. Joseph Turner (判事:Margaret Barry)

病院のERに、赤ん坊の遺体が箱に入れられて置き去りにされていた。清潔な服を着せられていたため、ホームレスとは考えられないが、死因は凍死。ベビー服の店で母親らしい女性の手がかりをつかんで自宅を調べると、家具もほとんどないような寒い部屋に、空っぽの新しいベビーベッドが置かれていた。

部屋の主ジャッキー・ウォードは、息子ヘンリーを病院に置き去りにしたことを認めた。彼女は近所に住むセレナ・プライスに子守を頼んで仕事に出かけたのだが、戻って来ると子守はおらず、赤ん坊は冷たくなっていた。あわてて病院に連れて行ったが、そこでパニックを起こして逃げてしまったのだという。

セレナは、子守をしに行ったが管理人に「ジャッキーも赤ん坊もいない」と言われ、アパートに入れてもらえなかったのだと主張する。だが管理人ティラードは子守など知らないと言い、主張は食い違う。ティラードの部屋では、ストーブがいくつも燃えていた。また隣人は部屋の中で帽子とコート着用。アパートを改修しようとしていた大家が、店子を追い出すためにわざと暖房を止めていたと考えられた。

調べてみると、家主アイリス・コーマンは、改修したいアパートの店子に嫌がらせをして立ち退かせることを繰り返しており、以前も他のアパートで住人を死なせた疑いがあった。コーマンはターナーという男をビルに住まわせ、ティラードとともに住人を追い出す役をさせていた。ティラードはヒスパニックで英語はあまり話せない。セレナを追い返した「管理人」はターナーの方だったのだ。ターナーは、昼間だけアパートで店子のふりをしているが、実はアイリーンと一緒に暮らしているパートナーで、以前にも傷害と脅迫の前科があった。ターナーとティラードはヘンリー・ウォード殺害容疑で逮捕される。

ティラードは、証言と引き換えに第2級 reckless endangerment(危険行為?)の答弁を受け入れる。ターナーの方は第2級故殺で起訴され、有罪の評決を受ける。

だが判決の後、スペイン語に堪能な陪審員が、ティラードの証言を法廷通訳が誤訳したのではないかと言ったことがわかり、被告弁護人はそれを理由に審理無効を申し立てる。ティラードがヒーターの修理を止められた時の証言を、通訳は “he pulled me away.”(彼は自分を引き離した)と訳していたが、そこは本来 “ordered me away.”(命じて立ち去らせた)とすべきであった。弁護人は「ターナーは以前の事件では暴力的だったが、今回はそうではなかった。にもかかわらず傷害の前歴を理由に有罪の判決を受けた」と主張する。

陪審員は、自分の聞いたこと(pull ではなく order だった)を他の陪審員に話していたが、それは許されることなのか。陪審員は、法廷で聞いたこと以外の証言を考慮してはならない。その陪審員の行為は、他人からは「法廷で自分だけが聞いたことを話した」ように見えるが、彼にしてみれば「証人が実際に言ったことを話しただけ」であり、それは間違っていない。判事は審理無効の決定を下す。

People vs. Joseph Turner and Iris Corman (判事:?)

検察はターナーを再起訴することになったが、弁護人は、ターナーの以前の犯歴を証拠から除去するよう主張。

検事は、ターナーの罪状を reckless endangerment に落とす代わりに、アイリス・コーマンの有罪答弁と、将来にわたって入居者に嫌がらせしないことを条件とするが、コーマンは「自分は起訴さえされていないのに」と激怒し、取引どころではなかった。検事はコーマンの背景を調べ、住宅監視官を買収しているのではないかと疑う。そして囮捜査で監視官を逮捕し、取引に持ち込んでコーマンを訴追するための証言を得る。

ターナーは、公判の2日目に第1級 reckless endangerment の有罪答弁を受け入れ、アイリス・コーマンに対する証言を行う。コーマンは第1級謀殺で有罪となり、現在は保釈され控訴中。


感想

部屋の中で凍死した赤ん坊、という悲惨な事件。親がヤクでもやっていたのか、と思ったら、アパートから店子を立ち退かせようとする家主の嫌がらせだった。

ターナーが起訴されてあっさり有罪になったので「順番に攻めていって次は大家かな」と思ったら、通訳が問題になるとは。結果を知った上でもう一度見直してみると、確かに前半の方でも通訳の存在を印象付けるような場面があったなぁと思う。

最初に聞いたときは、“pull” より “order” の方が何となくきつい感じに思えたので、「それだとかえって被告人に不利では?」と思った。だが具体的にイメージしてみると、pull は腕か何かを引っ張って物理的な力で相手を退かせることで、order は単に言葉で言った、ということなのだろう。ターナーには傷害事件の前歴があり、陪審員はそれを踏まえて有罪の評決を出した。だが、今回は物理的な力を加えたわけではないので、傷害事件の前歴を考慮するべきではない、弁護人はそう言っているのだと思う。

ラストシーンでの、ストーン検事の弁論。被告人の行為を「これから証明する」と未来形で言っていたので、これは冒頭陳述だろうか。これがまたすごく良いんだ~~。ちょっと引用してみる。

A baby died – a boy named Henry Ward. And they didn't shoot him, they didn't strangle him, they didn't run over him with their car. In fact, they never even met him. But they did kill him. Now, putting the defendants Iris Corman and Joseph Turner in jail will not bring Henry Ward back to his mother. Putting them in jail, however, is the only remedy we have.
(赤ん坊が死にました。ヘンリー・ウォードという名の男の子です。被告人は赤ん坊を銃で撃ったわけでも、首を絞めたわけでも、車で轢いたわけでもありません。実際、その子の顔を見たことすらありませんでした。それでも、彼らが殺したのです。ここで、被告人アイリス・コーマンとジョセフ・ターナーを刑務所に入れたとしても、それでヘンリー・ウォードが母親の元に戻ることはありません。しかしながら、それが我々にできる唯一の救済なのです。)

remedy は「救済」としたけれど、いまいちしっくりこない。救済というより「回復」あるいは「治癒」かな? 犯罪によって損なわれた社会の秩序を少しでも元に戻す方法というか、そのような印象を受けた。

シンプルで明解、かつ力強い語彙もさることながら、ストーン検事の話し方が良いのだ。冷静に淡々としゃべりながら、それでいて正義を希求する毅然とした姿勢が伝わってくる。私が陪審員ならもうこれだけで有罪に一票かも、とすら思う。ターナーが即行で取引したのも無理はない。

Yoko (yoko221b) 2007-11-20

lao/s02/040_cradle_to_grave.txt · Last modified: 2020-04-17 by Yoko