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#10 Carthay Circle

  • 邦題:「カーセイサークル」/「疑惑の教会殺人」
  • 脚本:Debra J. Fisher
  • 監督:Rod Holcomb
  • 初回放映:2011-06-06

事件概要

キム・リー、デリック・ジョイナー

グラフィックデザイナーのキム・リーが自宅で刺殺される。同居していた恋人デリック・ジョイナーが姿を消しており、その後デリックがサンディエゴ行きの列車に乗車したらしいとわかる。彼が恋人を殺害して逃亡したものと思われたが、実はデリックも殺されており、遺体が床下から発見される。どうやらデリックが先に殺され、そこへ帰宅したキムが巻き添えになってしまったらしい。

デリックの勤務先はコリガン総合研究所。業務内容は州民提案のサポートで、デリックは同性婚を禁止する128号提案を担当していた。128号提案の事務所で事情を聞いたところ、当日急にキャンセルになったミーティングがあったという。担当のローランド・デイヴィッドソンは、128号提案の中心人物であるデイヴィッドソン牧師の息子で、デリックと言い争いをしていた。

キムは首に十字架を着けていたが、姉の話では、その日は身に着けていなかったはずだという。そこで十字架を保管していた宝石箱を調べてみると、ローランドの指紋が発見されたため、ローランドは殺害容疑で逮捕される。

ローランドは無実を主張し、指紋があったのはキムと不倫していたためだと主張。担当検事のモラレスはいったん起訴を取り下げ、改めて動機を探ることにする。刑事たちは車に置いてあった署名リストに着目。それは128号提案に賛同する州民の署名だったが、実際にその住所を訪ねてみるとまったくの別人が住んでおり、架空署名だとわかる。デリックの会社は実在の住所に架空の名前を使って署名の数を水増しし、署名1件につき5ドルを請求していた。不正に気づいたデリックが口封じに殺害されたという可能性が生じる。

だがコリガンは先手を打って不正があったことを発表し、すべてデリックが仕組んだことだと主張。今回の提案には10万人を超える偽造署名が使われ、しかもその一部はすでに成立した過去の提案にも使われている。このままでは民主主義の根幹を揺るがすスキャンダルになりかねない。

モラレスはコリガンを起訴するためローランドに取引を打診する。ローランドはコリガンから電話で「デリックが不正に気づいて告発すると脅してきた」と言われ、そこで初めて不正に気づいた。公になれば父親の立場も危うくなる。そこで話し合いのためにデリックの家に行くが、争いになりカッとなって殺してしまう。そこへキムが帰宅し、彼は思わずキムを殴り倒してしまう。コリガンに助けを求めると、コリガンが来てキムを刺し殺した。ローランドは言われるままにデリックの遺体を隠し、列車の切符を買って偽装工作を行ったという。

コリガンは逮捕されるが一切を否定し、有力者のコネを使って地方検事のハーディに圧力をかける。128号提案以外の過去の署名については司法長官室で調べることになり、法廷でも署名に関する証言は128号提案に限定されることになる。ローランドは犯行当時のことを証言するが、弁護人はローランドが不倫を偽証したことを持ち出して信頼性を崩そうとする。

父親のデイヴィッドソン牧師は打ち合わせどおりに証言を行うが、その後「返答を変えたい」と言い出し「1ヶ月前、たまたま偽の署名に気づいて息子に確認したことがあった」と証言する。証言内容を知ったローランドは驚き「父は嘘をついている」と言う。ローランドが嘘をついているとわかれば取引は成立せず、死刑を求刑されることになる。

牧師が偽証したとすれば、その目的は何なのか。モラレスが調べたところ、牧師への寄付金の多くが偽造署名と同じ名前で行われていた。牧師は署名を集めるためにコリガンに金を払い、コリガンが寄付金を装って同額を牧師に払ったことになる。モラレスは法廷でその事実を突きつけ、教会は息子を犠牲にしてでも守るべきか、と牧師に問いかける。牧師は再び証言を変更し、不正についていつ知ったか、どこまで知ったかは忘れてしまったと述べる。

コリガンは第1級殺人で有罪の評決を受ける。


感想

署名をめぐるあれこれの事情が興味深いエピソード。問題の質は少々違うが、名古屋市議会リコール運動で署名収集をめぐってゴタゴタがあったことを思い出した。

で、アメリカでも何かモデルになった事件でもあったのだろうか? と思って検索し、こんな記事を発見。

これは別に架空署名とかいう話ではないし、記事中にあるように、署名を集めただけで政策が実現するわけではない。しかし、そうは言っても何十万人もの住民署名というのはそれなりに影響力を持つわけで(だから大金をかけてでもやる)、こういう話を聞くと住民自治って何だろうなぁ……と思わずにいられない。

さて今回の事件。本当は牧師が犯人で息子が身代わりになっているのじゃないかという予感が最後まで消えなかった。でもそれだと前回と同じじゃないか、いや本国では放送時期が離れていたし、あり得なくはないぞ、とかぐるぐる。牧師の人の存在感がありすぎるのか、あるいはローランド役の人のせいかもしれない。どんな言い争いをしようが「カッとなって殺す」ようにはどうしても見えないんだな。さらに偶然帰宅した女性(しかも教会の信者)を殴り倒すとかさ。お父さんの方がよっぽど悪そうに見えたのだ。モラレスのことを本人の目の前で「犬」呼ばわりしたり。いやモラレスさんは犬を連れて行く方だから、兎狩りに!(違)

でもやはり実行犯はローランドだったのか……。牧師が1ヶ月前に偽造署名に気づいたというのは、おそらく本当のことで、ただそれを言った相手はローランドではなくコリガンだったのだろう。コリガンは寄付の名目で金を払って事を収めようとした。だがデリックが不正に気づいてコリガンに直談判し、コリガンがローランドに連絡して事態収拾の協力を求めた――という経緯だったのだと思う。牧師は、いったんは息子を犠牲にしても教会の(というか自分の体面の)ためにコリガンを守ろうとしたが、結局法廷で事実を明るみに出され、偽証を認めたような認めないような曖昧な態度で終わってしまった。

架空署名が他にも大量に、すでに成立済みの案件にも使われたという問題の方は、司法長官が直々に調査することになったようだが、これも何だかうやむやに終わりそう。この署名をめぐってモラレスとDAのハーディンが対立する場面があったが、そういえばこの2人が一緒にいるシーンって、あまり見ていない気がする。デッカーとハーディンは、時に対立しつつも一定の信頼関係があるように見えたのだが、モラレスとはあまり親しくなさそう。

セカンドチェアのプライス検事も、だんだん存在感が出てきて好印象。デッカー&スタントン組は「師弟」という感じだが、モラレス&プライス組はそれよりもフレンドリーな感じかな。もうすぐいなくなってしまうのかと思うと残念だ。

タイトルのカーセイサークルは、教会のある場所なのか、キムの自宅か、あるいは両方かもしれない。

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Yoko (yoko221b) 2013-11-17

lola/10_carthay_circle.txt · Last modified: 2024-03-09 by 127.0.0.1