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mccallum:4_dead_but_still_breathing

McCallum - Series 1

#4 Dead But Still Breathing

  • 邦題:「死者の怨念」
  • 脚本:Mike Cullen
  • 監督:Richard Laxton
  • 初回放映:1997-02-10, 1997-02-17

事件概要

Episode 1

酒屋で万引きしたビールを一気飲みした少年が、突然苦しんで死亡する。口の周辺に水疱があり、腐食性物質を摂取した可能性があった。検死を終えて帰宅したマッカラムの元へ「ビールを飲んだ少年の死因はわかったか」という不審な電話がかかる。過去の事件の関係者で、マッカラムに恨みを抱いている様子だった。ブラッケンはマッカラムの自宅と職場に盗聴器と逆探知の装置を設置する。

少年が摂取した毒物は「パーマーの調合液」として知られる、腐食剤と幻覚剤を混ぜた毒物であると判明。これは1856年にパーマーという名の医師が毒殺に使用したことからそう呼ばれている。仲間がビールを盗んだ店は、マッカラムの行きつけの店であった。

犯人から再び電話がかかる。今回は逆探知に成功し、警察が発信元の家に踏み込むが、それは真犯人がこっそり忍び込んで証拠品を持ち込み、そこから電話をかけて警察の到着前に逃げたのだった。

その後、自宅で嘔吐して死亡した男性がモルグに運ばれる。その男性にも水疱の痕があり、同種の毒が検出される。だがビールの少年とは異なり、長期間にわたって少しずつ摂取していたものと思われた。

犯人から再びマッカラムに電話がかかり、勾留中の容疑者は無実と判明。犯人から毒をもったことを仄めかされたマッカラムは同僚のファジーに血液検査を依頼する。果たして、マッカラムの血液からも同種の毒が検出されるが、濃度はずっと低い。また、自宅の食べ物や水道水からは毒物は何も検出されなかった。

Episode 2

マッカラムは相変わらず脅迫電話を受け続け、血中の毒物濃度は上がっていく。発信元は毎回異なる公衆電話や盗んだ携帯電話などで、逆探知は意味を成さない。またその頃、使用されていない地下鉄の駅の周囲を巡回していた警備員が、犯人が地下トンネル内に作り上げた実験室を偶然に発見し、薬物を打たれて殺害される。犯人はわざと即死させず、現場から十分離れられる程度に、だが助けを呼べないような方法を取って殺害したのだった。

アンジェラは2人目の被害者の遺族からもう一度話を聞き、被害者がマッカラムと同じプールに通っていたことを知る。そのプールのシャワー室の天井裏には、パーマーの調合液を入れた容器が発見される。犯人はマッカラムがシャワーを浴びに来たところを見計らって、水に毒物を混ぜていたのだった。

マッカラムは容疑者がプールの従業員であることを知り、ブラッケンらとともに自宅へ踏み込むが、そこにはジアセチル・モルヒネ(ヘロイン)を示す化学式の模型が天井から吊るされていた。マッカラムは、過去に担当した事件のことを思い出す。それはセーラ・グライムズという女性の事件で、事故で脳を損傷して植物状態になり、夫のデイヴィッドがヘロインを大量に投与して安楽死させていた。その事件では、マッカラムが証言して夫は有罪。彼は3年間服役し、現在は釈放されている。

警備員の遺体が発見され、検死を行った結果、死因はヘロインの大量投与と判明。グライムズ事件との接点が浮かび上がる。その頃犯人はマッカラムの自宅に忍び込んでいた。

帰宅したマッカラムはジョアナが拉致されたことを知り、単独でグライムズから電話で指定された場所へ向かう。グライムズは自分と妻がいかに苦しんだかを訴え「ジョアナにヘロインを打て」と強要する。マッカラムは格闘の末グライムズを取り押さえるが、ヘロインを打たれてしまう。マッカラムはアンジェラを呼び出し「解毒剤を用意して医者を連れて来てくれ」と指示し、バイクで病院へ向かう。危ないところでアンジェラとアイダンが駆けつけ、解毒剤を投与してマッカラムを救う。


感想

姿を見せない犯人から、確実に浴びせられる攻撃と脅迫。今回はマッカラム自身が標的となり、見えない敵と対峙する。敵の狙いは自分の命なので、要求を聞くと言って交渉することもできない。どこでどうして毒物を摂取しているのかわからないまま、じわじわと身体を蝕まれていく恐怖。打ちのめされて行くマッカラムの姿が痛々しい。

今回は犯人の容姿が早い段階から明示されていて、誰がやったのかというより「この人物は誰なのか」「イアン・マッカラムとどこでどうつながっていくのか」という所が謎の中心となっていた。グライムズが警察でも検察でもなく検死医のマッカラムを標的にしたのは、有罪の決め手となる証言をしたから――なのだろうか。

犯人の実験室もすごいね。ロンドンの地下鉄は古いから、廃止された路線やら謎のトンネルやら色々ありそう。

そして、2話と3話ではごく円満に見えたジョアナとイアンの間に亀裂が――ジョアナのまさかの浮気。アイダンって本当に女なら誰でもいいのか? アンジェラや、2話のラストで口説いていた看護師(女医?)とは全然タイプが違うじゃんよ~。

まぁ、でもジョアナとイアンはちゃんと元の鞘に収まり、2話で触れられていたボビーのHIV検査(パディ先生がメスでボビーに怪我をさせてしまったのだが、その時解剖中だった遺体がHIVポジティブと後から判明)も無事に陰性とわかって良かった良かった。先生もアルコールを止め、「パーマーの調合液」についてマニアック博識なところを見せるなど、先生らしくなってきた。第1シリーズの幕引きとして、きれいに話が収まっていったというところか。英国ものはシリーズの話数が少ないのがちょっと寂しいね。……長く続けすぎて粗製乱造になるのも良くないんだけど、もうちょっとあってもいいんじゃないの。

2008-07-21

mccallum/4_dead_but_still_breathing.txt · Last modified: 2019-09-11 by Yoko