パナソニック汐留ミュージアム「カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」

投稿者: | 2017-10-22


久しぶりの内覧会です。新橋にあるパナソニック汐留ミュージアムで開催中の「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」のプレス内覧会にブロガー枠で参加させていただきました。主催者・運営者の皆様ありがとうございました!

この美術館はルオーのコレクションがとても充実していて、数年前のルオーとモロー、今年1月からのマティスとルオー展など、ルオーに関連する展覧会が開かれており、今回はカンディンスキーがからみます。とはいえ今回は、ルオーとカンディンスキーの個人的な親交よりも、この2人の生きた時代を横断的に切り取ろうとする試みが感じられました。タイトルに入っているお二人だけでなく、ペヒシュタインやクレーなど同時代を生きた「色の冒険者たち」の展覧会だと思います。

以下、ギャラリートークで聞いたお話を中心に、展覧会の内容をまとめてみました。※会場内の写真は、特別に許可を得て撮影・掲載しています。

カンディンスキーは1866年生まれですが、画家を志したのは意外に遅いのですね。学者になろうとしていたのが、30歳の頃にモネの絵を見て衝撃を受け画家を志したとのこと。そしてカンディンスキーはミュンヘンで画家修業を始め、さらに芸術の中心地、パリでサロン・ドートンヌに出会います。これはルオーやマティスらが設立した展覧会で、ここにカンディンスキーは何度か出品しています。

その中のひとつがメインビジュアルになっている《商人たちの到着》です(下の写真の背景)。一見するとカンディンスキー「らしくない」ような、ロシアの古めかしいモチーフを描いた作品ですが、描画の手法が斬新。点描で描かれた色と色との響き合いが美しく、後の抽象表現を予感させるものでもあり、「色の冒険者たち」というこの展覧会のメインにふさわしい作品です。

後にカンディンスキーはミュンヘンに戻り、「ミュンヘン新芸術家協会」という団体を設立します。その展覧会に今度はルオーが招かれ、出品された作品が冒頭に展示されている《町外れ》でした。ルオー作品では、同じ章に展示されている《法廷》も、色彩表現という点で重要な作品だと思います。色の明暗の対比がとても印象的で、担当された学芸員さんのお話では、照明技術でかなりその印象が強まっているとのこと。

さて、その後の章ではパウル・クレーやマックス・ペヒシュタインなどの作品も入り、特に第2章では壁面に作品がぎっしりと並べられています。これは、敢えてそのようなレイアウトにしたのだそうです。キャプションが離れた場所にあって少々わかりにくい所はありますが、文字情報よりも「色と形」に注目しやすいようにという意図なのです。

この時代は、ヨーロッパが世界へ進出し、アジアやアフリカの文明が芸術家たちに大きな影響を与えた時代です。また、ヨーロッパ内部では都市化・近代化が進み、政治も文化も生活も大きく変動していました。今回の展示作品で注目したい要素は「ヌードとプリミティブ」。伝統的な西洋絵画の定番であった、美しいヌード表現(女神像など)ではなく、生命力にあふれた力強い裸体表現が登場します。異国からもたらされたプリミティブな色彩や造形、フォービズムの激しさ、そして表現主義という時代の息吹が感じられました。

続く章では、クレー、カンディンスキー、ルオーという三者それぞれの表現の発展が見られます。クレーの、平面的でありながら動き、リズム、奥行きが感じられる色彩表現。カンディンスキーの色と形の完璧な対比のバランス。そしてルオーの絵の具もりもりな人体表現。単独でそれだけ見ても美しい作品ですが、最初の章から時代の流れとともに見て来ると、「あの色、あの表現がこうなったのね」という流れの面白さがありました。

「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」展は12月20日までですが、11月14日を境に版画作品などの展示替えが何点かあるようです。来月後半にまた再訪したいと思います。

そうそう、出口の所に撮影コーナーがありましたが、「手ぶらで自撮り」のできるシステムが新しく設置されています。《商人たちの到着》のパネル前で自分の姿を撮影して、その画像をスマホやPCにダウンロードできるそうです。内覧会では時間がなくて試しませんでしたが、私は自撮りが下手なのでちょっと興味ありですね。

また、このミュージアムが入っているビル(パナソニック 東京汐留ビル)の1階にはショウルームがあるのですが、そこで連動企画「素敵な絵画のある暮らし」としてカンディンスキーのポスターが展示されています。休館日は同じ水曜ですが、時間は10:00~17:00なのでご注意ください。


「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」展

  • 公式Webページ:https://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/17/171017/
  • 開館期間:2017年10月17日(火)~12月20日(水)
  • 開館時間:午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
  • 休館日:水曜日(ただし12/6、13、20は開館)
  • 入館料
    • 一般:1000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円 小学生以下無料
    • 20名以上の団体は100円割引。
    • 障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。


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