2017年に鑑賞した展覧会 ベスト10

投稿者: | 2017-12-30

今年も、鑑賞した展覧会のベスト10を発表したいと思います。例年どおり、順位はつけずに(ほぼ)見た順に記載します。

1. 日本におけるキュビスム−ピカソ・インパクト(埼玉県立近代美術館)

キュビスムの成立から始まって日本への紹介、そして戦後の展開。《ゲルニカ》のインパクトがいかに大きかったか――という点が伝わってくる構成になっていました。

2. オルセーのナビ派(三菱一号館美術館)

近代の新しい絵画が印象派で幕を開け、フォーヴィズムやキュビスムへと発展していく、その「間を埋める」部分が明らかになったような気がしました。ナビ派の中ではモーリス・ドニの作品が好き。

3. ミュシャ展(国立新美術館)

《スラヴ叙事詩》20点すべてを同時に展示されてしまったら、もう選ばないわけにはいかないでしょう(でもミュシャ作品としては、実はパリ時代の作品の方が好き)。あの大きさなので、物理的に運ぶのは無理だと思っていました。大きな筒に巻いて運搬できるようになっているのですね。キャンバスの端に穴がいくつも開けてあり、展示する時はそこにロープを通して枠に固定する。なるほど~

4. とことん見せます!富士美の西洋絵画(東京富士美術館)

ベストテン的なものにはあまり入らないコレクション展も、ラインナップに入れたくて選びました。壁一面にぎっしり並んだ作品の物量に圧倒されます。ルネサンスから現代絵画まで、美術史の教科書のような展覧会でした。

5. 絵巻マニア列伝(サントリー美術館)

やっぱり絵巻は面白い!作品だけでなく、昔の貴人たちが絵巻を貸し借りして楽しんでいた様子がわかるという展覧会構成が面白かったと思います。

6. アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国(東京ステーションギャラリー)

アール・ブリュット/アウトサイダー・アートの巨匠。言葉にできない不思議な牽引力があります。展示室のレンガ壁の効果もあって雰囲気ばっちりでした。ステーションギャラリーはあの壁面でかなりトクしていますね。

7. ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信(千葉市美術館)

こんなに保存状態の良い春信作品をこんなに大量に見たのは初めてだと思います。昨年の「くにくに展」もそうでしたが、ボストン美術館って、やっぱりすごいなー。

8. 江戸の琳派芸術(出光美術館)

これもほぼコレクション展です。収蔵品だけでこれだけの展覧会ができるのですね~。抱一と其一の作品を中心として、私淑による琳派の系譜をタテ軸に、同時代の絵師との交流をヨコ軸にとった構成もわかりやすくて良かったです。

9. オットー・ネーベル展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

全然知らない画家さんでしたが、色使いや質感の素晴らしい作品がいくつもありました。同時期に汐留でカンディンスキー、東京駅でシャガールという同時代の展覧会があり、それぞれに特徴と関連があって面白かったと思います。

10. 没後20年 麻田浩展 ―静謐なる楽園の廃墟―(練馬区立美術館)

こちらも全然知らない画家さんでした。偶然にチラシを手に取り、行ってみてすごく良かったという所に運命を感じました。


以下の皆さんは次点とさせていただきます。本当に最後まで悩みながらあれこれ入れ替えました。実は今も「こっちを入れた方が良かったんじゃないか…」と思っている展覧会があるのですが、でもまぁタイトル画像も作ってしまったことだし(笑)。

  • 草間彌生 わが永遠の魂(国立新美術館)
  • これぞ暁斎! 世界が認めたその画力(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  • ブリューゲル「バベルの塔」展(東京都美術館)
  • シャセリオー展(国立西洋美術館)
  • よみがえる画家-板倉鼎・須美子展(目黒区美術館)
  • 馬琴と国芳・国貞(太田記念美術館)
  • 銅版画家 清原啓子(八王子市夢美術館)

 

 

昨年までの「ベスト展」は、こちらです。


さて、2017年に鑑賞した展覧会を振り返って思ったことなどを少々書いておこうと思います。

今年は、テーマ的に関連する展覧会を続けて見ることが何度もありました。上記オットー・ネーベル展の所でも書きましたが、同時代を扱った展覧会を続けて見ることで、時代を横断するような楽しさがありました。この前書いたジャポニスム関連もそうですよね。

同時代といえば、今年は近代の日本の洋画を見る機会が多かったように思います。昨年の黒田清輝から始まり、吉田博(これも昨年から巡回)、藤島武二、板倉鼎・須美子展など。「日本美術」と「西洋美術」というくくりで考えると、どうしてもこの分野は死角に入ってしまいがちですが、日本の近代を考えるうえでも重要な存在なのではないでしょうか。

また、文学作品に関連した展覧会も多かったですね。ベストテンに挙げた「絵巻マニア列伝」と同時期に、静嘉堂文庫で「挿絵本の楽しみ」がありましたし、太田記念美術館の「馬琴と国芳・国貞」、出光美術館の「岩佐又兵衛と源氏絵」もそうです。「銅版画家 清原啓子」展にも、文学作品と関わりの深い作品がありました。「怖い絵」展も、「本と美術」という点では共通するものがあります。読書と美術鑑賞、両方好きな人多いですよね(私も)。

内容以外のところでは、写真撮影が(部分的にでも)できる展覧会が増えたこと、インスタやTwitterでの「口コミ」効果への力の入れ方(ハッシュタグを設定するなど)、グッズとしてマステ(マスキングテープ)が定番になったこと、図録を書籍として書店でも販売するケースが増えたことなどが印象に残っています。

そして最後に、今年「行列した」展覧会。

「怖い絵」展では70分ほど並びました。先行する兵庫会場の時点で既に異例の混雑が報じられており、上野の森では開始早々にもう行列ができていましたね。混み始める前に行こう!と思っても、混み始める前のタイミングというものがそもそも存在しないのでしょうがない。草間彌生とミュシャは並ばずに入れましたが(グッズは断念)、これは会場が大きいからという理由もあったでしょう。

東博の「運慶」も入場制限があり、こちらは10分くらい並んだかな。会場内も混んでいましたが、レイアウトが工夫されていたせいか、混雑のわりに楽な気持ちで鑑賞できました。

意外な所では、府中市美術館の「歌川国芳 21世紀の絵画力」で入場制限がかかっていてびっくり。でも入ってみると全然混んでいなくて、ゆったりと見られました。都心の美術館なら、この人数で制限はかけないだろうなと思う程度です。連休中でお子さん連れが多かったからでしょうかね。

あまり話題の展覧会ばかりに大騒ぎせず、コレクション展をゆっくりじっくり鑑賞したいなといつも思うのです。でも来年も多分無理でしょう(諦)。