三菱一号館美術館「ルドン―秘密の花園」展

投稿者: | 2018-02-12

丸の内にある三菱一号館美術館で開催中の「ルドン―秘密の花園」展のブロガー内覧会に参加させていただきました。主催者・運営者の皆様ありがとうございました!

この美術館では2012年にも「ルドンとその周辺―夢見る世紀末」という展覧会が開かれていますが、今回はルドンの「花」をメインテーマにした展覧会。こういうコンセプトの展覧会は、何と初の試みなのだそう。確かにそう言われてみれば、ルドンは「黒の時代」と「色彩の時代」を対比させるような展示が多く、花の絵は(《グラン・ブーケ》は別格として)文字どおり「花を添える」的な役割で配置されることが多かったような気がします。

しかし「花」「植物」というモチーフは、ルドンのどの時代においても重要な役割を果たしていたのだということを、今回の展示を見て感じました。

さて内覧会のお話です。まずは、高橋明也館長からお話を伺いました。これ以降、会場内の写真は、内覧会のために許可を得て撮影&掲載しています。

要約すると、

三菱一号館美術館の開館準備をしている時に、パリの画商を通じて《グラン・ブーケ》の話を聞き、三菱地所の責任者を粘り強く説得して購入に至る(食堂の装飾画16点のうち他の15点は相続税として物納されオルセー美術館に所蔵)。ドムシー城の《グラン・ブーケ》は聖堂のステンドグラスのように輝いていた。その時に「この空間を再現した展覧会を開こう」と決意した。《グラン・ブーケ》は購入後、まっすぐ東京へ来たわけではなく、最初にパリの回顧展で他の15点とともに出品。2011年3月、その開会式のためにフランスへ向かう直前に、東日本大震災が発生。この作品は「震災の記憶」と「再生」と結び付いたものとなった。

というわけで、高橋館長にとって、そしてこの美術館にとってとても重要な展覧会であることがわかります。

お話にあったように、《グラン・ブーケ》はもともとドムシー男爵のお城の食堂を飾るために描かれたものでした。装飾画は大小合わせて16点。今回の展覧会では、他の作品たちもフランスからやって来て、ドムシー城の食堂を再現してくれています。もちろん「そのまま」の位置関係での再構成は物理的に不可能なので、3階と2階の2ヶ所に分かれており、泣き別れになった部分に影武者(パネル)が入っていたりしますが(本物は別の部屋にあります)。

いつも撮影スポットがある部屋には、パネルを使った全体像の再現がありました。ここは普段も撮影OKだと思うので写真は省略(周囲にぐるりとパネルがあるので撮影むずかしいんです)。

食堂装飾と聞いた時、《グラン・ブーケ》のようなルドンの巨大作品を眺めながら食事をするってどんな気持ちかしらと思ったのですが、実際はかなり高い位置に架けられていたそうで、あまりよく見えなかったのではないかと思います。そのあたりの立体感、パネルでの説明はありましたが、ミニチュアかCGで体感してみたい気もしました。

次に、実際に展示を担当された安井学芸員とナビゲーターTak(青い日記帳)さんのお話。

そもそもルドンってどういう画家なのでしょう?

ルドンとはどうも「定義に困る画家」「どの分類からも自由な存在」であるとのこと。そう言われれば確かに……。よく考えてみると、絵画の世界だけで完結する人でもないですよね。文学・哲学・科学などとも深い関連があります。

お話の中で印象に残ったのは「余白」と「赤い枝」。

上の写真、向かって右側は《ドムシー男爵夫人の肖像》。人物の横に何か描いてあるようなないような……。日本画の「朦朧体」を思わせるような、不思議な空気感を持った作品が、この他にもいくつかあります。

左側は《神秘的な対話》で、聖母マリアが聖エリザベツを訪問するという、絵画ではおなじみの場面です。ここで聖母(の方かな?)が手に持っている枝が赤なのです。他の作品にもいくつか、同じ赤い色で木の枝が描かれているものがあり、何か特別な意味があるのではないかというお話でした。そう思って見ていくと、木全体が赤かったり、あるいは《マドンナ》で描かれている光のようなものも同じような赤い色なので、何か象徴的というかスピリチュアルな意味がありそうな気がします。神社の鳥居の色に近いせいで、よけいにそう感じられるのかもしれません。

展示構成は、初期の風景画から始まり、樹木と人、植物学者クラヴォーとの交流、食堂再現、「黒の時代」の植物、神話や幻想などとともに描かれる植物を経て、ラストで色鮮やかな花々と出会います。

今までは何となく「ルドンは黒の時代が好きだな~」と感じていたのですが(黒の時代は版画の連作が多く、物語性もあるので印象が強いんですよね)、実はこんなにもカラフルな世界だったんだ……と、認識を新たにしました。

ショップにあるグッズ類もとてもカラフル。

ルドンについて詳しくない方は、「もっと知りたい」シリーズなどで予習して行かれると良いかもしれません。

最後に、このルドン展の開催中は「雨の日、雪の日、ちょっといいこと」サービスを実施中とのこと!詳しくは以下をご覧ください。

 ルドン展会期中期間限定で「雨の日、雪の日、ちょっといいこと」サービスを実施します。


  • 公式サイト:http://mimt.jp/redon/
  • 会期:2018年2月8日(木)~5月20日(日)
  • 開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
  • 休館日:月曜日(但し、祝日の場合、5/14とトークフリーデーの2/26、3/26は開館)
  • 主催:三菱一号館美術館 / 日本経済新聞社
  • 特別協力:オルセー美術館 
  • 後援:在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本
  • 協賛:大日本印刷
  • 協力:Lufthansa Cargo AG / 全日本空輸株式会社
  • お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)