通算49話「プライドの代償」
高級住宅街に住む男性が自宅で殴り殺される。半年以上前にリストラされて無職だったが口座には不審な入金があり、出所を調べると年金生活者の男性が浮上する。その近親者は意外な人物であった。
Law & Order:UK シーズン5(字幕版)
Law & Order:UK シーズン5(吹替版)
- 脚本:Matt Evans
- 原案:Janis Diamond
- 監督:Mat King
- 初回放映:2014-04-02
Crown v. Edward Stewart
ウィンブルドンに住むニール・レスターが自宅で殺害される。部屋にあった文鎮で頭を殴られたことが死因と思われた。部屋にあったノートパソコンが持ち去られていた。
レスターは市場調査会社に勤務していたが、半年以上前にリストラされ、現在は無職。妻はそのことをまったく知らず、毎日出勤していると思い込んでいた。だがレスターの口座には、失業した後に16万ポンドという大金が入金されていた。
口座を調べたところ、エドワード・スチュワートという人物から振り込まれていた。スチュワートは自宅を担保にして融資を受けたことがわかるが、自宅を訪ねてみるとすでに差し押さえ済みで競売にかけられていた。
スチュワートの近親者を調べると娘が一人いることがわかる。それは元警部補で現在は引退しているナタリー・チャンドラーだった。チャンドラーは母親の死後、父親とは疎遠になっており、自宅の差し押さえのこともレスターのこともまったく知らないという。
レスターの自宅から持ち去られたノートPCが中古ショップに持ち込まれる。持って行ったのはスチュワートの戦友だったフェリックスで、自宅に行ってみるとそこにはスチュワート本人がいた。スチュワートはレスター殺害容疑で逮捕される。
スチュワートは犯行を否定し、レスターのことは知らない、PCは拾ったと言うが、レスターの自宅や凶器の文鎮からはスチュワートの指紋が検出される。だが、なぜ自ら大金を送り、その相手を殺す必要があったのか。
スチュワートは精神鑑定を受け、罪状認否ができると評価されるが「レスターは友人で、彼のために金を送った」と供述を変える。
ブルックスは動機を探るため、かつての上司だったチャンドラーに助言を求めて捜査に同行させ、フェリックスやレスターの妻から事情を聞く。ブルックスはそこでノートPCがもう1台あることに気づく。持ち去られたのは新しいPCで、家にあったのは息子が友達の家に忘れた古いものだった。
その後の調べで、ニール・レスターがスチュワートになりすまし、送金を行っていたと判明。連絡先には私書箱を使い、請求書や督促状などはすべてそこに送られるようにしていた。古いPCからは誕生日や住所などの個人情報が400件以上保存されていた。
ソーンは改めてスチュワートに事情を問い質すが、スチュワートは「自分の意思で融資を受けてレスターに送金した」という主張を変えない。
チャンドラーはひそかに父親と面会して事情を問い質し、ようやく真相を聞き出す。
スチュワートはオーストラリアに移住した友人を訪ねたいと思い「無料のオーストラリア旅行」が当たる懸賞に応募していた。実は、それはレスターが仕組んだ詐欺で、スチュワートは言われるままに個人情報を伝え、レスターはそれを利用して融資を受けて着服していた。スチュワートが気づいた時にはすでに遅く、自宅を差し押さえられてしまっていた。メールアドレスを検索して住所を知り、PCを手に入れたら財産を取り戻せると思ったが、情報は入っていなかった。そしてレスターから馬鹿にされ、カッとなって思わず殴り殺してしまったのだった。詐欺師に騙されたということでプライドが傷つき、相談することも動機を認めることもできなかったのだ。
ようやく事情が判明し、スチュワートは謀殺ではなく故殺での取り引きを認める。
本家の元エピソードはシーズン14「誇り高き人生」で、こちらは未見。
シーズン3で降板したチャンドラー警部補が再登場。母親の介護のために退職したという説明があったような気がするが、その後お母さんはお亡くなりになったようだ。だからといって復職するということもなく、そのまま引退。父親の負担を軽くしたくて介護を引き受けたのだが、父親の方は「自分は役に立たない」と言われたように感じ、その後疎遠になっていた様子。
引退の身とはいえ、父親が容疑者とあっては黙ってはおられずブルックスの捜査に同行。ただ同行するだけではなく被害者の遺族を怒らせたり(そのせいでレイトンにバレちゃうし)、警部補時代には考えられなかった自由奔放ぶり。
ブルックスも困っている様子だが、マット・デヴリンの事件のことを思うと強くは言えないよなと思った。
さて、その父親は娘と疎遠になった後、詐欺被害に遭いながら「だまされた」ことを恥じたのか誰にも相談できず、かといってこのまま諦めることもできず最悪の事態に。
相談できていればチャンドラー警部補のこと、銀行で事情を聞き、連絡先から犯人の身元を割り出して警察に持ち込み逮捕できていただろう。
しかしスチュワートが問い合わせた時、銀行は何も不審に思わなかったのだろうか。移住したはずなのに元の家に住んでいるし、明らかにおかしいと思うのだが。レスターも、詳細な個人情報を集めたのだから身内に警部補がいることも知っていただろうに、いい度胸だな。
2025-12-16
