Wire in the Blood Novel 1 The Mermaids Singing

殺しの儀式 Wire in the Blood

『殺しの儀式』
北イングランドの都市ブラッドフィールドで成人男性が拷問の末に惨殺される事件が続けて発生する。市警本部のブランドンは、犯罪心理分析を専門とするトニー・ヒルに協力を要請。トニーは警部補のキャロル・ジョーダンとともにプロファイリングに取り組む。

殺しの儀式

  • 著者:ヴァル・マクダーミド
  • 翻訳:森沢麻里
  • 発行:1997-04-16(集英社文庫)
  • ISBN:978-4087603071

The Mermaids Singing

  • 著者:Val McDermid
  • 発行:1995-11-06 (HarperCollins Publishers Ltd.)
  • ISBN:978-0002325455

小説版、以前にも読んだ気がするのだが、もう何年も前のことで内容もあまり覚えていないので、今回改めて読んでみた。ついでにTVシリーズの第1話も再見。キャロル懐かしい~。

比べてみて、TVのストーリーは割と原作に忠実だったんだなと思った。でも別物。何が違うかというと、TVは最初からずっと一貫してトニー&キャロルの「捜査官目線」で作られているのに対して、原作の方は捜査サイドの視点と並行して犯人の独白文書が交互に出てくるという形式なので、犯人の内面がかなり濃厚に語られている。どういう生い立ちなのか、なぜ彼らを狙い、何をしたのか。原作は警察小説というより「優れたサイコスリラー」と評されているがそのとおり。警察パートでもプロファイリングにかなりのページ数を割いている。

そしてプロファイリングがほぼ出尽くしたところでトニーが拉致され、アンジェリカの存在は目撃情報とソフトウェアの購入者を照合してあっさり判明してしまった。重要な要素はプロファイリングなので、それを語ってしまえば後はさっさと話を進めたかったのだろう。TVではアンジェリカの再登場があるが、原作はここで退場。

TVと原作の違いといえば、トニーとアンジェリカの関係も!アンジェリカはこんなに以前からトニーに目をつけてエッチな電話をかけたりしていたのか。トニーの方もまんざらではない感じだった。それからマギーの存在もTVオリジナルだろうか。

あと原作ではマイケルがキャロルの兄になっていて(TVでは弟)、トニーがマイケルを疑ったと知ったキャロルが怒るどころか「自分はそんなこと考えもしなかった」とトニーを評価している点。うーん、これはどうなんだろう。確かにキャロルは「やり手」「血も涙もない」と評価されているようだが、ちょっと冷静すぎるのでは……。TV版のキャロルは姉なので、弟に対して保護者的になってしまうということなのかもしれないが。

……という細かい枝葉の部分で違いはあるものの、ストーリーの流れは同じ。クロスが暴走して逮捕された容疑者(実は無実)が自殺してしまう所もきちんと入っていた。長編1冊を2時間ドラマにするというのは、時間配分としては適切なのかもしれない。原作はけっこう分厚くてボリュームがあるのだが、犯人の独白が長いので、そこを圧縮してしまえば話はむしろシンプルなので。

TV版では記者が大勢集まって来る中にヴァル・マクダーミドの姿があってびっくり。この後のエピソードでも記者役でカメオ出演していたのは知っていたが第1話でもだったか。

2025-02-15

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