通算17話「赤い魔女の伝説」
リッチモンドで10歳と12歳の兄弟が行方不明になり、壊れたスマホがクラミッツのもとへ持ち込まれる。2人はインターネットで流行している「赤い魔女」という都市伝説に強い関心を持っていた。
- 脚本:Denise Hahn
- 監督:Brad Tanenbaum
- 初回放映:2015-10-25
script kiddie(スクリプト・キディ):他人のプログラムを利用する未熟なハッカー
クラミッツは、リッチモンド支局のピアース捜査官から協力依頼を受ける。12歳と10歳の少年が行方不明になり、噴水で発見されたスマートホンの分析を頼みに来たのだ。
行方不明になったのはジェイコブとルーク・サリヴァンで、クラミッツが中のデータを見ると、そこには気味の悪い「赤い魔女(レッドクローン)」のイラストが入っていた。半年前からネットで拡散しているもので、2人とも強い興味を持っていたようだ。
画像には「ステガノグラフィ」という技法で不正コードが隠され、スマホはそれを通じてマルウェアに感染していた。「赤い魔女」のフォーラムにはファンが作成した多数の画像がアップロードされていた。書き込みを見て行くと、ジェイコブとルークが「赤い魔女を探しに行く」と言っている自撮り動画を発見。
その画像とともに「赤い魔女の目」というアプリがダウンロードされる。ビューファインダーのような動作で、何らかの「トリガー」を見つけてスマホをかざすと、メッセージが表示される仕組みになっていた。
2人が自宅のプリンターで最後に印刷したデータは「荒野を目指せ」という招待状。それをもう一度印刷し、アプリのファインダーをかざしてみると、メッセージが浮かび上がる。2人はそのメッセージで噴水へ導かれたのだ。エイヴリーらはメッセージに従ってトリガーを発見し、試行錯誤しながら2人の足取りを追う。指示通りに操作するとスマホは機内モードになるが、ルークは母親に電話しようとしていた。おそらくそれでケンカになり、ルークのスマホが噴水に叩きつけられたのだろう。
一行はメッセージを追って墓地へ。クラミッツによると犯人は他人が書いたコードを買って利用するだけの「スクリプト・キディ」で技術力はそれほどでもない。ラッセルは同じユーザーが投稿したイラストの完成度が高いことから「画家かもしれない」と言う。
彼らはある墓の前でメッセージを発見。その傍には血痕もあった。ラッセルはハイパースペクトルレンズで酸素濃度を調べ「出血してからまだ1時間弱」と判断。付近を探してみると、やはり赤い魔女を追ってきたティミーという少年が血を流して倒れていた。エイヴリーは、アプリを通じて子どもたちをマインドコントロールしていく手法に懸念を感じる。
ネルソンは、犯人が流用した元のプログラムの残骸を発見。オリジナルの作者から購入者がわかり、リッチモンド在住のオリヴァー・クリスピンの存在が浮上。自宅の壁には不気味なイラストがびっしりと貼られており、エイヴリーは「性衝動を行動に移さない非接触型の小児性愛者だったが、宝探しを前戯として行動に移すつもりだ」と分析する。クラミッツはメールを調べ、クリスピンが法廷画家であることを突き止める。彼らは法廷は急行するが、審理はすでに終っていた。
クリスピンのPCのデータから、宝探しの目的地はストーニー・クリーク公園と判明。そこで苦心の末最後のトリガーを発見するが、アプリで示された廃校はもぬけの殻。大人の目の高さで見ると偽の指示が表示される仕掛けになっていたのだ。子どもの身長に合わせて下から見ると、別の行先が表示される。
イライジャは本当の隠れ場所へ急行してクリスピンを発見し、少年2人を救出する。クリスピンが「あの子たちが望んだ」と言うのを聞いたイライジャは怒り、彼を殴り倒す。エイヴリーはイライジャを叱責し、現場捜査からはずすと言い渡す。
子どもをおびき出す宝探しのようなゲームアプリ。謎解きや肝試しという要素のあるゲームで、これはやってみたくなるだろう!と思わせる。視線の高さでメッセージが変わったり、スマホが機内モードになるなどの細かい部分が面白かった。
ただ、ゴールで待っているのが小児性愛者という所は怖い。未遂で済んで良かった。犯人役の人は「CSI:NY」や「クリミナル・マインド」でも性犯罪者を演じていたので、出て来た瞬間「またおまえか!」となってしまったけど。
さて、その犯人は「スクリプト・キディ」というだけあって未熟なハッカーなので、身元はわりと簡単にわかってしまった。そのぶん話がわかりやすく、ゲームの描写に時間を使っていたのが良かった。
事件以外のところでは、ラッセルとエイヴリーがパイソン逮捕のための予算増強を長官に頼みに行こうとする場面があった。この「パイソン」も、初回に名前が出て来たきりで、どういう人物なのか、どういう事件を起こしているのか、詳細がまだわからない。2話のリベンジポルノもまだ未解決のままだが、この後の話で出て来るのだろうか。
そしてネルソンとレイヴンの件は「あの2人は続かない」から、当面は黙認する様子。続いたらどうするの?
クラミッツは、事件を持ち込んできたピアース捜査官とピザディナー。意外と言っては失礼だが意外に良い雰囲気で「期待させる」感はあったが、ピアースの登場は今回限りのようで残念。ピザのトッピングは何種類あったのだろう。
2025-05-17