Wire in the Blood S6-3 From the Defeated

Wire in the Blood series 6 Wire in the Blood

通算23話
若い男性の遺体が山中で発見される。頭部に銃創が見られたが、同時に殴打され首を絞められた形跡も見られ、そのうちのどれが直接的な死因かは判断が難しい。一方トニーは、以前の事件で逮捕した男が病院で事件を起こしたため面会に向かう。

Wire In The Blood – Series 6(英国版 リージョン2 PAL信号)

  • 脚本:Simon Block
  • 監督:Declan O’Dwyer
  • 初回放映:2008-10-10

山に埋められた若い男性の遺体が発見される。頭部に銃創が見られたが、殴打されたり首を絞められたりした形跡もあり、どれが直接の死因だったかは判断が難しい。身体の傷から、被害者は殺害された後、うつ伏せの状態で長い距離を引きずられて埋められたと思われる。

射殺と絞殺が同時に行われることは、通常ない。首を絞める行為は弱い相手への支配であり、性的な要素が考えられる。また、激しい殴打と冷徹な射殺は整合しない。複数の加害行為が見られる場合、犯人が複数であれば、加害の順序は犯人グループ内の序列を表し、単独犯であれば嗜好を示す。

身元は、3か月前に失踪したトム・ファーンボローと判明。トニーはアレックスとともに遺族を訪ね、トムがゲイであり、父親がそれを拒絶していることを見抜くが、トム殺害には関与していないだろうと判断。

その後、トムと同じように「殴られ、首を絞められ、撃たれた」アンドリュー・ドライデンの遺体が発見される。死亡推定時期はトムより数週間前で、爪の下からは、トムの皮膚が検出される。

使用された銃は2件とも同じコルト・アーミーで、付近で登録している所有者は3名いる。その中のピーター・カレンはボクシングクラブのオーナーで、素手で殴り合う違法な試合を主催するという前歴があった。

カレンは殺害を否定し、半年以上前に銃の紛失を届け出ていると主張。ポーラはカレンの家の納屋に床板が張ってあることに気づく。床下を掘り返すと、そこには古い人骨1体と多数の犬の骨が埋められていた。カレンは逮捕されるが、トニーはトムとアンドリューの事件とは無関係だろうと判断する。今回見つかった人骨は戦った形跡と銃弾の痕はあるが、凶器はカレンが所持していたショットガンだった。

カレンは納屋の白骨は「敗者だ」と言い、殺害を否定しない。白骨の身元は薬物でカレンとのつながりを持つクライヴ・ホッカーと判明。トニーは、トムやアンドリューとは身体特徴も人間関係も異なると指摘する。

その後、お互いに身体を縛り付けられた2人の遺体が河口で発見される。

片方は白人の若者で、複数の打撲傷があったが、古い傷と新しい傷が混在していた。そして他の被害者と同じように首を絞められ、撃たれ、爪の下からはトムの皮膚が検出される。これは、被害者が複数回格闘し、その合間に身体を洗っていなかった――つまり拘束されていた可能性を意味する。

もう一人はアジア系の若者で、こちらは打撲傷も首を絞められた形跡もなく、服をちゃんと着たままで頭を撃たれていた。氏名はカール・ディジョンで、マーク・バロンという別の若者と一緒にいたところを目撃されていた。カールの体内からはロヒプノール(睡眠薬)が検出される。

トニーは、犯人は神を演じているのではないかと思いつく。彼は獲物をさらい、お互いに戦わせて強い者を生き残らせる。旧約聖書の神が自分に似せてアダムを創造したように、彼は自分に似た白人男性を選ぶ。そのため、アジア系のカールは戦うことなく単に殺された。最近になって遺体が次々に発見されたのは、何らかの予定表に従って行動している可能性がある。犯人が神であり、勝ち残った若者がアダムであるなら、彼にはイブが必要となるはずだ。

「アダム」を決定した後すみやかにカップリングできるよう、彼は自分の「イブ」をすでに決めているだろう。遺体の遺棄現場から絞り込んだ犯人の居住地の中で、若い女性から何か通報がなかったか調べたところ、赤ん坊と二人で暮らしているエリー・ジェイコブズという女性が浮かぶ。彼女は不審なバンに追跡されたり、不審な電話を受けたりしていた。自宅へ行ってみると、激しく争った形跡があり、エリーと赤ん坊の姿はなかった。

また、ピーター・カレンのファイトクラブの会員名簿を調べたところ、ジョン・テイラーという男性が該当する地域に住んでいることがわかる。

アレックスらがテイラーの自宅に到着した時、テイラーはエリーとマークを檻に閉じ込め、性交しなければ赤ん坊を殺すと脅していた。トニーはテイラーを説得しようとするが、銃声を聞いた武装警官が駆け付け、テイラーは銃で自殺してしまう。エリーたちは赤ん坊とともに無事救助される。

一方、”Unnatural Vices” で逮捕された「マイケル」と名乗る男(本名不詳?)が脱走。彼は収容されていた治療施設で宗教に傾倒し、礼拝中に自分の手のひらを万年筆で刺し、磔刑のキリストのような傷を付けるという事件を起こしていた。トニーはマイケルと面接し、信心は見せかけだろうと判断するが、そのため主治医を解任されてしまう。

マイケルは牧師を殺害して服を取り替え、牧師になりすまして逃亡する。


若い男性の連続殺人。死亡時期と遺体の発見が前後しているので、ちょっと整理してみた。

まず、アンドリュー・ドライデンとトム・ファーンボローが戦い、トムが勝つ。アンドリューは殺されて捨てられる。次に、3人目の被害者(カールと一緒に遺棄された白人青年)とトムが戦い、トムが負けて殺される。テイラーはヒッチハイクしていたカールとマークを車に乗せ、カールだけを殺害。

3人目の被害者とマークが戦ってマークが勝つ。テイラーは3人目の被害者とカールの遺体を捨て、その後4人目の被害者を連れて来る。その後マークが連勝して「アダム」決定戦に勝ち残ったのだと思う。

それにしても、創世記でアダムとイブが子をもうけたのは楽園を追放された後のことだと思うのだが、その点テイラーの脳内ではどういう世界観になっていたのだろう。また、トニーがテイラーの意図を見抜くのも、少々唐突な気がした。エリーが連れ去られた事件の報が入り、そこから関連性を見出していく方が自然ではないかと思った。

事件と並行して、シリーズ6の最初の話で逮捕された自称マイケル(本名は不詳で、大天使ミカエルの名を名乗っている)が脱走するという事件が発生し、こちらは未解決のまま。今シリーズはあと1話しかないので、次回で決着がつくものと思う。


単語帳

  • First Epistle of Paul the Apostle to the Corinthians:コリントの信徒への手紙
  • Communion:聖体拝領
  • Myra Hindley:1963~65年に英国で起きた「ムーアズ殺人事件」の犯人のひとり。エドワード・ゴーリーの絵本『おぞましい二人』の元ネタになった。
  • Rosemary West:1973~87年に英国で連続殺人事件を起こした犯人のひとり。

2025-06-07

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