通算099話「消せない傷」
アルバニア系ギャングのボスの愛人と息子が失踪。マローンは以前に別の事件でそのギャングを捜査対象にしており、今回も捜査に乗り出そうとするが、別件で捜査していたNY市警の刑事はFBIを歓迎していない様子。
WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え! 5thシーズン 前半
- 脚本:Diego Gutierrez
- 監督:John Peters
- 初回放映:2006-10-22
失踪者:ジュリア・マルティク、ペトロス・マルクー
郊外に住むジュリア・マルティクと幼い息子のペトロス・マルクーが失踪。室内には荒らされた形跡があった。夜に隣人が悲鳴を聞き、拉致される様子を見て通報していた。ジュリアはアルバニア系ギャング、サディーク・マルクーの愛人でペトロスは息子。事件は市警が捜査していたが、マローンは以前に別の事件でサディークを調べたことがあり、彼に関する事件は知らせてくれるよう内々に頼んでいた。市警の刑事はFBIの介入を歓迎していない様子。
サディークにはオデッタという妻がいるが、ジュリアのことは妻も公認。家族同然に接し、一緒に食事もする仲だという。ジュリアはペトロスをギャングの世界に近づけたくないと思っていたようだ。
ジュリアがひどく殴られた状態で発見される。彼女はペトロスとともに拉致され、自分だけが車から放り出されたと供述する。犯人は2人組で、片方はサディークの手下のアーティだったというが、アーティは犯行に使用した車の中で、射殺された遺体として発見される。
サディークは以前ネオナチとの間で武器取引をめぐって争い、サディークは銃を売らないまま現金だけ巻き上げたことがあるとわかる。マローンがサディークから事情を聞いた後、帰す際に尾行を付けると、サディークはそのネオナチ、トラヴィス・ホルトのアジトに乗り込んでいた。サディークはホルトに暴行を加えていたところを逮捕される。
ホルトは誘拐への関与を否定し、ヴィヴィアンに「自分は潜入捜査中の警官だ」と明かし、怪しい人物として腹心の部下フランキーの名前を挙げる。
サディークがホルトから奪った現金には追跡用のマークが付けられていた。フランキーはマーク付きの金を持っているところを見つかるが「オデットから渡された」と言う。フランキーは引き換えに、偽造パスポートを2人ぶん用意していた。
オデットはジュリアとペトロスを逃がそうとしていた。彼女は以前、ペトロスがサディークの銃を持ち出して遊んでいるところを見て、父親から引き離そうと決めた。そこでアーティを雇ったが途中で裏切られた、と供述する。
だが供述に不自然な所があり、改めてジュリアに問い質したところ、彼女はペトロスが事故で死亡したことを認める。荷造りをする途中でペトロスが銃を見つけ、ジュリアが目を離したすきに銃を撃って死んでしまった。そこで公園に遺体を埋め、オデットとともに誘拐をでっち上げたのだった。
サディークは前シーズンの22話「不運の代償」で初登場。でもどんな話だっけ……自分で書いたエピガイを読み返しても印象がいまいち。ただ、マローンが過剰な暴行を加えていたことは思い出した。
今回はそのサディークの愛人と幼い息子が失踪。「事故で子どもを死なせてしまい誘拐をでっち上げる」というストーリー自体は珍しいものではないし、このWaTでも初めてではないはず。
直接の死因になったのは子ども本人が銃で遊んでいたせいだが、遠因になったのは何と言っても父であるサディークの態度だろう。やりきれない結末になった。
それにしてもNYPDとの縄張り争いが醜悪。真相はともかく事件が発覚した段階での状況では、サムの言うとおり警察の事件だったように思う。
2025-06-26