通算114話「誘拐」
公園で幼い男児が失踪。親子三人で青空市場へ来ていたが、母親が一瞬目を離したすきにいなくなったという。夫妻は経済的に余裕がなく、身代金目当ては考えられないと思われていたが……。
WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え! 5thシーズン 後半
- 脚本:Amanda Segel
- 監督:Eric Close
- 初回放映:2007-04-08
失踪者:アンドリュー・プラット
公園の青空市場で幼い男児アンドリュー・プラットが失踪。父ジョン、母テスと一緒だったが、母親が一瞬目を離したすきにいなくなったという。
ジョンは警備会社に勤務しており、経済的には余裕がなく、身代金目当てとは思えなかったが、ジョン宛てに身代金要求を予告するようなメールが届く。発信元はプリペイド携帯だった。
テスは黒人女性だが、ジョンの父ジョセフ・プラットは、白人至上主義の出版物を扱う会社を経営しており、購読者の中にはヘイトクライムで逮捕された者もいる。ジョンは「結婚後はずっと疎遠になっている」と関連を否定するが、実はテスがひそかに息子を引き合わせていた。
ジョセフの妻は前年に病死したが、その前に「孫に会ってほしい」と言っていた。その後、テスが連絡し、アンドリューと会わせる条件として学資の積み立てを要求したという。
その後、犯人から10万ドルが要求される。ジョセフが支払いを申し出、ジョンとテスは現金に追跡装置を仕掛けることに同意し、ジョンが現金を持って連絡を待つ。ジョンはマローンらの指示に従わず犯人と単独で対峙しようとするが、逆に撃たれて病院に運ばれる。発信器は捨てられていた。
ジョンが警報装置を不正に操作したり、テスがアンドリューの学資積み立てを引き出して妊娠中絶していたことなどがわかるが、いずれも事件とは無関係とわかり、結局バイクから、犯人はボブ・ギルクリストと判明。テスの友人エリンの弟で、刑務所から出て来たばかりだった。
エリンは弟とその彼女がアンドリューを誘拐したことを知り、驚いて通報しようとしたが、ボブに殴られて自宅で倒れているところを発見される。ボブはジョンの父親が裕福であることを知り、誘拐を企てたのだ。
ボブが以前の仲間と連絡を取ったことがわかり、その人物が所有する倉庫へ向かう。ボブは銃を向けて射殺されるが、恋人はボブを裏切ってアンドリューを助けようとしており、無事に保護される。
無茶な展開があった前回の後、どうなるかと思ったらオーソドックスな失踪(誘拐)事件に戻り一安心。
今回の監督はマーティン役のエリック・クロース。少し前にアンソニー・ラパリアが脚本に加わった回や、CSI:マイアミのアダム・ロドリゲスの作品もそうだが、出演俳優が制作に関わった作品は、作品の世界観がしっかりしているというか、きちんと筋が通っているという印象がある(そうでないのもあるけど)。シリーズの開始時期から文字どおり全身で作品世界を構築している俳優ならではのものだろうか。
ジョンの不正やテスの中絶などのレッドヘリング的な展開がいまいち「効いてない」感じや、真犯人の登場が唐突すぎる、などストーリー展開には改良の余地があると思うし、ジョンと父親の関係など、掘り下げが物足りないところはあったものの、前回のように作品世界の屋台骨を揺るがすようなことではないし、アンドリューが無事に保護されたのも良かったと思う。
2025-07-18