通算117話「世界に二人だけ」
プロムパーティに出かけた女子高生が失踪し、着ていたドレスがゴミ箱から発見される。彼女はボーイフレンドを亡くしたばかりで、現在デートの相手はいなかった。
WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え! 5thシーズン 後半
- 脚本:Greg Walker, Jose Molina
- 監督:John F. Showalter
- 初回放映:2007-05-06
失踪者:エラ・ニース
高校のプロムパーティに出かけたエラ・ニースが失踪。鍵を借りて個室に入ったことはわかったが、部屋からはシーツや毛布がなくなっていた。近くのごみ箱からは血痕の付着したエラのドレスが発見されるが、その血はエラのものではなかった。
エラにはアレックスという恋人がいたが、薬物使用の問題を抱えており、しばらく前に遺体で発見されていた。それ以来、デートの相手はいなかったという。
会場でエラがセス・フォーリーという若者と口論していたところが目撃されており、セスの携帯電話を追跡すると、駐車場に停めた車のトランクに押し込められていたところを発見される。セスは高校の生徒ではなく、グリーフ・カウンセリングでエラと出会って親しくなっていた。一緒に個室へ行き、良い雰囲気だったところ、外から入って来た何者かに殴り倒されたと主張する。
通話記録から、エラが前日にアレックスの家に行っていたことがわかる。アレックスの父テッド・ワードは、息子を亡くしてから仕事を辞め、青少年の薬物問題に取り組む活動を始めて、各地で講演を行っていた。テッドは、エラから「アレックスの遺品をプロムに持って行きたい」と言われたが、実は麻薬を探していたのではないかと言う。
エラが勉強を教えていた転校生のマリーは、エラは死んだはずのアレックスの姿を見て動揺していたと語る。
アレックスの遺体は父親によって身元確認されたため、DNA鑑定は行われていなかった。遺体は何日も水に浸かって腐敗がひどかったため、正確に判断できたかは疑問が残る。
エラの両親に話を聞くと、アレックスが失踪する数日前、エラは彼の部屋で麻薬を見つけ、怒ってトイレに捨てたことがあった。アレックスは動転して「これは俺のじゃないのに」と叫んだといい、エラは彼の失踪に責任を感じている様子だった。
マリーが目撃した車を探し当てて持ち主を訪ねたところ、持ち主の若者はアレックスの友達で、売人に借りを作って追われている彼を匿い、エラを連れて来て会わせていた。さらに、アレックスとエラはパーティの前日、2人でテッドに事情を説明しに行ったとも言う。
テッドは金を持って逃亡しようとしていたところを逮捕される。テッドは、自宅に来たエラから1万ドルを要求され、渡したことを認める。講演でテッドが語るアレックスの話は虚構だが、現在はそれで毎週3000ドルを稼ぐ日々。テッドによると、売人の名はセス・フォーリーだという。
セスはエラに近付いてアレックスのことを聞き出し、プロムの夜に駆け落ちする計画だと聞いていた。そして個室にアレックスを来させて金を受け取ろうとした。現れたアレックスは扉に叩きつけられて鼻血を出す。だがその後、エラとアレックスが2人がかりでセスを殴り倒し、車のトランクに入れたのだった。
エラが自発的に姿を消したことがわかり、TVで2人への呼びかけが行われる。エラは呼びかけに応じ、駅へやって来たマローンに「私たち結婚しました」と告げる。
ホテルの警備部長がエクリーだ!……と、失踪した少女よりそちらの方に注目してしまったエピソード冒頭。でもエクリーの出番は冒頭だけで、事件には関わって来なかったので残念。
冒頭の幸せ家族の情景からは想像もできなかった親子の諍い。ホテルの部屋で何があったのか、エラがテッドの家に来た目的は何だったのか、ドレスの血は誰のものか――関係者の証言が食い違うのをひとつずつ整理しながらパズルのピースを組み立てるように「その日の状況」を組み立てて行く。オーソドックスなWaTの面白さがあって良かった。
ホテルの部屋でセスとエラが良い雰囲気になる場面と敵対的な場面。扉が開いてセスが殴り倒される場面とアレックスが殴り倒される場面。テッドと話すエラの態度。開いていた通風孔カバーの意味。同じ場面で同じ俳優がまったく違う場面を演じて撮影する現場を想像すると何だか楽しい。
結局はお騒がせカップルの駆け落ちドラマでした――ということで、まぁ誰も死ななくて良かった。いや一人いた。アレックスの代わりに埋葬された若者は結局誰だったのだろう。今度こそ正しく身元を確認して、遺族のもとへ返してあげてほしい。
脚本のホセ・モリーナ、今回のクレジットは「Jose Molina」だが、「José Molina」と両方の表記があって混在しているようだ。
使用楽曲
- Genius by Duncan Sheik
2025-07-22