Law & Order:UK S3-8 Immune

Law & Order UK シーズン3 Law & Order: UK

通算34話「免責」
チキンの店に銃を持った強盗が押し入り、現金を奪って逃走。犯人は途中で車をぶつけたため、ハイヤーを乗っ取り運転手を人質にして逃走。その後犯人のひとりが逮捕され、人質の居場所と引き換えに取引を要求する。

Law & Order:UK シーズン3(字幕版)
Law & Order:UK シーズン3(吹替版)

  • 脚本:Nick Hicks-Beach
  • 原案:Ed Zuckerman, Shimon Wincelberg, Richard Sweren
  • 監督:James Strong
  • 初回放映:2011-10-05

Crown v. Frank Donovan

チキンの店に銃を持った強盗が押し入り、店員から現金を奪う。チキンの数が足りないことに気づいた客が戻って来て鉢合わせしたため、焦った犯人が発砲し、通行人が被弾して死亡する。犯人は2人組で、混乱の中で1人が被弾。車を破損させたため、ハイヤーの運転手を脅して運転させ逃亡する。運転手のクームズは元軍人で、喘息の持病があるため早期に発見しなければ命にかかわる。

その後、現金600ポンドを持った男が意識不明で倒れているところを発見され、病院に運ばれる。氏名はフランク・ドノヴァンで、銃で撃たれていたため事件の犯人の片方と思われた。店から奪われたのは1000ポンドかそれ以上なので、自分の取り分を持っていたのだろう。ドノヴァンは一命をとりとめるが、弁護士を呼び取引を要求。「最後に見た時クームズはまだ生きていた」と言い「チキン店襲撃事件に関するすべての犯行」について故殺で有罪答弁することを条件にクームズの居場所を教えるという。

ソーンは取引に難色を示すが、弁護人はクームズの妻やマスコミに情報を流し、警察・検察が人命を軽視しているかのようなキャンペーンを張る。結局取り引きの期限までにクームズを見つけることができず、ドノヴァンの条件をのむことになった。

ドノヴァンに教えられた倉庫に踏み込むと、そこにはクームズの遺体があった。頭を強く殴られ、死後24時間以上経過している。つまりドノヴァンはクームズがすでに死亡していることを知りながら、嘘をついて取引条件に使ったということになる。取引を無効にするべきか検察内では意見が分かれる。無効にすれば、検察は信頼を失い、今後同様のケースで情報を得られなくなるおそれがあった。

結局ソーンは取引を反故にして謀殺・強盗・銃所持で起訴。弁護側は当然異議を申し立て、審問が開かれる。

一方刑事たちはドノヴァンの周辺の捜査を進め、もう一人の容疑者ジェームズ・ハーパーにたどり着いていた。また、ドノヴァンが所持していた600ポンドは当初彼の取り分と思われていたが、調べてみると被害総額が600ポンドで、店員が被害額を過大に報告して差額をくすねていたこともわかる。

つまりドノヴァンはチキン店から奪った現金すべてを所持していたので、ハーパーも殺害している可能性が高い。そこでドノヴァンの背景状況を調べて絞り込んだ結果、ハーパーの遺体を発見する。

刑事たちはソーンに報せるため法廷へ向かうが、ソーンはちょうど審問の途中。判事は弁護人の言い分を認め「ドノヴァンの自供を使うなら取引の同意事項に従う必要がある。無効にするなら供述は排除する」と言い渡していた。そこへ刑事たちが到着してハーパーが死亡したことを告げるが、ソーンは「聞きたくない」と途中で報告を遮り、取引の条件を受け入れることに同意する。

ソーンが取引をのんだのは、そうしなければドノヴァンの供述を使用できず、他に証拠がないためハーパー殺しで起訴することもできないためだった。しかし弁護側は「チキン店襲撃事件に関連するすべての犯罪」が対象であるからハーパーの殺害も含まれると主張。再び審問が開かれ、ドノヴァンはチキン店を襲撃した結果としてハーパーを殺したという供述を行う。その供述には説得力があったが、取引を認めた時に「ドノヴァンがハーパーを殺害した」ということをソーン自身が知らなかった場合は、事実を知らずに同意書を認めたので、独立した犯罪として訴追できる可能性があった。ソーンはそれを見越して刑事たちの言葉を制したのだった。

ソーンは「ハーパーが死んだと聞き、彼の証言が使えないとわかったので取引に応じた。殺されたとは知らなかったし、その可能性も考えなかった」と主張する。ブルックスも証言台に立ち、ソーンの証言を裏付ける。最初は「それでは偽証になる」と難色を示していたケイシーも結局はソーンに協力し、ドノヴァンはハーパー殺しで起訴されることになった。


本家エピソードはシーズン7「勝負の時」で、検察と被疑者の取り引きが大きな役割を果たしていた。今回も同じなので、英国でもこういう取引はあるのか?と思ったら、2005年に認められた制度であるというような説明が入っていた。

弁護士のペスカトーレは今回のみの出演。名前は美味しそうだが手法が強引だ。人質がすでに死んでいると知りながら(知らなかったとは思えない)、あのような手を使うというのは、被疑者の権利を守るという範囲を超えていないだろうか。クームズの妻によく連絡できたなと思う。

それに対抗するソーンの小細工も、フェアとは言い難いが、まぁ弁護側よりはマシかなと思った。本家でもそうだったが、刑事たちのあれは偽証と言ってよいだろう。「殺害された (murdered)」と明言していないところまではギリセーフかもしれないが、その理由は明らかに虚偽なので。

弁護側はともかく検察の方はもう少し、正々堂々とした方法で勝って欲しかったな……という印象が残った。

2025-09-15

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