通算132話「曲がり角」
女子高生がチアリーダーの練習後に失踪。彼女は心臓に疾患があり、2年前に移植手術を受けて元気になったが、闘病生活の反動か時々羽目を外すことがあったという。
Without a Trace/FBI失踪者を追え! シーズン6
- 脚本:Diego Gutierrez, Amanda Segel
- 監督:Jonathan Kaplan
- 初回放映:2008-04-10
失踪者:ダイアナ・リード
ナッソー郡に住む高校生のダイアナ・リードがチアリーダーの練習後に失踪。ダイアナは心筋炎という疾患を抱えて幼少期から闘病生活をしていたが、2年前に心臓移植を受けて元気になり、その反動か時々羽目を外すことがあったという。親友のケリーとは一緒にドラッグを摂取し、以前から親しかったジョーは「元気になったと思ったら約束をすっぽかす、ひどい女だ」とブログに愚痴を綴っていた。
ダイアナと「揉めていた」というクレイグは、ダイアナに頼まれて、学校新聞のアカウントでロイ・ジェンキンズという人物の住所を調べたことを認める。失踪前日、ジェンキンズは学校に乗り込んで来て「息子の記事」の件でダイアナをなじり「二度と姿を見せるな」と脅したという。
調べてみると、ジェンキンズにはポールという17歳の息子がいたが、ダイアナが移植手術を受けた当日に交通事故で死亡していたことがわかる。ダイアナは父親との会話で、自分の心臓のドナーが同年代の少年だったと知り動揺していたという。ドナーは匿名だが、ダイアナは独自に調べてポールを探し当てたのだろう。
ロイの妻はダイアナが「学校新聞の取材」と称して訪ねて来たことを認める。彼女はダイアナの取材に答えていたが、ポールのことをあれこれ聞かれて辛くなり、帰ってもらったという。ロイは妻が動揺している様子を見て学校へ乗り込んで行ったのだ。
近くでダイアナの車が見つかったため、さらに問い質すと「今日になってダイアナが再び現れ、ポールの心臓提供を受けたことを明かした」と認める。ポールの兄ティムはそれを聞いて臓器提供のことを初めて知り、怒ってダイアナを連れ出していた。ポールの車を手配すると、事故現場に近い場所にいることがわかる。
事故当時、運転していたティムは自身も重傷を負い、移植の話は聞かされていなかった。ティムは事故以来荒れた生活を送っており、ポールを失った怒りをダイアナにぶつけるが、駆けつけたヴィヴィアンらに逮捕される。
前回、撃たれて重傷を負ったジャック・マローンは病院に搬送されて一命をとりとめるが絶対安静。出産が近づいて動きづらそうなサムが付き添っているが、その彼女のもとにブライアンが現れる。親権放棄の書類にサインをしてお別れする予定だったのが、父親の自覚が生まれて気が変わったようだ。
ブライアンを演じているアダム・カウフマンは「TAKEN」にも登場していたが、エリック・クロースとの同時共演はなかったと思う。カウフマンは実生活でサム役ポッピー・モンゴメリーのパートナー。つまり、お腹にいる赤ちゃんのリアルパパでもある。
こういう感じで俳優さんのプライベートがストーリーに流れ込んでくるのは好きではない。
もちろん、俳優も人間なのだから妊娠もするし、人生で普通に起きることをドラマに取り入れるのが悪いとは言わない。だが、そのために個人ストーリーを急ごしらえしたりキャラクターの人物像を損なっていくのは止めてほしい。サムはマローンと不倫していたこともあるし、性に関して保守的な人物とは思わないが、それにしても、やはりあるまじき振る舞いだったと思う。「皆には言ってなかったけど実は彼氏がいました」で良くない?
……と、事件以外のあれこれが気になってしまった今回のエピソードだが、肝心の事件の方もいまいち。ダイアナの行動も居場所も、心臓移植の事情がわかってあっさり解決。というか、クレイグがちゃんと学校に行っていればFBIすら必要なかったかもしれない。
この事件も、今までのWaTならもっとしっかり描写できたはずではないかと思った。弟が死んで自分だけ生きのこってしまったティムと、若者が死んだことで生きのびられたダイアナのそれぞれの苦悩。生前のポールの思い出。もっと情緒的に演出できたのではないか。お涙ちょうだいで良いんだよ!それを堂々とやるのがWaTの良さじゃないか。
2025-10-31
