Law & Order:UK S5-2 Safe from Harm

Law & Order UK シーズン5 Law & Order: UK

通算47話「愛のあかし」
精神科医がオフィスで何度も刺されて殺害される。オフィスの奥には使用された形跡のある寝室が隠されており、禁断の愛の告白らしき内容が録音されたテープも発見される。

Law & Order:UK シーズン5(字幕版)
Law & Order:UK シーズン5(吹替版)

  • 脚本:Tom Grieves
  • 原案:Richard Sweren, Gina Gionfriddo
  • 監督:Mat King
  • 初回放映:2014-03-19

Crown v. Alison Gardner

精神科医のフィリップ・ガードナーがオフィスで殺害される。身体にはナイフで何度も刺された痕があった。刑事たちはオフィスの奥に寝室を見つけて驚く。デスクの引出しには「クレア」というラベルのテープが隠されており、禁断の愛の告白らしき内容が録音されていた。

ガードナーは十代の若年患者を専門に扱っており、家族は妻アリソンと子ども2人。患者のひとりはガードナーが殺されたことにショックを受け、自殺を図るが命をとりとめる。

アリソンは当初、事件の夜はずっと自宅にいたと主張し、息子と娘もそれを裏付ける供述をしていた。だがその後、娘のリサが「本当は母は家にいなかった」と認める。

取調べ中、ブルックスはアリソン自身がかつてガードナーの患者だったことを知る。彼女は当時まだ15歳だった。そしてテープの中では同じように「クレア」への愛を語っている。アリソンがテープを聞いた時の様子から、彼女が「クレア」の存在を知っていたことがわかり、彼女は逮捕される。

だが、リサはその後供述をひるがえし母親のアリバイを裏付ける。実はテープを見つけたのはリサだった。再生している所に母親が来て知られてしまったという。

アリソンは事件の後アリバイ工作のような電話を母親にかけており、その時の位置情報から居場所がわかり、付近の川をさらうと凶器が発見される。

証拠を突き付けられたアリソンは「15歳の時にレイプされた。また同じことを繰り返していると知って止めさせようとしたが、衝動的に刺してしまった」と認める。

計画的でなく衝動的な犯行なら故殺だが、アリソンは刺した後、血の付いた服を始末して凶器を捨て、アリバイ工作のような電話をかけ、息子と娘にも嘘を言わせている。そして凶器が出たとたんに主張を変えた。ソーンは冷静な計算のもとに行われた謀殺だと判断する。

公判が始まり、アリソンは15歳でガードナーにレイプされ、「病院に入れる」と脅されて結婚を承諾させられたと主張する。また、事件以前もガードナーはアリソンに対して支配的に振舞い続けたという。

さらに、精神科医のアントニア・キャリーが弁護側の証人となり「精神科医が患者と性交渉を持つのは言語道断。破滅的な結果は目に見えている」と証言する。だが彼女自身、数十年前に患者のひとり――重要証人の死にショックを受けた弁護士、ヘンリー・シャープと恋愛関係になったことがあった。

アリソンの証言を聞いていたブルックスとバーカーは、あることに気づいて証拠を調べ直す。その結果、ガードナーが語った内容がアリソンの証言と一致していること、2人が初めて結ばれた土地の地名が「クレア」だったことが判明――テープはアリソンへの愛を語った回想録で、思い出の地「クレア」をタイトルにしたのだった。


本家の元エピソードはシーズン18「メレディスの思い出」で、これは確かテレビ東京版を見たような記憶がある(エピガイ作成はまだまだ)。このエピソードは後述する理由があって気になっていたもので、この機会に情報を整理しておこうと思う。というわけで、今回は本家の他エピソードも含めてネタバレ度が高めになっているのでご注意を。

このUK版では、証人として出廷したキャリー医師に対抗してヘンリー・シャープが過去のことを持ち出すが、本家版で証人になったのは初期シーズンから検察に協力してきたエリザベス・オリヴェットだった。検察側は、オリヴェットが彼女の患者だった「相棒を殺された刑事」と男女関係になったことを指摘する。オリヴェットは確か、関係を持った時はもう患者ではなかったと反論したと思う。

そして、それはシーズン3「秘められた思い」での態度と矛盾するのではないか?という指摘が寄せられていた。「秘められた思い」はセラピストが性交渉を通じて患者を支配するという関係が重要な意味を持っており、オリヴェットは患者との性交渉を持つこと自体を非難していたからだ。いや、それ貴女もやっていたでしょう?というわけなのだが……。

しかし時系列を考えてみると、矛盾とも言えないのではないかと思った。

オリヴェットのお相手だった「相棒を殺された刑事」は、名指しはされていないがおそらくローガンだろう。彼女の初登場は、シーズン2で相棒のグリーヴィを殺されたローガンと面談する場面だった。

そしてシーズン3「屈せざる女」ではオリヴェット自身が性犯罪の被害者になるが、このエピソードで2人の恋愛関係を思わせる描写は特になかったと思う。そして上記の「秘められた思い」はその3ヶ月ほど後の放送。

2人が恋愛関係になったのがそれより後のことであれば、「秘められた思い」の時点で偉そうなことを言ってもおかしくないし、「メレディスの思い出」で医師と患者という関係ではもうなかったと反論したのもわかる。面談から少なくとも2年は経過し、その間事件を通じて対等な立場で何度もやり取りをした間柄であるからだ。

以上、これは本家のエピガイに書くべきだったかもしれないが、本家の視聴がぜんぜん追い付いていないので。

さて今回のエピソード、最後は「浮気ではなく被害者は本気で妻を愛していた」と美しくまとめられていたが、この被害者の行動はやはり不適切だったと言わざるを得ない(だから殺してよいわけではないが)。アリソンに対しても支配的に振舞っていたようだし、ポールのあの反応を見ても、自分に対して患者を過度に依存させていたのではないかと思った。

だいたい当時15歳だよ!許されるわけがない。

アリソン自身も娘と息子に対しては何だか支配的だ。フィリップは、アリソンが大人になってきたのでポールをその代わりにしたのかもしれない。

アリソンはフィリップを殺し、その後「クレア」の真相を知ることで、今後一生フィリップから逃れることができなくなってしまった。究極の支配――と考えると何だか恐ろしい。

本家では「メレディス」だったが今回の地名「クレア」はイングランドのサフォーク州にあり、観光地としても有名らしい。日本で女性名っぽい地名といえば仙台市に「愛子」があるが「あいこ」ではなく「あやし」と読む。あやしい。

2025-12-09

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