キャサリン、ニック、グレッグ、ブラス警部は蝋人形館で起きた発砲事件を担当。不運な偶然が重なった事故と思われたが、状況を総合してみると不審な点が感じられた。ラングストン、サラ、ヴァルタン刑事はマッサージスパで客がヘビに咬まれた事件を担当する。
- 著者:Greg Cox
- 発行:2010-11-30
- ISBN:978-1439160800
キャサリン班の事件は発端がホラー風味だった。不気味な蝋人形館(ポール・ミランダやナタリー・デイヴィスの人形がある!)に仕事の面接に来たモデルの女性ジル。その背後から覆面をしたチェーンソー男が背後から忍び寄る! ジルはパニックに陥り拳銃を取り出して発砲。しかしこれが実は “Shock Treatment” というリアリティ番組で、いうなればアメリカ版ドッキリカメラ。チェーンソー男は仕込みの俳優だったのだ。それを、ネタばらし直前のタイミングでジルが撃ち殺してしまったものだから、現場は大混乱に陥る。
状況からみて不運な事故に間違いはないだろうと思われたものの、ビデオを何度も繰り返して注視していたニックは何かが変だと思い始める。偶然が重なったにしても、すべてが同じ方向に揃いすぎている。まるで誰かが脚本を書いてお膳立てしたように……。
そう思ってみると、確かに動機のある人物はいるし、ジルが銃を入手した経緯(暴力的な元カレからストーキングされていた)にも不審な点がある。とはいえ、立証はできるのだろうか?それってCSIの守備範囲?と疑問に思っていたら、関係者のひとりが射殺されるという新たな事件が起きて、その後はとんとん拍子に事件解決。2番目の事件はCSIの専門分野ど真ん中で、銃の薬きょうから指紋を検出する新しい手法も紹介されていた。
サラとラングストンのスキッパーコンビはマッサージスパでの事件を担当。ここではヘビを使ったマッサージを提供しており、いつものように施術を始めた途端、その女性客がヘビに咬まれて昏倒、病院に運ばれる。そのスパで使っているヘビはちゃんとしたディーラーから調達したもので、毒ヘビではないはず。だが調べてみると1匹だけ、種類の違うヘビが混入していた。
ヘビの入手経路や混入の手口などを考えると、犯行が可能だった人物はごく少数に限られる。というわけで、淡々と捜査を進めて真相に行き着き、特に混乱もなく事件解決。こちらはTVでいう「Bプロット」な印象だった。
どちらの事件も特に複雑なものではないが、ゾンビ映画やヘビスパなど、映像的にインパクトのありそうな道具立てが揃っているので、前回の “Skin Deep” に続いてこちらもTVエピソードとして見たかったなぁと思った。
著者グレッグ・コックスは11作目 “Headhunter” に続いてこれが2作目。CSIは「毎週楽しみにしている」とのことで、蝋人形のモデルをはじめとして過去の事件にちらちらと言及があるのが嬉しい。アーチー、マンディ、ホッジスといったラボクルーの活躍もTVを見ているように画面が想像できた。
2025-07-24