CSI - Season 3, Episode 15 ====== #61 Lady Heather's Box ====== * 邦題:「永遠の別れ」 * 脚本:Carol Mendelsohn, Andrew Lipsitz, Naren Shankar, Eli Talbert * 原案:Anthony E. Zuiker, Ann Donahue, Josh Berman, Bob Harris * 監督:Richard J. Lewis * 初回放映:2003-02-13 ---- //All that time at Lady Heather's and you never learned that the submissive is the one in control.// ===== 事件概要 ===== ==== ジゴロ連続殺害事件 ==== 別々におきた2つの事件が、後に1つの事件となる。 1件目はグリッソム、ウォリック、サラ(途中まで)、ブラス警部が担当するホテルの泡パーティ。大勢の男女が泡にまみれて踊っている最中、男の遺体が発見される。名前はトレイ・バックマンで、首に何かで刺された跡と、右肩にインジェクター(注射針より短く簡単に薬品を注入できる)の跡があった。トレイが泊まっていた部屋には長い黒髪と口紅のついたグラス。 首の傷は、現場に落ちていたハイヒールが刺さったものと思われた。グリッソムと警部は、パーティに来た女性たちの中から、その靴に足の合う女性を探し出す。彼女はトレイと親交があったこと、パーティで「何か柔らかいものを踏んだ」ことは認めたが殺意は否定。一方、インジェクターで注射されたのはインシュリンと判明。だが糖尿病ではない。 クレジットカードの記録から、トレイが別のホテルにも部屋をとっていたことを知り、行ってみるとそこにはレベッカ・マコーミックという女性が待っていた。トレイを買ったのだと言う。 2件目はアパートの腐乱死体。体液が床下から階下の天井に染みて、住人が臭いに気づいたのだった。キャサリンとニックが担当するが、途中で緊急事態が発生したため、キャサリンは現場を離れる。被害者はクロイ・リチャーズ。パソコンの記録から、女性客相手の商売男と判明。太腿から発見された注射針は、インシュリン注射に使われる物。共通点が複数あることから、グリッソムはトレイの事件と関連していると推測。雇用記録を調べると、レディ・ヘザーの館があった。 レディ・ヘザーは業務を拡大してインターネットにレディ・ヘザー・ドットコムを開設。そこでオンラインSMプレイを提供していた。トレイとクロイは専属ではなく契約社員だった。2人の顧客を相互参照し、黒髪の女性をリストアップしてみると、中にレベッカがいた。夫のスティーブンはレディ・ヘザーのWebサイトに投資していた。彼は夫婦間の性的問題がレベッカの経験不足によるものと思い、クロイを雇ったが、トレイのことは知らなかった。レベッカは、トレイとはオンラインでチャットしただけだと言う。だがトレイのホテルにあった毛髪はレベッカのものと思われ、シーツから採取したDNAからも彼女が部屋にいたことが裏付けられた。話を聞きに館へ行き、グリッソムはバランスを失う。 その後、グリッソムはレディ・ヘザーと紅茶を飲み、彼女が糖尿病であることを知る。インシュリン注射を数週間前にインジェクターに変えたと聞き、グリッソムは令状を取る。 そんな折、レベッカが自宅で絞殺体で発見される。首を締めた箇所にはダチョウの羽が残っており、それはレディ・ヘザーの館で働くクローエが使っていた道具の物だった。彼女の靴からは、冒頭のパーティーの泡と同じ匂い。彼女は被支配者役でスティーブンに雇われていたが本気になり、妻の愛人を殺すことがスティーブンのためと信じ、レディ・ヘザーのインジェクターを持ち出して犯行に及び、さらにはレベッカを殺害。服従こそが力を持つという原則を、スティーブンは理解していなかったのだ。 ==== エディ・ウィロウズ殺害事件 ==== サラ、ベガ刑事担当。腐乱死体を調べていたキャサリンの携帯電話に、娘のリンゼイから助けを求める電話がかかる。キャサリンは現場へ急行し、川に沈む車の中から間一髪でリンゼイを助け出す。リンゼイは「ピンク色の髪の女の人が運転していた」と言う。座席には大量の血の痕とドラッグ。 エディはその後、射殺された遺体で発見される。同乗していたのは彼がマネージャをしていた歌手のキャンディースだった。その日キャンディースはレコーディング中に出て行ったまま帰って来なかった。そのスタジオは防音が完全ではなかったので、テープを調べてみると、ちょうどその時間に銃声とハーレーのエンジン音が入っていた。キャンディースの電話の通話記録から、彼女がカイナーという男に電話していたことがわかる。カイナーはハーレー乗り。 キャンディースはカイナーに電話して麻薬を買ったが、エディは麻薬を禁じていた。カイナーは、キャンディースがエディを撃ち、自分は逃げたと言う。だがキャンディースはカイナーが撃ったと言う。凶器が発見されないため、どちらが本当かわからない。キャンディースは危険な状況に子どもを置き去りにしたこと、カイナーは麻薬の所持と販売でそれぞれ立件するのが精一杯だった。 ---- ===== 感想 ===== 通常は40分ちょっとなのだが、今回は60分の特別枠。長いよ。でも長さを感じさせない面白さ。 エディの事件は何ともやりきれない終わり方だった。犯人はわかったも同然――2人のうちどちらかだということは、ほぼ確実なのに最後の決め手がない。キャサリンもサラも、事件がそういう終わり方をすることは珍しくないと思うのだが、親しい人の事件がそういう結末をむかえてしまうとは。この後の話で犯人がわかったりするのだろうか。 エディも、浮気者だしキャサリンは苦労が絶えなかったみたいだけれど、リンゼイには良いパパだったんだろうなと思う。シーズン1の時だっけ、仕事に夢中だったキャサリンの代わりにリンゼイを迎えに行ったりしていたと思う。キャサリンにも一時期恋人がいたりして、出番がなくなったなと思ったら、いきなりこんな……。 このエピソードでは、キャサリンだけでなくグリッソム主任も重大な転機をむかえたようだ。レディ・ヘザーに耳の問題をあっさり見抜かれ「バランスを失っている」と言う主任。意味深な言葉を交わしつつ、彼女の頬に手を……そして暗転。わおー。:-P この後の展開は視聴者の想像に任されている、と判断してあれこれ想像してみたのは良いのだけど、レディ・ヘザーがその後のこと(だろう多分)を "the one unforgivable act" と言ったのはどういう意味なんだろうと考える。彼女はかつて、power だけは絶対に男に渡してはいけないと言っていたけれど、ここで彼女は power を手放したのだろうか? 支配者と服従者ではなく、お互いに "stop" を言える対等な立場に立ってしまったこと? そこから一歩進んでグリッソムに "stop" を言わせてしまったこと? それとも、単純にグリッソムを客ではなく友として遇してしまったことが許されないことだったのだろうか。 ところで http://www.ladyheather.com に行ってみたのだが、CSIの公式と同じindexがあるだけで、他には何もないっぽい。ドメインサーチしてみたら、所有者はCBSのようだ。放映当時には何かコンテンツがあったのだろうか? ((2019年現在、このサイトはCBS公式サイトにあるCSIのページにリダイレクトされています。)) ---- ===== 単語帳 ===== * pina colada: ピニャコラーダ(正確には Piña Colada、ココナッツミルクとパイナップルジュースで作る香味料) * stiletto: 錐、スティレットヒール(spike heelより細いハイヒール) * Androcles: アンドロクレース。ローマの競技場でライオンと闘わされるが、相手が昔とげを抜いて助けてやったライオンだったため助かった。 --- //Yoko (yoko221b) 2005-11-26// [<>]