CSI - Season 3, Episode 21 ====== #67 Forever ====== * 邦題:「黒衣のジュリエット」 * 脚本:Sarah Goldfinger * 監督:David Grossman * 初回放映:2003-05-01 ---- //First witness, first suspect.// ===== 事件概要 ===== ==== ロリ・ハッチンス殺害事件 ==== グリッソム、キャサリン、ニック、ブラス警部担当。プライベート・ジェットの中で賑やかなパーティが行われているその頃、貨物室では馬のそばに調教師ロリ・ハッチンスの遺体が横たわっていた。着陸後に発見されるまで、乗務員は変わった様子に気づかず、ロリも非常ボタンを押さなかった。 グリッソムらは獣医の協力を得て、ひづめの泥、脚の毛、口の中の何かを採取。その馬は、子宮の感染症を防ぐため陰部が縫合されていた。現場には鎮静剤の矢とそれを撃つ銃があったが、獣医は馬に銃は使わないと言う。撃った時のショックで逆効果になるためだ。ロリは死ぬ前に鎮静剤を大量に服用していた。肩には鎮静剤のライフルで撃った傷。自分で撃つのは不可能な位置だ。 その後、運んでいた馬が子宮の感染症で死亡。解剖してみると、子宮の中にダイヤの原石を入れた袋が入っていた。獣医のスティーブンスは失踪。オフィスからは、ダイヤの緩衝材に使ったレンズマメが発見される。マメの重量から類推して、獣医が持ち去ったダイヤはあと4袋。ダイヤの原産地は中央アフリカ、すなわち国連によって禁止された紛争ダイヤモンドであると思われた。 馬の体内にあったダイヤの袋からは、マメの他にニンジンが発見され、梱包したのはロリだったと判明。スティーブンスは袋が全部で4つだと思っていたが、実は5袋あり、そのことはロリしか知らなかったのだ。ダイヤのバイヤーのルートを探す途中で、キャサリンは飛行機に乗っていたコンシェルジュ、ローン・キンゼイ=コンファーに注目。「キンゼイ」はローンの母親の名で、彼女は「キンゼイ・ダイヤモンド」のオーナーだった。ローン、スティーブンス、ロリの三人はダイヤを密輸して儲けていたが、ロリが馬の命を守るためにダイヤを取り出そうとしたために争いになった。ローンは鎮静剤のライフルでロリを撃ち、その音に興奮した馬がロリを蹴る。ローンの胸には発砲の痕跡が残っていた。 ==== デス・バレー心中事件 ==== ウォリック、サラ、ロックウッド刑事担当。デス・バレーで黒の正装に身を包んだ少年の遺体が発見された。胸で手を組んで毛布の上に横たわり、手に鎮痛剤のパッチを貼った覚悟の自殺のように見えた。持っていた学生証の名前はトビー・ウェルストーン。山中に一人で死んでいたのに、近くに車はない。トビーには身寄りがなく、里親の家庭を転々として、この1年は行方不明。手首には自殺未遂の跡があった。毛布には何か白いものが付着。 その後、そこから半マイル離れた場所で黒いドレスを着た少女の遺体が発見される。同じ薬品のパッチを手に貼っていた。同じような白いものもあった。ドレスは手縫いで、身体に合っていなかった。胃の中身と薬はとビート同じ。指紋からお互いにパッチを貼り合ったとわかる。だが心中なら、なぜ少女は別の場所にいたのか。 失踪者届けの中から、少女の身元はジル・フロマーと判明。トビーは五年前にフロマー家の里子になっていたが、ジルの父親が死に、母親はトビーの面倒を見切れなくなって返した。一年前に、ジルが再びトビーを連れて来たという。どうやら虐待をされていたらしく、母親はしかたなくまたトビーを引き取った。娘の交友関係などは、何も関心がない様子だった。 ジルのドレスは、友達のアリッサが学園祭のために縫ったものだった。また、トビーの毛布とジルのドレスに付着していた白いものは、ミルクと赤ん坊の唾液だった。DNAから、両親はトビーとジルであると判明。デス・バレーで赤ん坊の捜索が始まるが、赤ん坊はジル母が隠していた。二人の心中に使われた薬品も、ジル母の家で発見される。彼女は二人の心中に協力し、デスバレーまで車で送り、二人が薬品パッチを貼るのを見届けて赤ん坊を連れて帰ろうとした。死の直前、ジルはやはり死にたくないと言って助けを求めたが、そのまま置き去りにしてきたのだった。 ---- ===== 感想 ===== 心中事件は、何ともやりきれない結末。状況から自殺であることは明らかだったので、ではジルが離れたところにいたのはなぜか、二人をその場所へ送り届けた協力者は誰か、薬品をどうやって入手したか、という疑問が事件の焦点となる。結局答えは3つともジルの母親。赤ん坊がいた、という結論から山狩りが始まるところでは、まさか赤ちゃんも山中で……と、ちょっと暗い予感もしたのだが、まぁ無事で良かった。 ネヴァダ州では自殺を見届けるだけでは罪にならないらしい。助けを求めたジルを見捨てたことはどうなのか、よくわからないが、その場面であったことは本人しか知らないことであるし、赤ん坊の面倒を見るのはジル母だけなので、結局は無罪になるのでは……という、ちょっとすっきりしない幕切れだった。 主任の事件は、終わってみれば第1発見者=第1容疑者だった馬がいちばんの被害者。被害者のロリも密輸に一枚かんでおり、しかも医師を出し抜いてダイヤを1袋余計に入れていた。馬の命を救おうとして死んでしまったわけだが、ロリは自分が密輸の罪に問われるリスクを覚悟で袋を出そうとしたのかな。 紛争ダイヤモンド。国連の定義によると「正当かつ国際的に認知された政府の打倒を目指し軍事活動を展開する武装勢力の制圧地域で産出され、当該諸国での軍事活動の資金源として利用されるダイヤモンド原石」というもの。アンゴラやシエラレオネなどのダイヤ産出国で、ダイヤの不正輸出が反政府勢力の資金源となり内戦を長引かせていることが問題視されていた。これに対し、国連が中心となって紛争ダイヤ規制のための「キンバリー・プロセス証明制度」を発足させ、2003年からは「合法的」に輸出されるダイヤモンド原石には、この証明書が添付されることになった。 ---- ===== 単語帳 ===== * foal: 一歳未満の馬やロバの仔、仔馬を産む * equine: 馬、ウマ科の動物 * pyometra: 子宮蓄膿症 * conflict diamonds: 紛争ダイヤモンド * mucoid: 類粘液、粘液状の * Tantalus: タンタロス(ギリシャ神話のゼウスの子。神々の秘密を漏らしたために地獄で苦しんだ) --- //Yoko (yoko221b) 2005-12-23// [<>]