CSI - Season 6, Episode 17 ====== #134 I Like to Watch ====== * 邦題:「ウォッチャー」 * 脚本:Henry Alonso Myers, Richard Catalani * 監督:Kenneth Fink * 初回放映:2006-03-09 ---- //There's too many forensics shows on TV.// ===== 事件概要 ===== ==== 連続暴行事件 ==== オムニ・コンドというマンションに居住するクリスティーナ・ホリスが暴行を受けるという事件があり、CSIが捜査に入る。保安官の方針で、PRの一環として "Hard Crime" というリアリティ番組が密着取材を行うことになっていた。 クリスティーナの身体には、縛られて暴行を受けた形跡が残っていたが、薬物を投与されて記憶を失っていた。無理に侵入した形跡はなく、キャンドルやマニキュアがあったことから、誰かを迎える準備をしていたらしいことがわかる。部屋からは、黄色い繊維片とゴミ箱に捨てられた花束が発見される。クリスティーナは足の爪に赤いペディキュアを施されていたが、本人が塗ったものではなかった。 花束を持って来たのは恋人のドワイト・レイノルズだったが、ドワイトはクリスティーナの部屋でバリー・ホワイトの曲が流れていることを知り、他の男性とデートしていると思い込んで怒って帰っただけだった。 黄色い繊維は、消防士の制服に使用する難燃性の繊維だったが、ベガスの消防署で使用されている物ではなかった。消防署長の話から、事件当日、その現場で発炎筒が置かれて消防士が出動していたことがわかる。また、近隣のマンションでも類似の事件があり、別の女性が不審な消防士の姿を目撃していた。 クリスティーナは、犯人に「足を触られていた」ことを思い出す。そこから「バーで男に薬を盛られ、気がついたら足にペディキュアを塗られていた」という女性の事件との関連も浮上。犯人が女性の足に対するフェティシズムを持つ人間であれば、どこかで被害者の素足を目にしているはず。クリスティーナもその被害者も、他人に素足を見られそうな条件として、バルコニーでヨガの練習をするという共通点があった。 消防士の制服を個人で購入した顧客と、被害者をバルコニーで目撃できそうな場所を突き合わせると、向かいの建物に住むリチャード・マックイーンの存在が浮かぶ。マックイーンの部屋にはペディキュアのキットや、大量の女性の足の写真に加え、クリスティーナの足にペディキュアを塗っている場面を録画したビデオがあった。だが、消防士の制服とエアタンクは見つからなかった――マックイーンは装備を身につけて別の女性の部屋に押し入り、今回は被害者を殺害していたのだった。 ---- ===== 感想 ===== 見づらい! とにかく映像が見づらくてしょうがなかった! リアリティ番組のクルーが密着取材でずっとついて回るという設定なので、「手持ちカメラで撮った未編集ナマ映像」という演出なのだろうが、とにかく画面はブレるし画像は粗いし、気のせいか音声まで聞きづらかった(CCがあるからいいけど)。そういう演出なのはわかるが、ちょっと変わった趣向を楽しむ以前に見づらくて目が疲れてしょうがなかった。 話の方も……ただでさえ女性が、特に性暴力の被害者になるという話は好きじゃないので、余計に話に入れなかった。:-( 特に、犯行ビデオを「フラッシュライトカメラ」で撮影するシーン。犯人の顔を映すためだったのだろうと思うが、被害者をあれ以上晒し者にする必要があったのだろうか。番組スタッフの無神経な言動にも腹が立つし、このエピソード全体がその「取材スタッフの視点」になっていることでさらに不快感がつのる。取材スタッフの顔は映らないし、どんな風に取材しているのかを「神の視点」で見ることができないんだよね。だからその不愉快なスタッフの視点に立って、被害者や刑事やCSIたちの嫌そうな視線(ホッジス以外)を受け止めないといけないのだ。 このエピソードって、「『CSI』は、証拠隠滅の方法を犯罪者に教えている」という否定的なコメントが出たことへの反論なのだろうか。 * [[http://cinematoday.jp/page/N0007763|「CSI」は犯罪者のための教育番組?]] (シネマトゥデイ 2006年2月13日) だが、反論よりも「報道(?)メディアを悪者にしよう」的な意図の方が前面に見えてしまって、ちょっと何だかなぁと思った。メッセージのためにドラマを作るのは本末転倒ではないかと思う。ドラマで大切なのは、まず物語を紡ぐことであって、そこから自然にメッセージが生まれるなら良いが、まずメッセージありきでそれに合わせて物語を利用しようとすると、その時点で物語を殺す危険を冒すことになると思う。1エピソードをまるまる使ったこの「反論」は、結果的に失敗作を生んでしまったと私は思う。 それだけTVの影響が強くて「CSI」がポピュラーだってことなんだろうなぁ。パトリシア・コーンウェルの小説は、いくらベストセラーになっても、そんなコメントは出されていなかったように思うのだが。 --- //Yoko (yoko221b) 2007-05-15// [<>]