CSI: Miami - Season 10, Episode 11 ====== #224 Crowned ====== * 邦題:「地獄へ堕ちろ」 * 脚本:Brett Mahoney, Krystal Houghton Ziv * 監督:Gina Lamar * 初回放映:2011-12-11 ---- ===== 事件概要 ===== ==== スザンヌ・グラマシー ==== 美少女コンテストの行われているホテルで、出場者の母スザンヌ・グラマシーが、ティアラの尖った飾りを目に突き刺されて死亡する。スザンヌの娘メルローズは浴室に隠れていた。メルローズは「ママが倒れたからバスルームでお化粧をした」と口にし、犯行を目撃している可能性があったが、具体的なことは聞けなかった。 メルローズは優勝候補だったため、ライバルと目されるトーリーの母親アリシアに疑いがかかるが、アリシアは「スザンヌがトーリーのドレスを破ったので抗議しただけ」と主張し、犯行を否定。 コンテストの主催者からビデオ映像の提供を受け、調べてみたところ、メルローズとトーリーの映っている部分の映像にノイズが他より多く入っていることがわかる。何者かが2人を狙ってストーキングしていた可能性が考えられた。念のためトーリーの安全を確認しようとするが、いつの間にかトーリーは姿を消していた。 その後、ビデオ映像を確認していたのは、主催者ダーラ・チェンバーズの夫エドウィンとわかる。エドウィンはコンテストを利用して可愛い少女に目を付けて連れ回していたものと思われた。メルローズの姉ジャンも、幼い頃コンテストに出場し、エドウィンに数時間連れ回されたことがあるらしい。 だが、ティアラに付着していたブロンザー(日焼けスプレー)がきっかけになり、スザンヌは事故死だったことがわかる。スザンヌはメルローズの肌を小麦色にするためにブロンザーをスプレーしていたが、メルローズは言う事を聞かずベッドで跳ね回り、困ったスザンヌがやる気を起こさせるために手にしたティアラが、はずみで目に刺さってしまったのだった。 ==== トーリー・ハヴァフォード ==== スザンヌは事故死とわかるが、トーリーの行方はまだわからない。ジャンの協力を得て記憶を呼び覚ましてみたところ、エドウィンが被害者を連れて行ったのは映画館で、ネズミの出てくるアニメ映画を上映していたとわかる。また、犯行は決まって火曜日。火曜日が休みで、かつ該当する作品を上映していたという条件で絞り込み、トーリーの監禁場所らしい映画館が判明する。 警察が突入し、ナタリアがトーリーを保護。エドウィンは逃亡するが、ホレイショが銃を手に後を追い、発砲。エドウィンは2階席から落ちそうになって助けを求めるが、ホレイショは「お前のような奴は決して変わらない」と、エドウィンが転落して死ぬのをただ見ていた。 ---- ===== 感想 ===== 海外ドラマに時々登場する、美少女コンテスト。肯定的に描かれているのを見た試しがないのだが、今回もそうだった。私などは、ジョンベネちゃんの事件で初めて知ったくらいなので、肯定的に見るのがそもそも困難なのだが、ドラマの中での描かれ方を見ていると、米国の多くの視聴者にとってもやはりそうなのだろうと想像できる。 にもかかわらずコンテストが盛況なのは、やはり喜んで出たがる子――というより、出したがる親が多いのだろうか。カリーは自分も「元コンテスト荒らし」でありながら否定的。出演している女優さんの中にも、コンテスト出身の人は多そうだし、何となく複雑な事情が推察される。 しかしそういう思いもどこかへ吹っ飛んでしまったラストの衝撃。 ホレイショはエドウィンを撃ち、エドウィンは転落しそうになって手すりにつかまる。ここで駆け寄って引き上げるのかと思いきや、そのまま落ちるに任せてしまった。これは状況として「殺した」と言ってよいのではないか。 発砲自体は正当なものだろう。しかし、被弾して手すりにつかまっている状態のエドウィンはもはや脅威ではなかったはずだ。救助せず放置していれば、いずれ力尽きて落下し、落下すれば死ぬことは予想できただろう。そこには「こいつは死んでもいい」という殺意がはたらいていたと思わざるを得ない。 シーズン1のフィナーレ「死刑台への脱走」に同じような場面があった。あの時ホレイショは、同じように落ちそうになってぶら下がっている凶悪犯を救助して逮捕した。今回も同じような構図だったのは、おそらく偶然ではないと思う。敢えて同じような画面構成を重ねることで、現在のホレイショはあの時とは違うのだ、そしてこのシリーズは「天に代わって悪を討つ」という方向へ向かうのだということが、ここで宣言された。そう受け止めるべきなのかもしれない。 初期シーズンのホレイショは、多少の逸脱はあっても「あくまで法の枠内で制裁を科す」というスタンスを守っていたと思う。それが揺らぎ始めたのは、マリソルの敵を討つためにリオへ行った時だろう。その後カイルの登場を経て、「父親」になったホレイショによる小児性愛者やDV男への過剰な制裁を暗示する場面が目につくようになった(シーズン6「ティファニーのお仕置き」やシーズン9「ダービーガールの死に様」)。しかし、その時は具体的な場面は描かれず、視聴者の想像に任せるようにフェイドアウトして終わっていた(窓から投げ落としたことは一度あったけど)。マリソル殺害の実行犯だったフィエロでさえ、射殺して復讐を遂げるのではと思わせつつ結局は逮捕したのだ。 身を守る必要もなく、ただ「お前のような奴は決して変わらない」から殺した、という今回の行動はひじょうに重要な意味を持つ。 番組としてそういう方針で行きますよ、という宣言ならば、それはそれで良い(賛同はしないけど)。しかし、それならそれで方針変更を納得させる描写が今までにあれば良かったと思う。たとえば、上記「死刑台への脱走」でホレイショが助けた犯人が再び脱獄して少女を毒牙にかけたとか。それなら「あの時助けていなければ、この被害はなかった」という思いが今回の行動につながったということで、ある程度の説得力はあったかもしれない。 そしてもうひとつ、疑問というか不安に思うことがある。今後のエピソードで同じような犯罪者が登場し、かつての被害者やその親が復讐で殺害した場合、ホレイショは彼らを逮捕することができるのだろうか? ---- ===== 使用楽曲 ===== * "Dynamite" by Taio Cruz (冒頭) * "Style" (feat. Marissa Beatini) by Analogue Revolution --- //Yoko (yoko221b) 2014-04-29// [<>]