Law & Order - Season 1 ====== #11 Out of the Half-Light ====== * 邦題:「終わらない憎しみ」 * 脚本:Michael Duggan * 監督:E.W. Swackhamer * 初回放映:1990-12-11 ---- ===== 事件概要 ===== ==== Case: Astrea Crawford ==== アストリア・クロフォードという黒人の少女が、ゴミ捨て場で気を失って倒れていた。顔や身体には「WHORE(淫売)」などと落書きされていた。アストリアは「白人の警官に襲われた」と言うが、警察に行って証言することは拒否する。黒人の人権擁護に熱心な下院議員のイートンが乗り出し、事態は政治問題に発展。 議員は教会の跡地を「聖域」と称し、アストリアと両親を篭城させ「警察は事実をもみ消そうとするので尋問はさせない」と宣言。警察に不満を抱くアフリカ系市民たちが続々と集まり支持を表明する。グリーヴィとローガンは少女に話を聞こうとするが、その場でアストリアが倒れて気を失う。ストーンは警察が事態をこじれさせたと怒り、検察で捜査を引き継ぐことにする。 容疑者とされた警官はいずれもアリバイが確認され、レイプ検査は陰性、少女の状態にも矛盾があり、狂言だったのではないかという疑いが強まる。だがイートンの狙いは人種対立をあおり、白人の権力構造を攻撃することであった。 アストリアと母親は大陪審に召喚されるが出廷せず、法廷侮辱罪で起訴される。有罪の判決が下されるが、被告人に考える時間を与えるため、次の大陪審まで刑の執行は猶予される。 ロビネットは教会の神父の仲介によってアストリアの母と話し合いの機会を持つ。アストリアは恋人の子を妊娠したが、粗暴な父親を恐れて本当のことを言えず、中絶に同意させるため、白人警官に襲われたという話をでっち上げたのだった。ロビネットは、市の交差訴状(cross charge)を取り下げ、両者に口止めを課すことで事態を収めることに成功する。 ---- ===== 感想 ===== 今回の元ネタになった事件は、タワナ・ブローリー事件とのこと。概要としては、彼氏と外泊した女の子が、父親を恐れて本当のことを言えず、苦し紛れの嘘でごまかそうとしたところが大事になって――と、今回の話と同じような展開だったようだ。下にリンクした「聖なる神話と現世の嘘」にもタワナ事件への言及があって、色々考えさせられる。 * [[https://en.wikipedia.org/wiki/Tawana_Brawley_rape_allegations|Tawana Brawley rape allegations]] (Wikipedia) * [[http://www.pluto.dti.ne.jp/~ohto/time/98/time980723.html|聖なる神話と現世の嘘]] こちらのストーリーでは、細かい点がよく理解できなかったのが残念――大陪審で審理されていたのは、「アストリアが暴行を受けたとされる事件」ということで良いのだろうか。アストリアの事件、虚偽告訴(?)の件、警察が人種差別しているという主張と、さまざまな件が交錯していて、どれがどの事件のことなんだか。 この事件では、ロビネット検事が活躍。人種問題がからむ事件では大抵そうなのだが、今回は特にそうだ。 ストーンはロビネットに「君は黒人である以前に法律家なのか、それともその逆なのか」と問う。ロビネットにしてみれば、そんなこと聞かれたって「どちらも自分」であって、どちらが欠けても今の自分ではなくなるわけで、片方だけを取るわけにはいかないだろう。白人男性であるストーンは、そんな選択を迫られることはないはずだ。それでも、「どちらも自分」が通用しない状況でどちらかを選ばざるを得ない時はある。権力者の側にいて、かつマイノリティとして生きていく以上、それは避けられないことなのだろうと思う。 法廷侮辱罪の判事が終始冷静さを保ち、人種差別反対演説をぶちたがる弁護人をたしなめる場面には好感が持てた。黒人と女性という2つのマイノリティ性を持つ判事の方が、人種属性に対して距離を置いて客観的になれるということを表現しているのだろうか。 --- //Yoko (yoko221b) 2007-03-10, 改訂 2008-04-09 // [<>]