Law & Order - Season 4, Episode 4 ====== #70 Profile ====== * 邦題:「プロファイリングの死角」 * 脚本:Gordon Rayfield, Ed Zuckerman * 原案:Gordon Rayfield * 監督:E.W. Swackhamer * 初回放映:1993-10-13 ---- //This used to be a nice neighborhood.// ===== 事件概要 ===== ==== People vs. Arthur Tunney (判事:Elizabeth Mizener) ==== アシータ・カーンという女性が白昼、アッパーウェストサイドの路上で射殺される。その地域ではごく最近に似たような殺人事件があった。その時の被害者はヘクター・デュバルはハイチ出身のティーンエイジャーで、今回はインド系の女性。アシータが最後に立ち寄った店は、ヘクターがレジ係をしていた店だった。2件の犯罪で使用された銃には共通の特徴がいくつもあり、さらに同じ特徴を持つ銃が使用された、別の事件も浮上する。オリヴェットは被害者に関する資料をFBIに送り、プロファイリングを依頼。 付近には厳戒態勢がしかれ、ローガン刑事もホームレスに変装して警戒。そこへ発砲事件があったという報が入る。今回の被害者は重傷をおったが命はとりとめた。暗くて顔は見えなかったが、声は覚えているという。今回の現場はハーレムで、以前の現場とは離れているが、そこにはかつて映画館があり、アッパーウェストサイド出身のブリスコーにとっては「馴染み深い場所」だったという。犯人は、かつて有色人種による犯罪の被害に遭い、その反動で彼ら全体を憎むようになったと考えられた。 そのプロファイリングを手がかりに、人種差別主義者のメーリングリストなどで対象者を絞り込み、アーサー・タニーにたどり着く。彼の母親は数ヶ月前に、アフリカ系の若者に襲われて死亡していた。目撃者と被害者もアーサーを確認し、タニーは第2級謀殺3件、謀殺未遂1件で起訴される。 タニーは、取調べ中に差別的な言動を控えるよう忠告した弁護士を拒否し、敢えてアフリカ系のホラス・マッコイ弁護士を雇う。その後、保釈を却下されたタニーはライカーズの拘置所へ送られるが、他の囚人に襲われて負傷する。シフは、模倣犯を招かないためにも、取引をせず有罪の判決をかちとるよう命ずる。 そこへ、新たな類似事件が発生。だが今回は模倣犯の可能性が高い。キンケイドはタニーの姉に事情を聞こうとするが、「弟に必要なのは刑務所ではなく治療だ」と協力を拒まれる。 マッコイ弁護士はオリヴェット医師を証人として召還し、FBIの作成したプロファイルの中で、タニーに一致しない点をいくつも並べ立て、そのプロファイルに基づいて行われた捜査の信頼性を崩そうとする。シフは、「目的はタニーをストリートから隔離することだ」と、無罪になる危険を冒すより取引するよう方針を変える。だが、マッコイに連絡を取ろうとしたストーンは、タニーが保釈されたことを知らされる。タニーが拘置所にいる間に同種の殺人が発生したことがその理由だった。 キンケイドは警官の監視を付けようとするが、タニーは行方をくらませていた。検事と刑事はタニーの義兄に迫り、母親の遺品を保管している倉庫の場所を聞き出す。そこには切断したばかりの銃身。近隣を警戒する中、銃撃事件が発生。タニーは被害者と一緒にいた娘の反撃で逆に射殺されていた。 ---- ===== 感想 ===== このシリーズでは珍しい、連続殺人事件。ローガン刑事の変装姿(でもホームレスには見えない)も珍しい。プロファイリングが登場するのは初めてかな? と思ったら、ロバート・K・レスラーとトム・シャットマンのプロファイリングに関する著作が出たのがこのエピソードの頃だったっけ。翻訳本が日本で評判になり、レスラー氏が日本のワイドショーに登場して事件のプロファイリングを披露していたのが、この少し後ぐらいだったように記憶している。 * [[https://amzn.to/49WKRXS|『FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記』ロバート・K・レスラー]] * [[https://amzn.to/3wTuD3a|『FBI心理分析官 2』ロバート・K・レスラー]] プロファイリングは、犯人の年齢や居住地域を絞り込むことはできるが、犯人を教えてくれるものではない。つまり「犯人は○○という特徴を備えている」ということは言えても、同じ特徴を備えていて犯人でない人も大量に存在するわけで「無実の市民は○○という特徴を備えている」も同時に成立してしまう。今回の弁護人が取った戦術は、そこを徹底的に叩くというものだった。プロファイリングは信用ならん、と陪審員に思わせればよかったのだろう。 犯罪の被害に遭ったことがきっかけになり、人種差別主義思想に傾倒してしまった被告人。マッコイ弁護士はたまたま公選弁護人になっただけなのかと思ったら、どうやら敢えてアフリカ系の弁護士を雇うという戦術のようだ。中途半端に頭が回るらしい。疑問を感じないのか、と聞かれたマッコイは「黒人が白人を殺した事件で、白人が弁護人になっても同じような質問をするか?」と聞き返していた。え~、立場が逆でもヘイトクライムだったら普通聞くだろう! と思ったけど、よく考えるとタニーは「ヘイトクライム」を犯したとは認めてないんだよね。で、それをアピールするために敢えてマッコイを雇ったわけだから、マッコイ側にも疑問があっちゃいけないわけだ。マッコイがタニーに対して偉そうにどやしつけたりする(Sit! なんて犬に命令するみたいだった)のも、それを強調するためのパフォーマンスだったのだろうか。結果的には、それでタニーがよけい暴走しちゃったような気が、しないでもないが。 マッコイ役のジェイムズ・アール・ジョーンズは、このシリーズでは今回だけの出演のようで残念。だがIMDbで出演作をチェックしていたら、何とスター・ウォーズでダース・ヴェイダーの声をあてていたらしい。旧作のエピソード4~6と新作のエピソード3。へ~あの声はこの人だったのか。 いったいどう結末付けるのだろうと思っていたら、被告人が殺害されてしまったのが残念。タニーのような人たちがいつも口にする「ここは住みやすい街だったのに」という言葉がタニー本人に返ってきてしまうという皮肉な結末だった。 --- //Yoko (yoko221b) 2008-12-15// [<>]