Law & Order - Season 7, Episode 9 ====== #143 Entrapment ====== * 邦題:「見えない罠」 * 脚本:René Balcer, Richard Sweren * 監督:Matthew Penn * 初回放映:1997-01-08 ---- //- My people need unity far more than truth. \\ - What they need is justice.// ===== 事件概要 ===== ==== People v. Huey Tate (判事:Deborah Bourke) ==== アフリカン・アメリカン会議 (AAC) のリーダー、ローランド・ブックスが銃撃され重傷を負う。ボディガードのオーティス・クックもその場におり、死亡。AACでは4年前に前リーダーのマーカス・テイトが暗殺されており、その事件の黒幕をブックスだと非難する者も多かった。 目撃情報などから、マーカス・テイトの妻サティマの車が現場付近にあったことがわかる。だが実際に車を使っていたのは息子のヒューイだという。事件当日の行動について母と息子の話は食い違い、ヒューイのアリバイははっきりしない。 ヒューイと以前に親しかったアンジェラ・ローニーの職場を訪ねると、雇い主は「FBIの捜査官と一緒に出て行った」と言う。FBIはアンジェラを逮捕したのではなく、アンジェラが身の危険を感じて保護を求めたのだ。彼女は、ヒューイ・テイトがブックスを銃撃した証拠を持っていた。証拠とは2人の電話での会話を録音したテープで、その中でヒューイは父親の死に関してブックスを非難し、復讐すると言っていた。 ヒューイは起訴される。罪状認否手続には、退院したブックスが現れ「ヒューイ・テイトは政府の陰謀によって犯人に仕立てられた!」と叫び、いくらでも保釈金を払おうと宣言する。 ヒューイの弁護人は、アンジェラが政府の陰謀に加担していると主張。2年前、アンジェラはコロラドのカルト集団の裁判で、連邦の情報提供者として証言していた。弁護人は彼女を「政府の手先」と非難し、Isaacson hearing を求める。 ヒューイは、ブックスが父親を殺したとアンジェラから吹き込まれて復讐を決意したものの、その後翻意して殺さなかったと証言する。それに対してアンジェラは、襲撃計画は終始ヒューイの考えだったと述べる。弁護側の尋問により、アンジェラにコロラドでの証言と引き換えに、武器所持の免責と4万ドルの報酬を得ていたことがわかる。 FBIのフレッチャー捜査官は「今回の件でアンジェラには何も指示していない」と証言するが、コロラド以後のアンジェラとの接触については「捜査に影響するため」として具体的な言及を避ける。判事は答えるよう指示するが、フレッチャーは従わなかった、彼の証言全体が排除される。アンジェラ自身の証言は「信憑性なし」として判断されたため、事件は棄却されてしまう。 マッコイは陰謀説を崩す取っ掛かりとして、アンジェラについての調査を始めるが、そのうちに実はアンジェラがブックスを撃ったのではないかという可能性が浮上する。だがアンジェラはFBIの保護証人となり、行方がつかめなくなってしまう。 マッコイはフレッチャーと2人だけになり「本当は自分のミスを隠そうとしているのではないか」と問い質す。 アンジェラはコロラドの一件の後、たびたびフレッチャーを訪ねては情報を売ろうとしたが、フレッチャーはそのたびにポリグラフを受けさせ、毎回不合格になったので門前払いしていた。今回も、アンジェラは「ヒューイがブックスを殺そうとしている」と言ってきたが、またポリグラフに落ちたので本気にしなかったのだ。その後本当にブックスが銃撃されたことで、フレッチャーは「自分の判断ミスだ」と思い、アンジェラに本当のことをしゃべられないよう保護下に置いたのだった。 フレッチャーはアンジェラが持っていたヒューイの車のキーを提出。アンジェラのジャケットの袖からは発射残渣も検出される。 アンジェラは逮捕されて第2級謀殺罪を提示されるが、「ヒューイは殺害を翻意せず、私に銃を渡した」と言い、武器の所在と引き換えに故殺罪を要求。だが結局第2級謀殺の「15年から終身」で取引成立。 銃は発見されるが指紋は検出されず、ヒューイの再起訴は無理と思われた。その銃は5年前、AACで警備を担当するオーティス・クックの名で登録されたものだった。マーカス・テイトが殺された後、クックは護身用のため遺族に銃を渡しており、その手続きはブックスが承認したはずだった。マッコイはその点を問い質すが、ブックスは知らぬ存ぜぬを通す。テイト母子とブックスは和解し、彼ら3人が手を取り合っている写真が紙面を飾る。 ---- ===== 感想 ===== シーズン3「Conspiracy(リーダー暗殺)」の後日談。前回はAAC(アフリカン・アメリカン会議)のリーダー、マーカス・テイトが暗殺されたが、容疑者となった白人男性は結局無罪。で、いろいろあって「実はNo.2のブックスが犯人ではないか?」という可能性を見せつつ、はっきり決着をつけないまま終わっていた。 今回は現リーダーであるブックスが銃撃されて負傷。前の事件については「マイク・ローガンが担当してまだ未解決」という一言だけで終わってしまった。メンバーも殆ど入れ替わって、当時のキャストで残っているのはもうアダム・シフ一人だけだ。今回、サティマさんの役は前回と同じ(「マトリックス」のオラクルの人)だが、ブックス役は俳優が交代。 そしてブックス殺害未遂の容疑者として、テイトの息子であるヒューイが逮捕されたかと思うと被害者のブックス本人が陰謀説をぶち上げ、証人のアンジェラに疑惑が持ち上がり、FBIの捜査官がとにかく秘密主義で、何かというと「捜査中の事件に支障が出るので」と口を閉ざし混乱気味に。結局アンジェラの証言は「信憑性なし」と判断され、ヒューイの事件は棄却される。 そうこうするうちにアンジェラが実行犯だったという可能性が浮上。つまり、自分で撃って自分でタレ込むという自作自演! カルト組織の事件での報酬は、別の州で新しい生活を始めるための資金だったと思うのだが(証人保護より安上がりだから)、アンジェラはこれですっかり味をしめたらしく、その後も何かと情報を持って来て金をせびろうとする。FBIも素人ではないから、ちゃんとポリグラフを受けさせ、その都度ガセネタだと判断していた。するとアンジェラは「信じてくれないなら自分でやっちゃえ」と自作自演に走り、あわてたFBIは自分の判断ミスを隠蔽しようとやっきになった――というのが、この混乱の真相だったようだ。なんて人騒がせな! 実行犯のアンジェラは刑務所へ行き、ブックスはテイトの遺族と和解して団結を大いにアピール。AAC一人勝ちという結末になった。 で、拳銃の出所を調べてみると、これはそもそもAACが購入した銃だったとわかる……が、だからといってAACが今回の一連の騒動を操っていたとまでは言えないだろう。ヒューイの罪状認否の場面から見て、AACは最初から事件を政治利用する気満々だったと思うが、アンジェラの動きにまで関与しているとなると、シナリオが複雑になりすぎてちょっと無理がある。 前回のテイト銃撃の件も結局明らかにはならなかった。メンバーが入れ替わっているので、連続性はあまり期待していなかったが、やはりちょっと消化不良かも。 --- //Yoko (yoko221b) 2012-06-17// [<>]