Law & Order - Season 7, Episode 21 ====== #155 Passion ====== * 邦題:「愛という名の悲哀」 * 脚本:Barry M. Schkolnick * 原案:Barry M. Schkolnick, Richard Sweren * 監督:Constantine Makris * 初回放映:1997-05-07 ---- ===== 事件概要 ===== ==== People v. Diane Posner (判事:Rita Haines) ==== 出版社に勤務する女性編集者のジョニ・ティンバーマンが殺害される。現場はジョニが担当する作家のチャールズ・エヴァンズの自宅で、恋人で弁護士のダイアン・ポズナーと一緒に暮らしていたが、事件当時は2人とも別々に外出しており留守。警察へはジョニ本人が虫の息で通報していた。 ジョニはやり手の編集者で、同僚から何人も有望な作家を奪って自分で担当していた。エヴァンズもそのひとりで、ジョニに出し抜かれた編集者は「彼女は作家と寝ている」と仄めかす。別の編集者の話から、ジョニはエヴァンズの子を妊娠し、中絶していたらしいとわかる。 ダイアンは事件当時、郊外にある自宅にいたというが、隣人に確認すると本人が言うより先にNYへ戻ったことがわかる。ダイアンの車は事件当日マンハッタンを走行しており、車内にジョニの毛髪が発見されたため、ダイアンは逮捕される。 ダイアンは犯行を否定し、その日は息子を学校に訪ねていたと言う。オースティンはダイアンと前夫との息子で、ダイアンがエヴァンズと暮らし始めてからは、コネティカットの寄宿学校に入れられていた。エヴァンズはオースティンに面会に来たことはなく、ダイアンも息子より恋人優先で、息子は休暇中も学校で過ごしていたという。オースティンはその日に母親と会って話をしたことを認める。 ダイアンは「息子を巻き込まないでほしい」と訴えるが、マッコイは「息子が証言台に立てば追及する」と脅しをかける。 その後、ダイアンは拘置所で自殺を図るが、看守が発見して命を取り留める。ダイアンはエヴァンズと息子宛てに遺書を残しており、息子宛の物はすでに本人に渡されていた。もう1通をめぐり弁護人とマッコイが対立するが、判事はマッコイの言い分を認めて遺書を検察側に渡す。息子宛の手紙も回収される。 エヴァンズ宛の遺書の中で、ダイアンは恋人を褒め称え、彼への愛の深さを語った上で「この最後の決断により、貴方を守ったことをいつか理解してほしい」と書き綴っていた。マッコイはダイアンがエヴァンズをかばっているのではないかと疑う。 エヴァンズは事件当夜友人宅に泊まったというが、友人本人は在宅しておらず証人はいない。さらに詳しく聞き込んだ結果、ダイアンが犯行当時別の場所にいたことが裏付けられてしまう。ダイアンはマッコイの追及に対し「チャールズが『ジョニに捨てられたので君とやり直したい』と言われた。その後彼は私の車でどこかへ行き、戻って来た時には服が血まみれだった。でも彼に対して不利な証言は絶対にしない」と涙ながらに告白する。 エヴァンズは逮捕されるが、犯行を否定。ダイアンは証言しないと明言している。ロスはダイアンの秘書から話を聞いた時に、ダイアンが拘置所内での手紙の取扱いについて調べていたことを知る。その中にはマッコイがダイアンの遺書を得るために参照した事件の資料も入っていた。しかも秘書が届けたのは自殺を図る前のことだ。ダイアンは、検察が読むと知っていて、わざと思わせぶりな遺書を書いたものと思われる。彼女自身にアリバイがある以上、自分が罪を逃れるためでもない。彼女がかばっていたのは、息子のオースティンだった。 ==== People v. Austin Posner (判事: Ivan Hopper) ==== オースティンはその夜、母親から「エヴァンズに捨てられた」と聞かされた。単なるケンカだと思ったが、エヴァンズには新しい相手ができたとわかった。自分は喜んだが、母親はエヴァンズとよりを戻すことしか頭にない様子。そこで、母親の歓心を得るためにエヴァンズを説得しようと自宅へ行ったが、そこにいたのはジョニで、彼女に怒鳴られたため腹を立てて殴り殺したのだった。 ---- ===== 感想 ===== 女性編集者殺害事件。担当する作家エヴァンズと愛人関係があったことがわかり、作家の恋人(事実上の妻)であるダイアンが逮捕されるが、逮捕後に事態は二転三転。結局犯人は、息子のオースティンだったというお話。 家庭内のイザコザが原因の殺人事件で、犯人は結局息子でした――という話、そういえば前シーズンにもあったなぁ。あちらでも、犯人こそ息子だったけれど、やはりわがまま勝手な父親が元凶だったような。と、ストーリーの構成要素を並べていくと共通する要素はあるものの、話としてはまったく別物でマンネリというわけではない。ただ、こちらの坊ちゃんが犯行に及んだ動機がちょっとわかりにくかったけど。騒がれて思わず――だから、動機というほどの動機もなかったということなのだろう。 それにしてもこのエヴァンズという男、作家としては優れているのかもしれないが、夫や恋人には絶対したくないタイプ。おそらく今回の事件も「良いネタになる」と、もっとドロドロに脚色して小説にしそうな気がする。ダイアンも、自殺未遂してまで罪をなすりつけておきながら、何だか未練がありそうな様子も見せていたし……もう思惑通りエヴァンズが逮捕されちゃっても良かったのに! と思うくらい。いや、冤罪はいけないんだけど。 今回引用された判例は、ちゃんと確認してないけど多分以下の2件。 * [[http://supreme.justia.com/cases/federal/us/418/539/|Wolff v. McDonnell]] :囚人のプライバシー * [[https://www.leagle.com/decision/197963846ny2d5921582.xml|People v. Garofolo]] :獄中で書かれた封印されていない手紙の扱い --- //Yoko (yoko221b) 2012-08-19// [<>]