The Wire - Season 3, Episode 3 ====== #28 Dead Soldiers ====== * 邦題:「デッド・ソルジャーズ」 * 監督:Rob Bailey * 脚本:Dennis Lehane * 原案:David Simon, Dennis Lehane * 初回放映:2004-10-03 ---- //"The gods will not save you." - Burrell// ===== 概要 ===== ドーザマン巡査を撃った犯人は逮捕されるが、奪った銃は「ピーナツ」という名前の男に売ったという。「警察の武器がストリートに存在する」ことを嫌う警察幹部は、銃を取り戻すことを最優先事項とし、殺人課のバンク・モーランドが担当に割り当てられる。だがストリートネームを「ピーナツ」と称する人物のリストは89名にのぼり、バンクは頭を抱える。 プロップ・ジョーはストリンガーを呼び出し、警察が電話の通話を傍受していることを警告する。 カルケッティはボルティモア・サン紙の記者を呼び出し、バレルから聞いたポリスアカデミー予算カットの件をオフレコで話す。その後、バレルに電話し「サン紙の記者がアカデミーの件で取材に行きますよ」と予告。バレルは「しゃべったな!」と怒り心頭に発するが、カルケッティは、その件を市長と話し合うように言う。結局、バレル側の事情によってアカデミーの卒業が「遅延」するという表向きのストーリーを作ることでカタがつき、市長は体面を保ち、バレルはアカデミーを得られることになった。 通話傍受が失敗に終わったため、ダニエルズは今までの逮捕者の起訴を麻薬課に任せ、新しいターゲット、キンテル・ウィリアムソンの調査を命ずる。ここ最近の殺人に関わっていると見られる人物である。グレッグスはプロップ・ジョーの捜査を中断することに不満を抱く。 その頃マクノルティは、MCUのミーティングをさぼってディアンジェロが死亡した現場を訪れ、使用されたベルトを使って自殺することは無理である、つまりこれは他殺と判断。帰って皆にそれを話すが、MCUの扱う事件としては「弱い」という判断であった。 オマーは仲間のダンテ、トーシャ、キミーを率いてバークスデールの倉庫を襲撃し、麻薬を奪おうとするが、見張っていた別の仲間に気づかれて銃撃戦になり、トーシャが銃弾を受けて死亡。オマーはトーシャの遺体を置き去りにし、命からがら逃げ出す。 その一方でボディはマーロとの交渉がうまく運ばず困っていた。マーロは手下のフルーツに命じ、バークスデールの組織メンバーをバットでボコボコに殴る。 コルヴィン警視は自分の部署の警官たちを集めて、計画を明らかにする。住宅地、商業区域、学校から離れた地区を定め、そこをドラッグ・ディーラーたちが自由に麻薬を売り買いできる「解放区」にして彼らを囲い込み、安心させたところで時機を見て一斉に検挙する計画である。 デニスは昔の恋人グレイスのもとを訪れる。彼女は生まれ育った場所を去り、現在は教師として郊外に住み、幸せな家庭を築いていた。グレイスはデニスに対し、何か仕事を世話できるかもしれないと連絡先を聞く。 マクノルティは、ジムで倒れて死亡した殺人課刑事レイ・コールの通夜に出かける。パブの玉突き台に遺体を寝かせ、ともに飲み明かすのが彼らの伝統なのだった。 ---- ===== 感想 ===== うーむ、今シーズンはなかなかに話のスケールが大きくて、その分複雑な感じだなぁ。もうシーズン3になって視聴者もこのドラマで描かれるボルティモアの「土地勘」ができてきたから、という判断なのだろう(シーズン1からこれをやられたら、私はちょっとついて行けなかったと思う)。 思えば、シーズン1で描かれたのはディアンジェロやボディなど末端の売人たちの姿が主だった。捜査する側も、マクノルティやグレッグスなど現場で動き回る刑事たちが中心。シーズン2では港湾の組合と並行して、何とか組織を維持しようとするストリンガーや、自分のユニットを設立したいというダニエルズの方に中心が移っていたように思う。そうなるとシーズン3では、その上にいる警察幹部、さらに彼らを取り巻く政治家たちの姿が描かれるのはむしろ当然なのかもしれない。シーズン全体を通じた連続ドラマであるばかりでなく、シーズンを積み重ねることで、全体としてボルティモアの街そのものを描く大きな物語を構成しているのではないだろうか! 一見本筋とは無関係に見えるデニスのサイドストーリーなども、ボルティモアの街を構成するひとつの要素として描かれているように思う。これはぜひとも、最終シーズンまでしっかりと見届けなくては! 前回コルヴィン警視の演説に登場した「紙袋に酒瓶」の意味が今回、何となく明らかになってくる。何と、ドラッグ取引の解放区とは……要するにその地区が巨大な紙袋、とういこと? うーん、比喩として完全には納得しがたいけれど、まぁ比喩だからこの程度でいいか、という気もする。 ところで今回は珍しくオマーが襲撃に失敗して弱気な姿を見せている。しっかりしろー、オマー! --- //Yoko (yoko221b) 2008-01-16// [<>]