Wire in the Blood - Series 1 ====== #1 The Mermaids Singing ====== * 邦題:「ワイヤー・イン・ザ・ブラッド」(DVD)/「殺しの儀式」(CS) * 脚本:Patrick Harbinson * 監督:Andrew Grieve * 初回放映:2002-08-20, 2002-08-27 (Denmark) ---- ===== 事件概要 ===== ==== Act 1: Follow the Trail ==== 男性の連続殺人と思しき事件が発生。被害者はいずれも独身男性で、拷問されて性器を傷つけられたうえに殺害され、裸で遺棄されていた。ブラッドフィールド警察のキャロル・ジョーダン警部補は、心理学者のトニー・ヒル博士をモルグと遺体発見現場に案内して意見を聞こうとする。 キャロルの上司トム・クロスは一連の事件を連続殺人とは認めず、心理学者を入れることに反対であったが、その上にいるジョン・ブランドン次長がトニーの協力を歓迎したため、トニーは捜査に加わることになった。 トニーは早速プロファイリングにとりかかるが、その時ダミアン・オコネル巡査が遺体で発見されたという報が入る。トニーは現場を見て、同じ人物による犯行であろうと判断する。犯人は現場に(本物の)証拠を残さず、逆に捜査を撹乱するために偽の証拠を仕込んでいくほど用意周到な人物。 オコネルの胸には、無数の火傷の跡が残されていた。トニーはその傷に何か意味があると判断し、傷跡を分析してパターンをさぐろうとする。キャロルは、ソフトウェア技術者をしている弟のマイケルに協力を要請。一方、オコネルの両親の話から彼がゲイであったことがわかったため、ドン・メリック刑事がゲイクラブで囮捜査を敢行し、不審な男スティーヴ・マクティアを逮捕。 その直後、犯人からのビデオが届けられる。そこには、縛られて拷問されるオコネル巡査が映されていたが、途中で映像がCGに切り替えられていた。 クロスはトニーとともにマクティアのアパートへ行き、そこでオコネルの手錠を「発見」する。クロスはそれを根拠にマクティアの犯行を確信するが、違法な捜索で得た証拠が法廷で通用する見込みはなかった。ブランドンはマクティアを釈放し、クロスに休暇を命ずる。警察内部での対立は、キャロルの部下ケヴィン・ジョフリーズと交際していた女性記者の知るところとなり、そのことが新聞の一面に載ってしまう。 その新聞を見て、トニーのことを調べる何者かの姿があった。 ==== Act 2: Close to Home ==== トニーは、犯人はサイコパスで、目的は痛みを通じて真実を得ることであり、数々の拷問は被害者を試しているのだと判断する。白人男性で年齢は25~35歳、ホワイトカラーで隔絶された隠れ家のような場所を持っている。犯人にせまる手がかりは、拷問に関する文献や資料Webサイト、デジタル画像処理、被害者との接点。キャロルは、被害者たちが警戒していなかったことから、犯人が女性である可能性を考えるが、トニーは、この犯行は女性の力では無理という意見だった。 警察はまだマクティアの監視を続けていたが、トニーは犯人はマクティアではないと確信していた。クロスとともにマクティアのアパートへ行った時、引き出しの取っ手をテープで固定してあるのを見ていたからだ。犯人は、中世の拷問具を手作りできるほどの腕を持っているので、取っ手が取れれば当然修理したはず。 マクティアは国外に逃げようとしたところで、休暇中のはずのクロスに逮捕される。クロスは証拠を捏造したことを認めた。それは、マクティアが犯人と確信しているからだった。 捜査のかたわら、キャロルは新聞社への情報のリーク元を突き止めようとしていた。マクティアを護送して来たケヴィンに、例の女性記者が話しかける。その様子を見てドンはリーク元に気づいた。 マクティアは留置場の中で首を吊り自殺する。キャロルはトニーのもとを訪ねて悩みを打ち明け、「マクティアのことは殺人の被害者だと思って、犯人逮捕に力を尽くそう」という助言を得る。 マイケルはオコネルの胸の火傷の分析を終える。傷口の形状に応じて分類してみたところ、4人の被害者のイニシャルが刻まれていることがわかる。それはメッセージではない。トニーは、今までの分析は誤りであり、犯人はただ拷問が目的なのだと思い直す。 トニーは、拷問に使われた器具がケーキのクリームを絞るための口金であることに注目し、犯人は男性から女性に性転換した人物だと気づく。拷問具は、性転換手術と何らかの関わりがある。外見は女性になったが、男性としての筋力はまだ保持している。拷問具は歴史資料に載っている物だが、対してクリーム絞りは、ひじょうに個人的な要素。それこそが彼女の「メッセージ」だったのだ。トニーはそのことをキャロル宅の留守番電話に吹き込むが、その直後、「車がエンコしたので電話を貸してください」と訪ねてきた女性に拉致されてしまう。 トニーの伝言は、帰宅したマイケルからキャロルに伝えられ、キャロルは捜査対象を女性に切り替える。動画処理ソフトウェアの購入者リストの中に、いつも小型のデジタルビデオを持ち歩いているアンジェリカ・ベインという女性がいた。留守宅に踏み込むと、中にはパソコンに接続されたビデオ機器と、何本ものテープ。テープには、今までの被害者4名のイニシャルが書かれていた。そして5本目が「AH」すなわちアンソニー(トニー)・ヒルだった。キャロルはアンジェリカの持っている他の倉庫や不動産を調べさせる。 その頃、トニーはアンジェリカの家の地下室で、全裸で後手に手錠をされて天井から吊るされるという拷問を受けていた。トニーは何とかアンジェリカを説得して手を下に降ろさせ、隙を突いて手錠で殴打。揉み合いになったところで、場所を突き止めた警察が踏み込みアンジェリカを逮捕する。 ---- ===== 感想 ===== レンタルの都合で順序が前後してしまい、シリーズ2の後でこれを見ることになった。 シリーズ第1話って、こんなすごい話だったんだ……拷問の話だということだけは知っていたけど、まさか主人公がこんな目にあっていたなんて 8-O 拷問シーンは恐ろしいのだが、そのものズバリの映像はそれほどでもないのね。途中でワイヤーフレームのCGに切り替えたり、器具だけを映したりマネキンで実験したりと、肝心の部分は視聴者に想像させるような演出になっている。これはやはりTVだからだろうか。このエピソードに登場する「ユダの揺籃」や「振り子」といった拷問方法は、下の『拷問の歴史』等に詳しい。 * [[https://amzn.to/4c9goaH|『拷問の歴史』川端博]] トニーはアンジェリカの訪問を受けた時、彼女の正体に気づいたのだろうか。"Of course" と言った時の様子からは何となく、気づいているように見えた。それ以前にもイタ電で声を聞いてるし。家に招き入れたというのは、やはり彼女の正体を知ってそうした、ということなのだろうか。しかし相手は殺人者ですよ! 知的好奇心が勝ったのか、彼女を説得できる自信があったのか、どっちにしても危険すぎないか! そんなに拷問されたかったのか!(違) それにしてもアンジェリカ、ゴツすぎ。性転換したのなら、女性ホルモン等を使って、もう少し女性らしくならないものだろうか。トニーは「トランスヴェスタイト(服装倒錯)ではなくトランスジェンダー(性同一性障害)である点が重要」と言っていたが、あれはどう見ても「男のまま女装した」ようにしか見えない! うーん、数々の拷問器具を一人で手作りし、大の男を拉致したり運んだりするには、やはりあれくらいの体格が必要なのだろうか。 キャロルはシリーズ1では髪型がショートで、後期シリーズに比べて何となくシャープな感じ。それは良いんだけど、ちょっとファンデの色が濃すぎない? 顔と首の色が違いすぎて、ちょっと変。といっても美人は美人なんだけど。キャロルの髪型/メイクはシリーズ2の頃のがいちばん好きかな。それから、このシリーズではまだポーラがいないのね。代わりにアニー・ライスというアフリカ系の女性刑事がいた。また、後のシーズンで登場するマギー・トーマスもこんな最初から登場していてびっくり。マギーの事件はどうやら、回想で出てくるだけのようだけれど。 ---- ===== 原作 ===== * [[https://amzn.to/2RR4pHs|The Mermaids Singing (Tony Hill and Carol Jordan)]] * [[https://amzn.to/3ey4UzO|『殺しの儀式』(集英社文庫)]] --- //Yoko (yoko221b) 2008-02-10// [<>]