CSI - Season 3, Episode 19
I like silent movies.
グリッソム、キャサリン、ブラス警部担当。歯科医院を経営しているガス・シュガーマンという男が映画館で死んでいた。首の後に刺し傷があった。他の客は全員映画を見ていたため、目撃者はゼロ。凶器のドライバーは現場に落ちていた。観客の中で、映画の最高の場面で席を立った赤毛の女性がいたという。その直後が銃撃戦のシーンなので、その音で犯行をごまかしたものと思われた。
被害者の通話記録を調べると、被害者が最後に架けた相手の番号から、折り返し三度着信していた(その時被害者はすでに死亡)。番号の主はオードリー・ヒルデンという赤毛の女性だった。ガスに映画に誘われたが行かず、電話も受けないようにしていたが、悪いと思ってガスに電話したのだという。だがオードリーは、三ヶ月前にガスを治療中のセクハラで訴え、一流の弁護士を雇った相手に反訴されて負けていた。
映画館の係員は、途中で赤毛の女性がロビーから電話をかけたと証言。その女性の手袋は、凶器を握った手袋と一致。電話の相手はオードリーの家だった。再びオードリーの家へ行くと、彼女は首を吊って死亡していた。だが、首を絞めた後で吊り下げられた形跡があった。また、壁に貼られていた映画のチラシは、なぜかトイレの中に捨てられていた。
そのチラシには、“Strangers On A Train” の箇所に手書きで何かが書かれていた。この映画は、電車で出会った二人が交換殺人をするというもの。接点も動機もないため、お互いの上に捜査は及ばないはずだった。その二人のうち一人は殺人を実行するが、もう一人は本気ではなかったため、実行した相手につけ狙われる。グリッソムは、オードリーも誰かとそういう羽目になってしまったのではないかと疑う。手書きの文字は “Sphere E4-117” という番号だった。駐車場の番号ではないかとアタリをつけて調べてみると、その駐車場の主はショーパブのマネージャー、ヘインズ。グリッソムは楽屋に映画のチラシが貼ってあることに気づく。そこはケリー・グッドソンというダンサーが使っていた。
ヘインズはケリーからセクハラで訴えられており、ケリーが雇った弁護士は、オードリーと同じ法律事務所だった。皮手袋とオードリーの首を絞めたコードからは、ケリーの使うクリームの成分が検出された。それはケリーが自分でレシピを考案して配合したクリームだった。
ニック、ウォリック、サラ、オライリー刑事担当。倉庫の中でティミー・マッカラムという少年が射殺されていた。壁面には無数の穴、床に散らばる薬きょう、まるで戦場のようだった。外の壁には梯子、天井には竹竿があった。床にはガラスと黒いプラスチックの欠片。壁の穴は109個、4~6メートルの高さがあるのに弾道は横にまっすぐだった。被害者は肋骨が折れ、全身アザだらけ。死因は胸の銃創で、上方遠くから撃たれていた。だが、屋根の角度を考えると不可能な状況だ。
現場の足跡は、入ったのが5人で出て行ったのが4人。現場で発見されたビール瓶のDNAは5人分で、被害者とその近親者が含まれていた。兄のケヴィンは、自分はビールを買っただけだと主張。竹竿には指紋も銃の発射残渣もなかったが、らせん状の溝のような傷跡が発見された。現場にあったタイヤ痕は、ティミーの家のミニバンと一致。車には血痕もあった。
サラは銃弾の一つ一つについて、高さ、距離、角度を記録して発砲の様子を再現。弾道が集中するところは倉庫の中央に垂直に立てられた棒――おそらく竹竿と思われた。
ケヴィンが行った酒屋の監視ビデオには、ケヴィンと仲間たちが映っていた。彼らは皆同じように怪我をしていた。そのうちの一人はビデオカメラを所持。彼らは「決してマネしないでください」という危ない遊びの番組が好きで、ある日退屈しのぎにその真似を始めた。車をサーフボードに見立てて遊んだりして傷だらけになり、そのあげく、倉庫の中に竹竿をたて、銃の握り部分をそこに通して回転させながら銃を乱射したのだ。その弾に当たってティミーは死亡、仲間たちは怖くなって逃げたのだった。
映画館での殺人。映画の筋書きそっくりな犯行――日本語タイトルはヒッチコックの “Strangers on a Train” の邦題「見知らぬ乗客」のパロディになっているのだが、では原題は? と思って、IMDbで検索してみた。1937年の短編コメディ映画で、ずばり “A Night at the Movies” というのがあるのだけど、これかな?10分だけの短い映画だけど、アカデミー賞の短編映画部門にノミネートされたくらいだから、有名な作品なのだろう。
冒頭、珍しく現場に出て来たロビンス先生と主任が映画の話などしている。で、「あの映画は “Build My Gallows High” だろう」「いや “Out of the Past” だ」と口論しているのだけど……調べてみたらその二つ、同じ映画らしい(邦題「過去を逃れて」)。
二人の会話に出てきた映画は他に、“The Dirty Dozen” と “The Guns of Navaronne” がある。観客のTシャツはリンチの “ERASERHEAD” だ。ジャック・ナンスの髪型、いつ見てもすごいなぁ。
↑ これは、オードリーの部屋とケリーの楽屋に貼ってあったチラシ。よーく見てみるとちゃんと実在する映画ばかりのようだ。ちょっと書き出してみると下のようになった。
第1週:
第2週:この週はヒッチコック特集か!?
第3週:
第4週:
左下の「20011」というのだけわからなかった……キューブリックの有名なアレは2001年だし、正式なタイトルは “2001: A Space Odyssey” で New はつかないしなぁ。その続編は “2010: Odyssey Two” でしょ? そもそも桁数が5桁って……。
事件解決後、主任とキャサリンが映画鑑賞する場面がいい。主任が好きなのはサイレント映画――。クローズド・キャプション等がまだなかった時代、幼いギルが母親と一緒に見に行った映画がサイレントだった……という想像は、センチメンタルすぎるだろうか?
サラたちの事件は、一見何が起きたのかさっぱりわからないような現場から、少しずつ結末へ導かれていることがわかって、何というか安心して見ていられた。弾道の角度や竹竿といった証拠品も、ちゃんと最初から登場していて、ミステリとしても謎解きを楽しめる構造になっていたと思う。拷問の跡かと思うような身体の傷で、もうちょっと視聴者をミスリードするような展開があっても良かったかなー。