CSI - Season 3, Episode 20
I'm chasing something that Gil Grissom isn't interested in – a hunch.
コメディアンのダギー・マックスが舞台の上で倒れて死亡した。死因は心筋壊死。心臓発作に見られる症状だが、心臓疾患の形跡はなく、年齢からいっても不自然。現場から遺体が運び出される際、ブラス警部はある男の姿を目に留める。
ダギーは死ぬ前に、偏頭痛の強い薬を通常の12倍も摂取しており、それが原因で死に至ったと思われる。その薬は、ダギーがステージでラッパ飲みしたイノコというミネラルウォーターに入っていた。イノコウォーターはダギーが個人で保管しており、本人とバーの従業員しか触れないはずだった。グリッソムは、楽屋にあったイノコウォーターをすべて押収。
その頃、ウォリックはコンビニで少年の遺体が発見された事件を調べに出かけ、現場で飲みかけのイノコウォーターを発見。事件は無差別殺人の様相を呈する。街中のイノコウォーターが回収され、製造した会社への嫌がらせが疑われる。
コメディクラブのイノコとコンビニにあったイノコには、同じ毒が混ぜられていた。毒はビンに直接注入されたのではなく、フタの切れ目の部分に塗られていた。グリッソムは毒入りのビン2つが同じロット番号(NV5871)であることに気づく。他のビンの番号を調べると、コメディクラブはNV5871だが、コンビニはNV6630だった。何者かが殺人の動機を隠蔽するために、ビンを持ち出してコンビニの商品棚に紛れ込ませたのだ。
その頭痛薬は錠剤なので、水溶液にするには粉砕する必要がある。また、この薬品とともにカフェインが検出された。グリッソムはコメディクラブのコーヒーミルを押収するが、そのコーヒーは、イノコウォーターに入っていたものとはアミノ酸の成分が異なっていた。問題のコーヒーは、Kopi Luwakというもの。これはルワクというネコ科の動物の糞から採取される。ルワクが熟した実を食べると、中の豆はそのまま排泄されるが、途中で酵素によりアミノ酸が分解され、独特の苦味を生み出す。そのコーヒーを飲んでいたのは、ダギーの前座で舞台に出ていたマイケル・ボーランドだった。
ニック、サラ担当。ブラス警部は3週間前にシェリー・スタークという女性がバスタブで死亡した事件を担当した。風呂から上がろうとしてタオルかけをつかむとそれがはずれ、バスタブで頭を打ち溺死。明らかに事故だったのでCSIは呼ばなかった。だがブラス警部は、夫のジョージ・スタークが若い恋人を連れてフェラーリを乗り回しているのを見て不審に思う。保険会社に問い合わせると、ジョージは75万ドルの保険金を得ているという。警部は、グリッソムを通さずニックに再調査を依頼する。
ニックとサラは現場へ行くが、スタークは風呂場を改装してタオルかけを取り外していた。2人は同じ様式の風呂場を使っているモデルルームへ行き、サラがタオルかけをつかんで同じ状況が発生するか実験。タオルかけは、サラが全体重をかけてもびくともせず、ニックが力を込めてやっとはずれた。
警部は墓を掘り返して再度検死を行うよう要請する。担当したロビンス医師は検死官の信用に関わると反対するが、被害者のためだと説得されて同意する。遺体を掘り返してみると、最初の検死の時にはなかったアザが、時間が経過して現れてきており、顔面には手で押さえつけたような跡がくっきりと残っていた。
本人と弁護士は無実を主張するが、新車のフェラーリは保険会社に差し押さえられる。殺人の捜査はまだ始まったばかり――。
コメディ・クラブの事件。頭痛薬を砕いてつくった水溶液を、ペットボトルのフタに塗りつけるくらいで「通常の12倍」もの量を摂取させられるものなんだろうか。そこがちょっと疑問だった。
今回は無差別殺人ではなく、隠蔽のための偽装だったわけだが、本当の無差別殺人という展開も見てみたいような気がする。最も解決が難しい犯罪は、動機なき犯罪だ――ということは、シャーロック・ホームズの時代から言われていることなのだけど、その「動機の不在」に対して「証拠至上主義」の科学捜査がどれだけの力を発揮できるか、興味しんしん。
動機といえば、証拠はないが動機がありありの事件には、ブラス警部の長年の経験が物を言う。配偶者を亡くした直後の人間が、その相手のことを過去形で話すという不自然さに気づいたり。
そしてサラとニックが調べに行くわけだが……。お風呂場のタオルかけ、モデルルームで再現ってどうなのかな。毎日お風呂から上がる時につかんでたら、経年劣化してはずれやすくならないんだろうか。わざわざはずさなくても、せっけんで滑りやすくしておけば良さそうな気もするけど。